[スポンサーリンク]

ケムステニュース

塩野義製薬、抗インフル治療薬を年内に申請

[スポンサーリンク]

peramivir_1.gif

塩野義製薬は17日、開発中の抗インフルエンザウイルス治療薬ペラミビル(一般名)の薬効が既存薬の「タミフル」に劣らないことを第3相臨床試験で立証したと発表した。この臨床成績に基づき、同社は厚生労働省に承認申請を年内に提出、来年秋の承認取得を目指している。(引用:化学工業日報)

 ペラミビルの作用機序ははタミフル、リレンザと同様で、ウィルスのノイラミニダーゼを阻害して薬効を発現します。

 しかしこれらは投与法が全て異なっています。

 タミフルは経口投与、リレンザは吸入薬ですが、ペラミビルは注射(静脈注射、筋肉注射、点滴)によって投与されます。 

 注射投与は、薬物が全身へと巡る速度が速く、即効性が期待できるために重体患者への処方に有効とされます。その一方で、いつでもどこでも気軽に投与できる形式ではありません。

 ペラミビル注射製剤は、現在臨床試験が進められており、韓国ではミドリ十字(Green Cross Pharmaceutical)、日本では塩野義製薬がその任務を請け負っています。

 今回のニュースにもあるように塩野義製薬は、ペラビミルの第三相試験(Phase III)にて、タミフルと同等の効能を確認したと発表しました。順調にいけば2009年内に申請、2010年には発売される見通しです。

 近年注目を浴びている新型インフルエンザA/H5N1型や、タミフル耐性ウィルスにも効果があるとされており、副作用もタミフル・リレンザより低いことが臨床試験のデータから分かっています。

 インフルエンザのパンデミックが懸念されている現在の風潮において、抗インフルエンザ薬の選択肢が増えることは大変喜ばしいことです。

 現在他社が開発を進めているインフルエンザ薬には、第一三共のCS-8958(ノイラミニダーゼ阻害剤)、富山化学のT-705(RNAポリメラーゼ阻害剤)などがあります。今後とも日本発のインフルエンザ薬には要注目・期待大ですね。

CS-8598-2.gifT-705.gif

  • 関連書籍
新型インフルエンザ―世界がふるえる日 (岩波新書)
岩波書店
発売日:2006-09
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 いまそこにある危機
おすすめ度5 わかりやすいインフルエンザとビールス学の入門書
おすすめ度5 アメリカ大統領も抱いた危機
おすすめ度5 安心しててはいけない
おすすめ度5 一人ひとりの命の重さに変わりはない
史上最悪のインフルエンザ  忘れられたパンデミック
みすず書房
西村 秀一(翻訳)
発売日:2004-01-17
ランキング:350431
おすすめ度:4.5
おすすめ度5 新型ウイルスと騒ぐ前に
おすすめ度4 歴史書としても十分に楽しめる
おすすめ度5 世界同時多発の鳥インフルエンザの再来を前に
NHKスペシャル 最強ウイルス―新型インフルエンザの恐怖
日本放送出版協会
発売日:2008-05
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 今般の大流行でわかったことは日本の総合的対策の遅れだ。
おすすめ度5 ひしひしと伝わる緊迫感。新型インフルの恐ろしさがわかる
おすすめ度5 読むべし!
おすすめ度5 一気に読み切れる緊迫感があります
おすすめ度5 現代の恐怖

  • 関連リンク

Peramivir – Wikipedia

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 進め、分子たち!第2回国際ナノカーレースが3月に開催
  2. 国公立大入試、2次試験の前期日程が実施 ~東京大学の化学の試験を…
  3. 化学大手9月中間 三井化学と旭化成が経常減益
  4. 新型コロナウイルスをブロックする「N95マスクの95って一体何?…
  5. 化学五輪、日本代表4人の高校生が「銅」獲得
  6. ナタデココ、次世代の薄型ディスプレー基板に活用
  7. 2010年日本化学会各賞発表-学会賞-
  8. 資生堂、製品開発の可能性を大きく広げる新規乳化法開発に成功:プレ…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 極薄のプラチナナノシート
  2. ウィリアムソンエーテル合成 Williamson ether synthesis
  3. 学生・ポスドクの方、ちょっとアメリカ旅行しませんか?:SciFinder Future Leaders 2018
  4. リニューアル?!
  5. UCLA研究員死亡事故・その後
  6. 白金イオンを半導体ナノ結晶の内外に選択的に配置した触媒の合成
  7. 実験室の笑える?笑えない!事故実例集
  8. 酵素発現領域を染め分ける高感度ラマンプローブの開発
  9. 新しい糖尿病治療薬認可へ~人体機能高めるタイプから吸入式まで
  10. アルバート・エッシェンモーザー Albert Eschenmoser

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

様々な化学分野におけるAIの活用

ENEOS株式会社と株式会社Preferred Networks(PFN)は、2023年1月に石油精…

第8回 学生のためのセミナー(企業の若手研究者との交流会)

有機合成化学協会が学生会員の皆さんに贈る,交流の場有機化学を武器に活躍する,本当の若手研究者を知ろう…

UBEの新TVCM『ストーリーを変える、ケミストリー』篇、放映開始

UBE株式会社は、2023年9月1日より、新TVCM『ストーリーを変える、ケミストリー』篇を関東エリ…

有機合成化学協会誌2023年9月号:大村天然物・ストロファステロール・免疫調節性分子・ニッケル触媒・カチオン性芳香族化合物

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年9月号がオンライン公開されています。…

ペプチドの精密な「立体ジッパー」構造の人工合成に成功

第563回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 工学系研究科応用化学専攻 藤田研究室の恒川 英…

SNS予想で盛り上がれ!2023年ノーベル化学賞は誰の手に?

さてことしもいよいよ、ノーベル賞シーズンが到来します!化学賞は日本時間 10月4日(水) 18時45…

ケムステ版・ノーベル化学賞候補者リスト【2023年版】

各媒体からかき集めた情報を元に、「未来にノーベル化学賞の受賞確率がある、存命化学者」をリストアップし…

DMFを選択的に検出するセンサー:アミド分子と二次元半導体の特異な相互作用による検出原理を発見

第562回のスポットライトリサーチは、大阪府立大学(現:大阪公立大学)大学院 工学研究科 電子・数物…

イグノーベル賞2023が発表:祝化学賞復活&日本人受賞

今年もノーベル賞とイグノーベル賞の季節がやってきました。今年もケムステではどちらについても全速力で記…

ポンコツ博士の海外奮闘録XXII ~博士,海外学会を視察する~

ポンコツシリーズ国内編:1話・2話・3話国内外伝:1話・2話・留学TiPs海外編:1話・…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP