[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

米国へ講演旅行にいってきました:Part I

[スポンサーリンク]

昨年の話になってしまいましたが、タイトル通り11月末から半月ほど米国に講演旅行にいってきました。訪問したのは8大学。昨年ゴードン会議に招待いただいたときに、2大学ほど講演しましたが、その際はボストンだけでしたので、各都市をまわるのは今回がはじめてです。「なぜにいったの?」という声が聞こえてきそうなので、はじめに説明しておきます。

なぜ米国に講演にいったのか?

今回の目的は明確に「友人巡り」です。

正確に言うと、ゴードン会議のときに久々に再開した友人、David Sarlah(現:イリノイ大アーバナシャンペーン校助教授・以下Dave)とTIm Newhouse (現:イェール大学准教授)が企画して招待してくれたのです。後々も述べますが彼らには頭があがらない。

若いとき、全力で何かを探していた時を一緒に過ごした仲間をメインにホストしてもらい、米国講演ツアーをする。今回の目的はこれでした。2007-2008年、私は米国スクリプス研究所に博士研究員として滞在していましたが、その時の学生がいわゆるゴールデンエイジでした(日本人ポスドクもよかったです)。所属していたBaran研究室、Nicolaou研究室、そして、Yu研究室にいまをときめく若きスターたちがいっぱいいました。彼らと時を過ごせたことは僕の1つの財産です。

2007-2008年当時にいたスクリプス研究所の友達

 

そんな感じに彼らの好意ではじまった本ツアーを3回に渡って日記形式で記します。

まずはサンディエゴ!10年ぶりに降り立つ

予定通りはじめに訪れたのはサンディエゴ。スクリプス研究所のある米国の中都市です。成田からロサンゼルスまで9時間。そこから飛行機を乗り越えて1時間です。昔は乗り換え後の飛行機がプロペラ機で、落ちないかビクビクした記憶が。空港内は10年前より拡張されていていましたが、何度か往復したので覚えていました。さあ、28歳から1年半過ごしたサンディエゴに10年ぶりに到着。

懐かしのサンディエゴ空港

なんと当日は1年に数日しかない雨の日であり、サンディエゴの青い空と日差しはみることはできませんでした。研究所が用意してくれた、リモ(リムジンカー)に乗って、研究所隣のヒルトンへ。

その夜は、現在サンディエゴの製薬会社ではたらいている石原義大(Yoshi)くんとメキシコ料理を食べました。YoshiもBaran研出身であり、日本人のように見えますが、カナダ人です(日本語は普通に話せます)。よく微妙なニュアンスの英語をいまでも教えてもらっている、英語の先生でもあります。

Yoshiと

ひとつめ:スクリプス研究所

さて、講演旅行1つめはスクリプス研究所。最近研究所のロゴが変わったのですが、どうやら近所のピザ屋と全く一緒のマークらしくあまり評判はよくありませんでした(笑)。

スクリプス研究所ロゴ

 

朝8:30に宿泊先に学生がお迎え。日本でも研究したことがあるアメリカ人でケムステのことをよく知っていました。Jin-quan Yu教授(以下Jin)もPhil S Baran教授(以下Phil)もケムステもよく知っているので外人にも意外と有名なことがわかります。

朝市はPhilとのディスカッション。僕がいたときは1階でしたが、4階、当時のNIcolaou研の場所に移動していました。久々の再会でつもる話もおありましたが、最新の有機電解反応について話してくれました。根本的に解決しなければならない事案を企業とのコラボレーションですぐに手に入れることができる。それがうらやましい。日本の企業も大学の研究者にアプローチして密な関係をつくれればよいのにと思いました。

続いてBaran研究室とその学生およびポスドクとのディスカッション。ケミストリーも大変興味がありましたが、アメリカの現状と日本の話で盛り上がりました。米国に残ってPIとして研究を始めたいという希望をもった人が多い印象。日本の講座制の弊害なのかなと思いました。助教として下働きはいやだと。僕もそう思っていたので納得ですが、助教は勉強になりボスの知識を吸収しながら潤沢な環境で研究できるので、あながち日本のシステムも悪くないと今は思っています。一方、准教授はすぐにでも独立した方がいいですね。時間の無駄です。

つづいて、Ram Krishnamurthyとのディスカッション。生命の起源に関する研究で、シンプルながらNMRを駆使して化合物の生成を調べていました。いい人インド人でした。

その後、セミナー。準備を朝しただけなので完全に失敗しました。ちゃんと練習しないといけないと思いました。質問にもうまく答えられなかったので残念。

その後昼食。Jinが体調不良で来れなかったが、彼の行きつけの中華料理屋で食べました。その時の写真は以下の通り。

昼食後、Rebek Jr教授とのディスカッション。現在はポスドク1人と研究をしているとのことでした。片言ながら僕の化学に彼のカプセルが使えないか話をしていました。あの年でしっかり講演を聞いてフォローできるのはすごいと思いました。次はRyan Shenvi教授(以下: Ryan)、ちょっと休憩が欲しかったので、外に出てラホヤのゴルフコース前でディスカッション。相変わらず難しい天然物合成をやっていました。目的意識が高いのでとても勉強になります。日本人ポスドクがほしいとしきりにいっていました。最後はKeary Engle助教授。今回の僕のホスト。3年前からはじめて、いま4年目。まだ33歳とめちゃくちゃ若いがキレキレ。こういうやつは日本にはいないなあと思いました。

ディナーは学生・ポスドクたちと。みな英語も堪能でサンディエゴを楽しんでいる感じでした。

移動と観光ーサンフランシスコへ

翌日朝、Limoでサンディエゴ空港へ向かい、サンフランシスコへ。週末は(Noah Burns、以下Noah)と一緒に過ごす予定でした。

空港でNoahと待ち合わせて、サンフランシスコのダウンタウンにあるホテルにチェックインした後に、待ち合わせのお店へと向かう。かなりローカルな店で、とっても良い雰囲気でした。ここで、Ian Seiple助教授(以下Ian)とその彼女、そしていまHartwig研究室でポスドクをしている寄立麻琴くんとあいました(現:九州大学助教)。寄立くんは慶応大学の千田研究室出身で修士の頃からよく知っていました。今回Berkeleyで講演することをしって連絡をくれたので、一緒に飲み会に参加。他にも懐かしい顔をあえて、楽しい土曜日でした。

翌日は日曜日だったので、Noahと観光。サンフランシスコフルコースです。まずはダウンタウンを散策。真ん中にスケートリンクがありました。サンフランシスコは丘に近いところに立っていて、アップダウンが激しい街。定番のゴールデンゲートブリッジへ行きました。上に登るとサンフランシスコ周辺の街が見渡せました。

その後、フィッシャーマンズワーフへ。チョコレート工場でチョコレート購入、見学。サンフランシスコ特有の少し酸っぱいパンを食べながら散策。美味しいクラブケーキを昼食にたべ、その帰りにホットソース屋によって、一番からいホットソースを購入(研究室へのお土産)。そのあとケーブルカーにの乗る。リアルジェットコースターみたいでなかなか楽しかったです。おすすめのコーヒーショップによって、uberで戻り、本日のメインのプライムリブ屋さんへ。マティーニを飲みながらプライムリブを食べるなど。パーフェクトなプランでした。

ほとんど書きなぐっただけなのに、なんと1大学しか終わりませんでした。続きはPart IIにて。

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 日常臨床検査で測定する 血清酵素の欠損症ーChemical Ti…
  2. 有機合成化学協会誌2018年4月号:脱カルボニル型カップリング反…
  3. 環拡大で八員環をバッチリ攻略! pleuromutilinの全合…
  4. 第32回ケムステVシンポ「映える化学・魅せる化学で活躍する若手が…
  5. 私が思う化学史上最大の成果-2
  6. 知られざる有機合成のレアテク集
  7. MEDCHEM NEWS 32-2号 「儲からないが必要な薬の話…
  8. 光有機触媒で開環メタセシス重合

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 光化学スモッグ注意報が発令されました
  2. パラジウム錯体の酸化還元反応を利用した分子モーター
  3. 人工軟骨への応用を目指した「ダブルネットワークゲル」
  4. 化学素人の化学読本
  5. 三菱ケミカルのサステナビリティに関する取り組み
  6. 第16回 教科書が変わる心躍る研究を目指すー野崎京子教授
  7. 【速報】ノーベル化学賞2014ー超解像顕微鏡の開発
  8. 塩野義 抗インフルエンザ薬を承認申請
  9. レビュー多すぎじゃね??
  10. もっとも単純な触媒「プロリン」

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

注目情報

最新記事

材料開発を効率化する、マテリアルズ・インフォマティクス人材活用のポイントと進め方

開催日:2023/06/07 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化…

材料開発の変革をリードするスタートアップのデータサイエンティストとは?

開催日:2023/06/08  申し込みはこちら■開催概要MI-6はこの度シリーズAラウ…

世界で初めて有機半導体の”伝導帯バンド構造”の測定に成功!

第523回のスポットライトリサーチは、千葉大学 吉田研究室で博士課程を修了された佐藤 晴輝(さとう …

第3回「Matlantis User Conference」

株式会社Preferred Computational Chemistryは、7月21日(金)に第3…

第38回ケムステVシンポ「多様なキャリアに目を向ける:化学分野のAltac」を開催します!

本格的な夏はまだまだ先ですが、毎日かなり暖かくなってきました。皆様お変わりございませんでしょうか。…

フラノクマリン -グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせ-

2023年2月に実施された第108回薬剤師国家試験において、スウィーティーという単語…

構造の多様性で変幻自在な色調変化を示す分子を開発!

第522回のスポットライトリサーチは、北海道大学 有機化学第一研究室(鈴木孝紀 研究室)で博士課程を…

マテリアルズ・インフォマティクス適用のためのテーマ検討の進め方とは?

開催日:2023/05/31 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の…

リングサイズで性質が変わる蛍光性芳香族ナノベルトの合成に成功

第521回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科理学専攻 物質・生命化学領域 有機化…

材料開発の変革をリードするスタートアップのプロダクト開発ポジションとは?

開催日:2023/06/01 申し込みはこちら■開催概要MI-6はこの度シリーズAラウン…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP