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セメントから超電導物質 絶縁体のはずなのに

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 セメント原料の1つで、代表的な絶縁体として知られる石灰などの化合物から超電導物質を作ることに細野秀雄東京工業大教授らの研究チームが初めて成功、13日付の米化学会誌に発表した。超電導物質として開発できる材料を、大幅に増やす可能性を示す成果という。

 超電導物質になったのは、石灰と酸化アルミニウムからなる「C12A7」と呼ばれる酸化物。

 研究チームは、この酸化物の結晶を真空中で1100度まで加熱、結晶中の酸素イオンを電子に置き換えた化合物を作った。これを絶対零度(零下約273度)近くまで冷やしたところ、電気抵抗が急激に減り、最終的にはゼロになったという(引用:東京新聞)。

?「コンクリート材料が、超電導になることが見出されたら、私は研究生活をリタイヤする。」

ある著名な研究者がNature誌で述べた言葉。それが現実になりました。

12CaO・7Al2O3(C12A7)というアルミナセメントとほぼ同じ成分のものが、上記に記載してあるように超電導物質となったのです。このような典型元素だけの物質がコンクリートになったのは、世界ではじめてのことで非常におもしろい結果ですね。

  • 関連文献

Miyakawa, M.; Kim, S. W.; Hirano, M.; Kohama, Y.; Kawaji, H.; Atake, T.; Ikegami, H.; Kono, K.; Hosono, H. J. Am. Chem. Soc.2007,129, 7270.? DOI:10.1021/ja0724644?

  • 関連リンク

東京工業大学 細野・神谷 研究室

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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