[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

ハリー・グレイ Harry B. Gray

[スポンサーリンク]

ハリー・B・グレイ(Harry B. Gray、1935年11月14日-)は、アメリカの無機化学者、生化学者である(写真:カリフォルニア工科大学)。カリフォルニア工科大学教授。

経歴

1957 ウェスタンケンタッキー大学 卒業
1960 ノースウェスタン大学 博士号取得
1960-1961 コペンハーゲン大学博士研究員
1961-1963 コロンビア大学 助教授
1963-1965 コロンビア大学 准教授
1965-1966 コロンビア大学 教授
1966- カリフォルニア工科大学 教授

受賞歴

1979 レムセン賞
1986 ライナス・ポーリング賞
1986 National Medal of Science
1991 プリーストリーメダル
1992 Linderstorm-Lang Prize
1992 Gibbs Medal
2000 ハーヴェイ賞
2003 National Academy of Science Award
2004 ウルフ賞
2004 ベンジャミンフランクリンメダル
2006 フローレンス市分子科学賞
2008 Pupin Medal
2009 ロバート・ウェルチ賞
2010 International Coordination Chemistry Award from Japan
2013 Othmer Gold Medal
2014 T. W. Richards Medal
2018 F.A. Cotton Medal

 

研究概要

遠距離電子移動過程の発見・解析

電子移動反応は、呼吸・光合成・窒素固定など、様々な生命現象に関わっている。このような生体における電子移動反応では、ドナー部位とアクセプター部位がタンパクの構造によって遠くに隔てられている。しかしながら、1970年代当時、電子移動は近距離でしか起こらないものと考えられており、生体内でどのように電子が移動するのかは謎に包まれていた。

Grayらは、ルテニウム錯体などの光増感剤によって金属タンパクを標識し、標識部位-タンパクの金属中心間での電荷移動速度を時間分解分光法により解析した。彼らの研究から、25オングストローム以上の長距離においても、1マイクロ秒以下の速度で電子移動が起こることが示された。さらに、このような長距離電子移動は、電子が酸化還元性アミノ酸の側鎖を多段階に渡ってトンネルする「電子ホッピング」という過程によって起こることが解明された。

図1. 銅タンパク(アズリン)における電子移動。

彼らの研究は、光合成をエネルギー移動/貯蔵系として捉えるための重要な基礎的知見となった。現在、彼らはこのような研究を発展させ、光照射によって水素を発生させる無機材料の開発に取り組んでいる。

名言集

 

コメント & その他

論文執筆数は900以上。

 

関連動画

 

関連文献

  1. Winkler, J. R.; Gray, H. B. PNAS 2005, 102, 3534. DOI: 10.1073pnas.0408029102
  2. Shih, C.; Museth, A. K.; Abrahamsson, M.; Blanco-Rodriguez, A. M.; Di Bilio, A. J.; Sudhamsu, J.; Crane, B. R.; Ronayne, K. L.; Towrie, M.; Vlcek, A. Jr; Richards, J. H.; Winkler, J. R. Gray, H. B. Science 2008, 320, 1760. DOI: 10.1126/science.1158241
  3. Winkler, J. R.; Gray, H. B. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 2930. DOI: 10.1021/ja500215j

関連書籍

 

外部リンク

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 竜田 邦明 Kuniaki Tatsuta
  2. スティーブン・ヴァン・スライク Steven Van Slyke…
  3. エイダ・ヨナス Ada E. Yonath
  4. マット・シェア Matthew D. Shair
  5. 安積徹 Tohru Azumi
  6. 金城 玲 Rei Kinjo
  7. クラウス・ミューレン Klaus Müllen
  8. ステファン・ヘル Stefan W. Hell

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. グリニャール反応 Grignard Reaction
  2. スイス医薬大手のロシュ、「タミフル」の生産能力を増強へ
  3. 医薬品の合成戦略ー医薬品中間体から原薬まで
  4. ナタデココ、次世代の薄型ディスプレー基板に活用
  5. 大阪大学インタラクティブ合宿セミナーに参加しました
  6. 危険物データベース:第6類(酸化性液体)
  7. sp2-カルボカチオンを用いた炭化水素アリール化
  8. ハンチュ ジヒドロピリジン合成  Hantzsch Dihydropyridine Synthesis
  9. ドイツのマックス・プランク研究所をご存じですか
  10. 小スケールの反応で気をつけるべきこと

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

注目情報

注目情報

最新記事

島津製作所 創業記念資料館

島津製作所の創業から現在に至るまでの歴史を示す資料館で、数々の発明品が展示されている。第10回化学遺…

研究テーマ変更奮闘記 – PhD留学(後編)

前回の記事では、私がPhD留学を始めた際のテーマ決めの流れや、その後テーマ変更を考え始めてからの教授…

ジョン・ケンドリュー John C. Kendrew

ジョン・コウデリー・ケンドリュー(John Cowdery Kendrew、1917年3月24日-1…

食品添加物はなぜ嫌われるのか: 食品情報を「正しく」読み解くリテラシー

(さらに…)…

第100回―「超分子包接による化学センシング」Yun-Bao Jiang教授

第100回の海外化学者インタビューは、Yun-Bao Jiang教授です。厦門大学化学科に所属し、電…

第七回ケムステVシンポジウム「有機合成化学の若い力」を開催します!

第5回のケムステVシンポもうすぐですね。そして、第6回からほとんど連続となりますが、第7回のケムステ…

「自分の意見を言える人」がしている3つのこと

コロナ禍の影響により、ここ数カ月はオンラインでの選考が増えている。先日、はじめてオンラインでの面接を…

ブルース・リプシュッツ Bruce H. Lipshutz

ブルース・リプシュッツ(Bruce H. Lipshutz, 1951–)はアメリカの有機化学者であ…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP