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化学者のつぶやき

ゴードン会議に参加して:ボストン周辺滞在記 PartI

すぐ書こうと思ってすでに4ヶ月も経過してしまいましたが、6月中旬にアメリカ東海岸で行われたゴードン会議(Gordon Research Conferences: GRC)に参加しました。

ゴードン会議ってなに?

ゴードン会議ってなに?おいしいの?そんな貴方は以下のいくつかの記事がすでにウェブにありますので御覧ください。

一言で言うと「研究者が集まって泊まり込みで行うコンフィデンシャルな会議」のことです。

雰囲気は夏期に日本で各研究の若手が集う若手の会に近いでしょうか。化学に関わらずほとんどのサイエンス分野に「ゴードン会議」があり、古くから行われているため、科学者ならば知らない人はいないという由緒正しい会議です。

今回私は、「Heterocyclic compounds」に招待されたのではじめて参加しました。このGRCは上述したとおり米国の東海岸で行われており、参加している研究者も95%ぐらいが米国の研究者。多様性を考慮するために、アジア・ヨーロッパから2、3名ほど毎年招待講演者が呼ばれているようです。

今回は招待されたわけですが、過去のこのGRCの日本からの講演者をみると、

2016:なし
2015:磯部稔(国立中山大学・台湾)
2014: 福山透(名古屋大学)
2013: 砂塚 敏明(北里大学)
2012:なし
2011: 大井貴史(名古屋大学)
2010:なし

と、錚々たるメンバー。対して、米国からは研究室を主宰して2,3年目の若手研究者から中堅、第一線の研究者、レジェンド研究者まで幅広く呼ばれています。昨年の秋にオファーをいただいたので、これはがんばるしかないと思ってたのですが、日々の仕事に忙殺され結局スライドづくりは前日に。そんなもんです。

というわけで、研究室のウェブに書こうと思いましたが、広く知ってもらうために、今回はこのゴードン会議「GRC Heterocyclic compounds 2017」とその前後のボストン滞在の内容をお届けしたいと思います。

出発からボストン到着は不運だらけ

本会議は米国ロードアイランド州ニューポートにあるSalve Regina University(サルベレジーナ大学)にて、6月18日から23日まで行われました。

このゴードン会議に関しては毎年この場所で開催されています。他の分野もかなりここで行われているようなのでゴードン会議では馴染みの場所のようです。

サルベレジーナ大学

 

さて、私は17日の朝10時50分に羽田空港から出発。なんだかロシアのカムカッチャ火山が噴火したのなんだかで、航路を変更したことで1時間遅れで10時過ぎにシカゴ・オヘア空港到着。

ご飯を食べてさてそろそろかなと思いきや、ボストン行きの飛行機も機器チェックやなにやらで遅れ、13時50分出発が15時10分に変更。結局15時半ごろに搭乗。搭乗して寝てたら、起きたらもうついたのかな?と思いきやまだ出発しておらず、結局離陸したのは18時前。そこからかなり飛ばしたらしく19時50分にはボストンのローガン空港へ到着。結局24時間ほどかけて出発地のボストンへ到着したのでした。

到着したはいいものの、荷物がでてこない。なんとロストバゲージ。カウンターの機嫌が悪いおばさんに伝えると「明日になってホテルに届いてなかったら連絡してとのこと。」ラップトップはもっておりなんとか発表できるからいいやと、とりあえずホテルに向いました。

その日は、ボストンに滞在しているMITのBuchwald研ポスドクの久保田くん(北海道大学伊藤肇研究室出身)と飲む予定だったので、到着後すぐにタクシーでお店へ向かいました。結局18時半開始が21時になりましたが、ようやく軽い食事と飲み会。久保田くんが同研究室の博士課程学生の市川さんをつれてきてくれ、3人で楽しく飲みました。市川さんは東大中村栄一研出身のとっても気立ての良い子で、GRCが終わった後にMITを見学させてもらうことをお願いしました。2時まで飲んで、就寝。

久保田くん・市川さんとボストンにて

サルブレジーナ大学へ

会場のサルブレジーナ大学へは空港近くのエンバシー・スイーツホテル(筆者が宿泊したホテル)からバスで出発でした。かなりのゴードン会議がこのホテルの前のバス停で出発しているので、もし今後参加する人がいれば覚えておいたほうが良いと思います。現に日本人では相田研究室の伊藤さんとNIMSの有賀先生にお会いしました。液晶のゴードン会議で伊藤さんはポスター、有賀先生は招待講演で参加されるという話でした。

ちなみにホテルまでは空港から無料のシャトルバスがでているが連絡しないとこない。私は面倒だったのでタクシーでいきました。

さて、そういえば荷物はどうなったのか?

結局のところ「空港にはあるが、配達は10時から16時までらしくいつになるかわからない」、とふざけたことをいっていたので、しかたなく空港に取りに行きました。なんとか無事に荷物が回収できて一安心。ロビーに集まり、13時にサルブレジーナ大学に向けて出発。

もうすぐ大学に到着。天気が悪いが海が見えてきた

 

バスはすべて参加者ですが、その時点では誰も知らなかったので、黙々とパソコンでスライドづくりをしていたら2時間ほどで会場へ到着しました。

大学で参加登録

サルベレジーナ大学正直ど田舎にある大学です。ここで5日間過ごすことになりました。参加登録を済ませて、部屋の鍵をもらい、部屋へ。部屋はフロリダ大学の中国人ポスドクと一緒でした。あとから聞いた話だと招待講演者は希望すれば一人部屋にできたらしいですが、そんなの知らないですし、折角なのでルームシェアしました。部屋は大学の寮のような感じでお世辞にもいいところとは言えない感じでした。

部屋には二段ベッド2つと机が4つ。これを2人でシェアした

 

しばらく仕事をして、夕食へ。夕食は大学の学食で食べました。味は美味しくもないし、まずくもなし。

ここで、スクリプス研究所で博士研究員をしていた時の学生であったDavid Sarlah(イリノイ大アラバマシャンペーン校助教授*)とTim Newhouse(エール大学助教授)と再会。しばらく話した後、講演が始まるので会場へ。

講演会場の様子

 

初日の講演開始・そして飲み会へ

いきなりTimの講演でした。講演の内容は話すことができませんが、論文になっていない全合成を2つ。なかなか頑張っているようでした。次にフロリダ大学の40ぐらいの化学者が講演をして、その日最後の講演はGregory Fu。未発表の内容を交えながら軽快に話していました。これはレベルが高いぞと感じ、スライドをブラッシュアップしようかなと考えているうちに、講演が終わり、飲み会へ。

初日なので皆余りなれていないところもあったのか、そこまで盛り上がらず12時過ぎには解散になりました。私自身も知り合いはDaveとTimと、同じBaran研究室だったSarah (Sarah Wengryniuk、テンプル大学助教授)ぐらいしかいなかったので、彼らと飲んでおり、特に積極的に話しかけるわけでもなく、まわりからあまり話しかけられることもあまりありませんでした。

2日目ー講演日

ついに講演の日の朝を迎えました。結局飲んでしまったのと、あまり寝てなかったので朝までぐっすり。朝9時から始まり、イリノイ州立大学のAndy Mitchell 准教授の後、2番手です。驚いたのが、「Discussion Leader」と呼ばれる座長が講演者の経歴をすべて覚えて紹介してくれること。私の座長はジョージア大学のEric Ferreira准教授。昔参加した国際会議で少し話したことはありますが、経歴を覚えているわけもなく、全部暗記して臨んでいたということ。この会議は座長もかなり力をいれていることがわかります。

講演は、幸いにも笑いもとれてかなり好評でした。しかし、質問が厳しい。10分間の質問時間が30分ぐらいに感じました。言っている意味を捉えられず、答えになっていない回答もあったかもしれません。とにかく、終わりました。

そして、この講演後、参加者が急に「ビジブル」になりました。というより私が「ビジブル」になったのと言ったほうが正しいかももしれません。次から次へと皆話しかけてくるようになったのです。講演良かったよだとか、研究に関する質問だとか、自己紹介してきたり、講演に来てくれだとか….

つまり、講演しないと全くとは言いませんが、参加してもあまり意味が無いことがわかります。めちゃくちゃ積極的な人や、世界的にも著名な研究者でない限り、なかなか話しかけてくれません。僕はそれでも大丈夫だ!というひとは是非ポスター発表で参加したら良いと思います。ちょっと人見知りだというひとは、良い結果をだして、招待してもらうまで待つしかありません。

さて、かなり長文になってきたので続きはパートIIにて。

*他のページでも同様ですが、タイトルはassistant professorなので日本で言えば「助教」になります。ただし、アメリカのassitant professorはすべて独立した研究室を主宰しているため、あえてケムステでは「助教授」と記載して区別しています。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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