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エリック・ジェイコブセン Eric N. Jacobsen

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エリック・N・ジェイコブセン (Eric N. Jacobsen、1960年2月22日-)は、アメリカの有機化学者である(写真:sigmaldrich.com)。米ハーバード大学教授。

経歴

1982 ニューヨーク大学 学士号取得 (Yorke E. Rhodes教授)
1986 カリフォルニア大学バークレー校 博士号取得 (R.G.Bergman教授)
1986 マサチューセッツ工科大学 博士研究員 (K.B.Sharpless教授)
1988 イリノイ大学シャンペイン・ウルバーナ 助教授
1991 イリノイ大学シャンペイン・ウルバーナ 准教授
1993 ハーバード大学教授

 

受賞歴

1994 アーサー・C・コープ スカラー賞
1994 Fluka Prize “Reagent of the Year”
1998 Van’t Hoff Prize
2001 ACS Award for Creative Work in Organic Synthesis
2004 AIC Chemical Pioneer Award
2005 三井化学触媒賞
2007 Alan R. Day Award
2008 ACS H.C. Brown Award for Synthetic Methods
2011 Noyori Prize
2011 名古屋ゴールドメダル
2012 Chirality Medal
2012 Fannie Cox Science Teaching Award, Harvard University
2013 Remsen Award
2013 Bristol DTCSyngenta Award
2016 Arthur C. Cope Award
2016 Award for Creativity in Molecular Design and Synthesis
2020 Humboldt Research Award

 

研究概要

新規不斉触媒反応の開発と複雑生理活性物質合成への応用[1-5]

容易に大量調製・構造修飾可能なサレン配位子を用いる金属不斉触媒、ウレア部位を組み込んだ水素結合活性化型有機分子触媒の開発が傑出した業績である。

en_jacobsen_2.gif

Jacobsen-香月不斉エポキシ化

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Jacobsen速度論的光学分割加水分解

en_jacobsen_4.gif

チオウレア触媒を用いる不斉Strecker反応

不斉分子内Diels-Alder反応によるポリ環状化合物の合成法の開発

不斉分子内反応をつかったポリ環状化合物の効率的合成法を開発している[7]。 なお筆頭著者のBalskusはこの研究でPh.Dを取得し、Walshのところで生合成・生物有機化学を学んだ後、ハーバード大で助教となった(2011年より)

 

コメント&その他

1. 若くして教授となったため、国内外、企業アカデミック含めて非常に多くのJacobsen研Ph.D取得者、ポスドク経験者がいる。ティム・ジャミソン(MIT, 1997-1999、Posdoc)、クリスティーナ・ホワイト(イリノイ大学)、垣内 史敏(慶應大, 1995-1997, Posdoc)、徳永信(九大, 1996-1997, Posdoc)、中村正治(京大, 1999-2000, Visiting Professor)、斎藤進(名大, 1995, Visisint student)、チャン・サックボック(KAIST, 1996, Ph.D), モハメド・モバサギ (MIT, 2001-2003, Posdoc)、Christina M. White (イリノイ大、1999-2002, Posdoc)、Tehshik Yoon (ウィスコンシン大、2003-2005、Posdoc)、クリストファー・ヴァンダーワル(カルフォルニア大アーバイン, 2003-2005, Posdoc)、Clément  Mazet (Genève, 2006-2007, Posdoc)、 エミリー・バルスカス (Harvard, 2007, PhD)、 Abigail Doyle (Princeton, 2008, Ph.D.)、Noah Burns (Stanford, 2010-2012, ポスドク)、美多剛 (北大、2007-2009, Posdoc)、Masayuki Wasa (2013-2015, Posdoc) など。

 

関連文献

  1. Taylor, M. S.; Jacobsen, E. N.  Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 1520. doi:10.1002/anie.200503132
  2. Tokunaga, M.; Larrow, J. F.; Kakiuchi, F.; Jacobsen, E. N.  Science 1997277, 936. DOI: 10.1126/science.277.5328.936
  3. Zuend, S. J.; Coughlin, M. P.; Lalonde, M. P.; Jacobsen, E. N. Nature 2009461, 968. DOI: 10.1038/nature08484
  4. Xu, H.; Zuend, S. J.; Woll, M. P.; Tao, Y.; Jacobsen, E. N. Science 2010327, 986. DOI: 10.1126/science.1182826
  5. Lin, S.; Jacobsen, E. N. Nature Chem. 2012, 4, 817. DOI: 10.1038/nchem.1450
  6. Balskus, E. P.; Jacobsen, E. N. Science 2007, 317, 1736. DOI: 10.1126/science.1146939

関連書籍

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関連試薬

Aldrich

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Jacobsenチオウレア触媒:3[[[(1R,2R)2[[[[(1S)1[(Dimethylamino)carbonyl]2,2dimethylpropyl]amino]thioxomethyl]amino]cyclohexyl]imino]methyl]5(1,1dimethylethyl)4hydroxyphenyl 2,2dimethylpropanoate

分子量: 574.82

CAS: 462632-54-8

製品コード:693421

用途:不斉有機触媒

説明:Strecker反応、ヒドロホスホニル化、Mannich反応、シアノシリル化、Pictet-Spengler反応などの不斉反応に利用可能。

文献: Vachal, P.; Jacobsen, E. N. J. Am. Chem. Soc. 124, 10012, (2002).

その他のチオウレア触媒に関するリンク: Jacobsenチオウレア触媒:新規で有用な有機触媒(Aldrich製品紹介)

関連動画

外部リンク

 

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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