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米国へ講演旅行へ行ってきました:Part II

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前回(Part I)の続き。Part Iから、次が遅いねと各所でいわれました(苦笑)。米国8大学を講演旅行するという話でしたが、前回の記事では1つしか終わりませんでした。メモしか残ってないので、だんだん忘れてきていますが、Part II いきます!

2つ目:UCバークレー

サンフランシスコでの週末を過ごした後、ついに本格的な講演週がはじまりました。

月曜日、朝ホテルのあるサンフランシスコのダウンタウンからuberで2つめの訪問先であるUCバークレーへ向かいました。サンフランシスコ→バークレーは橋を超えなければならず、めちゃくちゃ渋滞しているという話でしたが(バークレー→サンフランシスコはより渋滞)そんなことなく(逆は混んでました)30分でついてしまいました。秘書とコーヒーをのんで時間を潰した後、今回のホストTom Maimone准教授(以下Tom)と10年ぶりの再会。彼もBaran研究室時代の学生で、当時の一番の切れ者でした。よく唐突に現れて、大変ゆっくりな英語で(元々話すのは遅いが、僕が理解できるようにだと思う)、お前ならどうやってつくる?とよくきいてきました*1。ちなみに、彼は最近双子の子供が生まれて子育て大変らしいです。

さて、ここでは朝10:30から講演会。聴衆にBergman教授がいたのでびびりましたが、今回はまあまあうまくいきました。講演室から眺める景色はよく写真でみる景色ですね(写真1)。

その後、Tomの学生4名と昼食。途中で謎のロボット?に遭遇(写真2)。なんだこれ?と聞くと、学生いわく、大学内でこのロボットが食べ物をデリバリーしてくれるらしい(笑)。大学内のベンチャー企業がつくっているらしいです。ランチはハンバーガー(写真3)。アメリカはなんといってもハンバーガーが一番うまい(苦笑)。

その後、怒涛のディスカッションがはじまりました。Hartwig教授(以下John)が1番目。Johnとは彼が名古屋メダル受賞の際にお世話させていただいたのと、研究関係でメールやりとりしていたのでよく知っていました。含フッ素化合物の誘導化についてディスカッション。企業との共同研究なのかな?と思いましたが、楽しくディスカッションできました。

つづいては、Dean Toste教授。実は初めて会いました。しかし、はじめてあったとは思わせずフレンドリーで、ほとんど雑談で終わりました(苦笑)。3つめはFelix Fischer准教授。グラフェンナノリボンや超分子触媒などで活躍している研究者です。面白いディスカッションでした。

4番目は教科書でお馴染みのVollhardt教授。大変いい人でした。ただし、研究はぼちぼちなので、講演とご飯、ディスカッション続きで眠くなってきたところで、少し寝落ちしそうになりました(すみません)。記念に、これまでの各国の「ボルハルト・ショアー」の前で記念撮影(写真4)。

5番目はSarpong研の日本人とディスカッションした後、Sarpong教授(以下 Richimond)本人と。Richimondとはゴードンでも会いましたが、ほとんど話ができなかったので改めて。とっても面白い人。講演のタイトルも方向性も似ていることを指摘されました。たしかに、似ているなと思った次第。

最後はTomくんとディスカッション。もう化学はお腹いっぱいなので、ベランダで二人でビールを飲んで語りました。

そのまま、少し離れたイタリアンレストランでTom, John, Richimond,そしてFelixと懇親会(写真5)。総じて、UCバークレーのメンバーはカジュアルなイメージでとっても好感がもてました。終了後、リモが来ていたので、それにのってスタンフォード大学のあるパロアルトへ。

3つ目:スタンフォード大学

さて、3つ目はスタンフォード大学。火曜日朝8:30に大学に向かうと、Noahが迎えに来てくれました*2。9時からTrost研究室の学生とディスカッション。話をきいていると、ふらっとTrost教授が入ってきました。いろいろ指摘しながらのディスカッションでまだまだ現役なんだと感じました*3。続いては、Chaitan Khosla教授。僕のケミカルバイオロジー関係のプロジェクトに興味があるようで(どこで知ったんだろう?ホームページ?)しきりに、どんなことをやっているかきいてきました。その話と、Noahの今後についての話であっという間にディスカッション時間終了。Noahが迎えに来てくれて、キャンパスツアーへと繰り出しました(写真1,2)。スタンフォード大学のあるパロアルトはまさにアメリカの大学街!といった広々とした印象。とってものどかですが、多くのIT企業があり、家賃は異常高騰しているようです。

さて、今回の米国講演旅行、2つミッションがありました。1つは学生からお願いされた案件で

「米国の大学のパーカー(フーディー)もしくはTシャツを買ってくること」

でした(もうひとつのミッションはPart IIIにて)。結局全部で7個のパーカーと3枚のTシャツを買い、スーツケースはそれだけでいっぱい。その「パーカー購入ミッション」で学生から希望が一番高かったのが、スタンフォード。というわけで、見学もほどほどにし、スタンフォードグッツショップでほとんど時間を費やしました。

一番人気のスタンフォードパーカー。結構高い6000〜8000円くらいする。

 

ここから怒涛のディスカッションの嵐。1番目はMatt Kanan准教授。存じ上げませんでしたが、固体触媒でのC-H活性化反応などをやっているとのこと。2番目はJustin Du Bois教授(以下Justin)。僕のなかでは彼は合成化学のヒーローであり、何度かあっているのでよく知っていました。ただしいつも早口で日本語であっても何をいっているのか聞き取れないだろうということもしばしば(苦笑)。3番目はYan Xia助教授。Noahと一緒にラダラン分子の機械的刺激による開環反応をScienceに報告した研究者です。ありそうで、知られていない化学で大変面白いディスカッションでした。最後は、難関のJim Collman教授K. B. Sharpless教授など多くの著名な化学者を弟子にもつ、知る人ぞ知るレジェンド化学者です。ただし、1時間以上のディスカッションは、正直きつかった….

そして最後はNoah。講演に来てもらって化学はきいていたので、雑談と休憩時間にしました。その後、講演。講演室の形が独特で面白かったです(写真3)。

懇親会は、Noah、Justin、そして、Jim Collman教授と(写真4)。いたれりつくせりの訪問でした。その後は、Noahとバーに飲みいき、Baran研時代のチームパラウアミン*4のチームメートだった、IYを呼び出しました(写真5)。彼はカナダ人で同い年。博士研究員のときは、いつも一緒にご飯を食べ、実験していた一番中の良い仲間でした。彼のおかげで、全然だめだった英語もわかるようになりました。現在、サンフランシスコの製薬会社で働いています。懐かしい再会に感謝。

4つめ:UCSF

水曜日、早朝にNoahがホテルに迎えに来てくれ、駅にいきました(写真1)。カルトレインという巨大な電車にのるためです(写真2)。3日間付き合ってくれたNoahに感謝と別れを告げ、本講演旅行4つめのUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)を訪問。

ここの講演は同じくチームメートであった、Ian Seiple助教授(以下Ian)が招待してくれました。スタンフォード大学とはうって変わって、都会にある大学。とはいえ、となりにスタジアムが建設されていたり、各所で新しい建物が作られており、10年後はさらに様変わりするんだろうなという印象でした。

UCSFには化学科はなく(他の大学もいくつかはそうですが)、IanはDepartment of Pharmaceutical Chemistryに所属しています。他の学科も、多くの研究者が製薬会社と連携しており、医薬品開発のための化学研究を行っています。今回も朝からディスカッション。1人目は、Danica Fujimori教授。エピジェネティクスに関連する研究に関してディスカッションしました。名大伊丹研にいた学生(4年生)がUCSFに大学院生として入学しており、思いがけず再会。二人目は、Michael Evans教授。PET関係のディスカッションでした。

その後、セミナー。Ianが予約時間を間違えて、質問時間なしの講演になってしまいましたが、楽しくお話することができました。

その後、数人の学生とランチを食べて(巨大なピザで半分ぐらいしかたべれませんでした)、ディスカッション再会。Ziyang Zhang博士Kevan Shokat教授Adam Renslo教授Nick Paras准教授、そして、3名の大学院生とディスカッションをして最後は、Ian とディスカッション。かなり精力的にメディシナルケミストリーをやっているようで、今後の論文が期待されます。

ディナーはIanと Guy Breitenbucher教授、そしてSteve Olson教授と(写真3)。2人はアメリカ製薬会社の名のある研究員でしたが、サイトの閉鎖で最近UCSFで教授として雇用されたそうです。とってもいい人たちでしたが、製薬会社の近況があまりわかっていなかったので、なかなか話についていくのがつらかったです。

サンフランシスコのホテルまで車で送いただき、カリフォルニアでの講演は全部終了。懇親会後、現在サンフランシスコの製薬会社で働いている、僕の初の博士課程の学生であるDebashis Mandal博士と再会。博士取得後、渡米して博士研究員としてNicolaou研、Ritter研を経験しており、もう6年も米国で過ごしているからか、インド訛り英語がなくなっていました。卒業以来あえてなかったので、二人で酒を飲みながら思い出と今後を語り合いました。

この週もう一大学で講演があります。続いては、ウェスト・コーストからミッドウェスト(中西部)への移動となります。続きはPart IIIにて!

余談

*1: できる人はこんな感じで、うまく情報を仕入れます。できない人は、英語が話せないだけで無視されます。これは経験談ですが、結構あっていると思います。

*2: アメリカの秘書(アシスタント)は総じていい人なんだけど、全くもって適当(3ヶ月ぐらいいればなれる)。当日もいけば外で待ってるわ!と言われたのですが、案の定待ってませんでした。Noahに電話するとすぐに迎えに来てくれました。アメリカって適当だよねという話で盛り上がりました。

*3: 残念ながら、今年の5月で引退らしいです。

*4: 最難関天然物パラウアミンをBaran研究室で一緒につくっていた仲間。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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