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疑惑の論文200本発見 米大が盗作探知プログラム開発

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 米テキサス大のチームが盗作が疑われる医学論文約200本を見つけ出し、著者や編集者に見解を問いただした。「盗作された側」は「露骨な盗作」とあきれかえるが、「盗作した側」は、「先に論文が出ていたとは知らなかった」と言い訳が目立った。こうした盗作の実態が明らかになるのは珍しい。
 6日付の米科学誌サイエンスが掲載する。
 チームは、米国立医学図書館が運営する医学・生命科学の論文データベースを対象に独自開発のプログラムを使って表現の相似性を調べ、著者が異なっていた約9千本を抽出。実際に論文を読んで212本を「盗作の可能性がある」と判断した。(引用:asahi.com)

 

医学/生命科学分野を話題の対象としてはいますが、科学界全体に波及する話と思えます。現状、無視できないホットトピックの一つで、Scienceに掲載されるのも、何となく分かる気がします。

 学問の細分化が進み、発表論文数が指数関数的に増加し、peer reviewを行う側の負担も増大する一方な現状。世にある数千以上の関連論文と比較して「この部分が盗作だ」と逐一指摘するのは、既に現実的に見てほぼ不可能になっています。今後もこういうことは増えはすれど、減ることはないでしょう。ある程度コンピュータに任せなくてはならなくなっているというのも、やむなしな流れに思えます。

 某研究者が投稿した論文のイントロダクションが、別のラボがpublishした論文のそれと一語一句ほとんど同じだった、という話も筆者自身何度か耳にしたことがあります。ひどい話ですが、化学分野でもこういったことは珍しくないのが現実のようです。著作権と科学研究に対する意識の持ち方が低い地域では特に、そういうことが平気で横行しうるようです(どこだとはあえて言いませんが)。

 他人の結果や文章をパクってまで生き残りに必死でありたい、という気持ちはもちろん分からなく無いですが、そういうことに手を染めてしまうと、長期で見て良いことは無いように感じます。分野内の人には、どの研究者が危ういことをやってるだとか、何だかんだで噂が広まってしまうものですし。

 職業研究者にとって、優れた結果はもちろん必要なのですが、長く続けたいなら、どんな仕事であっても結局は誠実さと信頼関係こそがモノを言う気がします。綺麗事かもですが。

 科学を評価するのは、結局のところ人間同士以外にありえないのですから。

  • 関連文献

Garner, H. R. et al. Science 2009, 323, 1293. DOI:10.1126/science.1167408

  • 関連書籍
科学技術者の倫理 その考え方と事例 第3版
丸善
日本技術士会(翻訳)
発売日:2008-11-29
論文捏造 (中公新書ラクレ)
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おすすめ度5 超一流のドキュメンタリー作品
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背信の科学者たち (ブル-バックス)
講談社
牧野 賢治(翻訳)
発売日:2006-11-21
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 科学史再編
おすすめ度5 科学者も人の子、で、すまされるか
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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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