[スポンサーリンク]

ケムステしごと

相次ぐ海外化学企業の合併

[スポンサーリンク]

スイスのクラリアントは米ハンツマンを株式交換により買収することで合意した。時価総額で約140億ドル(約1兆5600億円)の化学品メーカーが誕生することになる。(5月22日:loomberg)

産業ガス世界2位の独リンデと3位の米プラクスエアは1日、合併することで最終合意したと発表した。合算の売上高は約290億ドル(約3兆2200億円)、時価総額は700億ドル超に達し、業界首位の仏エア・リキードを大きく上回る。(6月2日:日本経済新聞)

昨年度に発表があったダウとデュポンの合併に引き続き、世界の化学メーカーの合併の動きが加速しています。

スイスのクラリアントは米ハンツマンは、スペシャリティケミカル分野のリーディングカンパニーであり、合併後は、従業員数は約3万2000人、年間売上高は130億ドルを超える規模になります。社名は、ハンツマンクラリアントとなる予定だそうです。クラリアントは、静岡に顔料と機能性化学品の製造拠点を富山に固体触媒の製造拠点を有しています。一方のハンツマンは、日本には製造拠点がありません。ハンツマンクラリアントは合併によって、世界第二位の売り上げを持つスペシャリティケミカルカンパニーとなり最大手のエボニックに挑みます。

リンデとプラクスエアは窒素や酸素などの産業用のガスを製造・販売する企業です。新会社の社名はリンデで登記上の本社はアイルランドに置き、取締役会などは英国で開くそうです。産業ガス最大手の仏エア・リキードは、昨年に米エア・ガスを買収しましたが、リンデとプラクスエアの合併によりリンデが最大手となります。リンデもプラクスエアも日本ではガスの販売は行っていませんが、リンデのヘリウム液化装置は、東京大学を始めとして国内で使われています。

各社の合併の目的は、生産の効率化と各社が弱い地域での売り上げの拡大であり、今後も多くの業種で合併や買収などの動きが続く可能性があります。

関連書籍

[amazonjs asin=”480791295X” locale=”JP” title=”世界の化学企業: グローバル企業21社の強みを探る (科学のとびら)”] [amazonjs asin=”4815808783″ locale=”JP” title=”見えない産業―酸素が支えた日本の工業化―”]

関連リンク

 

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 危険!DDT入りの蚊取り線香
  2. 光熱変換材料を使った自己修復ポリマーの車体コーティングへの活用
  3. 走り出すグリーンイノベーション基金事業~採択テーマと実施企業が次…
  4. 第13回化学遺産認定~新たに3件を認定しました~
  5. 科学の未解決のナゾ125を選出・米サイエンス誌
  6. 春の褒章2010-林民生教授紫綬褒章
  7. 南ア企業がヘリウム生産に挑む
  8. 2025年ノーベル化学賞は、「新しいタイプの結晶構造ーMOFの開…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ニコラス-ターナー Nicholas Turner
  2. ボリルヘック反応の開発
  3. 萩反射炉
  4. 遷移金属の不斉触媒作用を強化するキラルカウンターイオン法
  5. 佐藤 伸一 Shinichi Sato
  6. シャープな蛍光色変化を示すメカノフォアの開発
  7. 創薬におけるモダリティの意味と具体例
  8. 学生・ポスドクの方、ちょっとアメリカ旅行しませんか?:SciFinder Future Leaders 2018
  9. 中村栄一 Eiichi Nakamura
  10. カルシウムイオン濃度をモニターできるゲル状センサー

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年6月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP