[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

Small Molecule Medicinal Chemistry -Strategies and Technologies-

 

内容

Stressing strategic and technological solutions to medicinal chemistry challenges, this book presents methods and practices for optimizing the chemical aspects of drug discovery. Chapters discuss benefits, challenges, case studies, and industry perspectives for improving drug discovery programs with respect to quality and costs.

• Focuses on small molecules and their critical role in medicinal chemistry, reviewing chemical and economic advantages, challenges, and trends in the field from industry perspectives
• Discusses novel approaches and key topics, like screening collection enhancement, risk sharing, HTS triage, new lead finding approaches, diversity-oriented synthesis, peptidomimetics, natural products, and high throughput medicinal chemistry approaches
• Explains how to reduce design-make-test cycle times by integrating medicinal chemistry, physical chemistry, and ADME profiling techniques
• Includes descriptive case studies, examples, and applications to illustrate new technologies and provide step-by-step explanations to enable them in a laboratory setting
(Wiley社内容紹介より)

対象

  • 低分子化合物の創薬化学を学び、実践する研究者、マネージャー

解説

医薬承認のハードルは年々上がり続け開発成功率は低下する一方、研究開発費は増加を続けている。この潮流下、低分子創薬は大きな戦略転換を求められている。

本書はその時代背景および関連する問題認識を踏まえた上で、低分子創薬研究で採られる先端的戦略・方法論・技術を概説した書籍である。
本書で扱うトピックには以下のようなものがある。いずれも現代の低分子創薬が直面する課題と、その解決を目指した取り組みといえる。

【質の高い化合物ライブラリの創製】
ADMETなど医薬特性に優れた化合物ライブラリ、未踏のケミカルスペースを狙える多様性に優れたライブラリ、天然物骨格の活用、改良ペプチドライブラリなど。

【垂直分業時代の化合物管理】
オープンな化合物ライブラリーの特徴、その管理・共有について。それに付随する権利化・リスクシェアリング・ビジネスモデルについて。

【ケミカルスペース拡張を行う合成化学】
多様性指向型合成、固相コンビナトリアル、多成分連結反応など。

【スクリーニング戦略】
フラグメント創薬、バーチャルスクリーニング、表現型スクリーニングなど。

【リード最適化戦略】
リピンスキーのRule of 5とその限界、ステープルペプチドとペプチドミメティクス、天然物創薬、薬物作用のin vivoイメージング(PET、蛍光分子、MRIなど)など。

「創薬研究戦略の現代的鳥瞰図」を大づかみしたい方には、打って付けの書籍と言えるだろう。2015年11月発刊であるため、情報も最新である。

概説書という事情から、現場研究に即効性のある深く掘り下げた記述はさほど多くない。各々をより深く学びたい方は、別の専門書を当たる必要があるだろう。

出版元がワイリー、執筆陣にはサノフィ、バイエル、ヤンセンファーマなどの製薬研究者、加えて欧米アカデミアの研究者が名を連ねる。そのせいか、ヨーロッパ事情に関する記述が少し多めかも知れない。

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. Name Reactions: A Collection of …
  2. 密度汎関数法の基礎
  3. 教養としての化学入門: 未来の課題を解決するために
  4. 有機機能材料 基礎から応用まで
  5. まんがサイエンス
  6. 医薬品天然物化学 (Medicinal Natural Prod…
  7. 2009年7月人気化学書籍ランキング
  8. 有機合成の落とし穴

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【書籍】合成化学の新潮流を学ぶ:不活性結合・不活性分子の活性化
  2. 私が思う化学史上最大の成果-1
  3. 液体ガラスのフシギ
  4. ロビンソン・ガブリエルオキサゾール合成 Robinson-Gabriel Oxazole Synthesis
  5. 免疫/アレルギーーChemical Times特集より
  6. マクドナルドなど9社を提訴、発がん性物質の警告表示求め=カリフォルニア州
  7. 根岸試薬(Cp2Zr) Negishi Reagent
  8. リック・ダンハイザー Rick L. Danheiser
  9. ゲラニオール
  10. アンリ・カガン Henri B. Kagan

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

シクロペンタジエニル錯体の合成に一筋の光か?

β-炭素脱離を用いるシクロペンタジエニル(Cp)錯体の新たな調製法が報告された。本法により反応系中で…

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP