[スポンサーリンク]

ケムステニュース

周期表を超えて~超原子の合成~

[スポンサーリンク]

『原子をいくつか組み合わせたものは、他の原子と同じ性質をもつ?そんなことってあるのか?』・・・と思いますが、それはスーパーアトムとよばれる複合クラスターによって実現されました。今回、Al7Cという炭素原子の周りにアルミニウムが7個結合したものが合成され、ゲルマニウムと同様な振る舞いをすることが報告されました。(Khanna, S. V. et al.   Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 2006, 103, 18405. DOI:10.1073/pnas.0608781103).(図:Chemical & Engineering News)
クラスターとは、『房(ふさ)』を意味する英語で、原子・分子が、数個~数十個、もしくはそれ以上集合した状態のことをいいます。クラスターとして代表的なものには、炭素が60個結びついたフラーレンなどがあります。フラーレンは共有結合で結びついていますが、金属結合や水素結合を介して結びつくクラスターもあります。つまり、原子レベルでの集合体≒クラスターというわけです。

 

クラスターの研究は多数行われていますが、その中でもバージニア州立大学のShiv N. Khanna教授とペンシルバニアA. Welford Castleman Jr教授は、「クラスターが他元素に類似した振る舞いをする」ことに着目して研究を行っています。

彼らは以前にも、アルミニウム原子が13個結合した金属クラスターが、化学反応過程でハロゲン原子と同様の振る舞いをすることを報告しています。(Science, 304, 84 (2004))

 

現在ではこのような例はまだ数個しか見つかっていませんが、このようなスーパーアトムが増えていくと周期表の上に新たな周期表ができるかもしれませんね。

 

関連書籍

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 製薬、3強時代に 「第一三共」きょう発足
  2. 武田薬品、週1回投与の骨粗鬆症治療薬「ベネット錠17.5mg」を…
  3. 数々の日本企業がIntel 2023 EPIC Supplier…
  4. <理研研究員>「論文3本」の実験データ改ざん
  5. 水素水業界、国民生活センターと全面対決 「断じて納得できません」…
  6. 呉羽化学、社名を「クレハ」に
  7. パテントクリフの打撃顕著に:2012製薬業績
  8. ヘリウム新供給プロジェクト、米エアプロダクツ&ケミカルズ社

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 「坂田薫の『SCIENCE NEWS』」に出演します!
  2. 米デュポンの第2・四半期決算は予想下回る、エネルギー費用高騰が打撃
  3. 留学せずに英語をマスターできるかやってみた(1年目)
  4. サムライ化学者高峰譲吉「さくら、さくら」劇場鑑賞券プレゼント!
  5. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑫:「コクヨのペーパーナイフ」の巻
  6. セス・B・ハーゾン Seth B. Herzon
  7. 基底三重項炭化水素トリアンギュレンの単離に世界で初めて成功
  8. 池田 富樹 Tomiki Ikeda
  9. ACS Macro Letters創刊!
  10. 実験教育に最適!:鈴木ー宮浦クロスカップリング反応体験キット

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年11月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP