[スポンサーリンク]

元素

酸素 Oxygen -空気や水を構成する身近な元素

[スポンサーリンク]

 酸素は人間が呼吸するため、生物が生合成するために必要な元素です。いろいろな元素とよく結合し、酸化物となります。

 

酸素の基本物性データ

分類 非金属、カルコゲン
原子番号・原子量 (15.9994)
電子配置 2s22p4
密度 1.429kg/m(ダイヤモンド)
融点  –218.4℃
沸点 –182.96℃ (ダイヤモンド)
硬度
色・形状 無色・気体
存在度 地球 47万4000ppm、宇宙2.38✕107
クラーク数 49.5%(1位)
発見者 カール・ヴィルヘルム・シェーレ(1771年)、ジョセフ・プリーストリー(1774年)
主な同位体 16O(99.757%), 17O(0.038%), 18O (0.205%)
用途例 酸化剤、助燃剤、殺菌作用(O3)、酸素ボンベ
前後の元素 窒素ー酸素ーフッ素

酸素は誰が発見した?

酸素は2人の研究者によって別々に発見されました。一人はシェーレ。スウェーデンの化学者です。

1771年、シェーレは酸素ガスを発見し、空気が「火の空気」(酸素)、「駄目な空気」(窒素)の2種類の気体からできているとしました。しかし、シェーレは1777年までこのことを発表できませんでした。

シェーレの発見から遅れること3年、今度はイギリスの牧師であったプリーストリーが酸化水銀を燃焼させた気体がロウソクを勢い良く燃えさせることを発見しました(1774年)。プリーストリーはすぐにそれを発表したため、酸素発見の栄誉はプリーストリーに与えられました。

現在では、それぞれが独立して発見したことが明らかとなったため、2人とも酸素の発見者として認められています。

2016-03-04_23-36-09

カール・ヴィルヘルム・シェーレ

1742–1786年 塩素、マンガン、バリウムなどの元素を多数発見した他、シュウ酸、クエン酸、安息香酸などの有機化合物も発見している。ただし、発表はほとんど行っていない。

ジョセフ・プリーストリー

1733–1804年 イギリスの化学者であるが、1794年にアメリカに移住したため、現在アメリカ化学会最高の賞(プリーストリー賞)としても名前が残っている。

 

酸素は酸の素?

酸素という名前は、「酸の素は酸素である」と考えたラボアジェがギリシャ語のoxys(酸)とgennan(生む)から名付けました。ただ、残念ながら「酸の素」は酸素ではありません。真の「酸の素」は、水溶液中において、一般に水素陽イオン(プロトン:H+)を出す物質であることが現在では明らかとなっています。

真の「酸の素」

真の「酸の素」

 

最も安い酸化剤

酸素はさまざまな物質を酸化する酸化剤です。紙や木などの炭化水素は、酸素によって酸化され、二酸化炭素と水になります。また酸素は、金やプラチナなどの安定な金属以外と反応して、酸化物を作ります。

例えば、鉄が錆びるのは、鉄と酸素が結合して酸化鉄になるからです。また、食べ物を室温で放置しておくと味や色が変わってくるのも、食べ物が参加されることが関わっています。工業的にも、最も安価な酸化剤として酸素が使われています。

 

酸素の同位体:オゾンO3

酸素には2つの同素体があります。2つの酸素原子が結合した酸素分子o2と、3つ結合したオゾンO3です。オゾンはフッ素に次ぐ強力な酸化作用があり、殺菌や脱臭などに用いられます。成層圏に存在するオゾンはオゾン層と呼ばれ、有害な紫外線が地表に直接降り注ぐことを防いで*います。

2016-03-04_23-45-13

*防いで:このことからオゾンは害のないものというイメージがあるが、高濃度のオゾンは刺激臭があり毒性がある。オゾンには強力な酸化作用があるといっても、強力な酸化作用を持つ活性酸素とは別のもので、活性酸素は主にヒドロキシラジカル(・OH)などを指す。

 

酸素に関するケムステ関連記事

 

関連書籍

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. リン Phosphorusー体の中の重要分子DNAの構成成分。肥…
  2. 希少金属
  3. 114番元素と116番元素が正式認可される
  4. カリウム Potassium 細胞内に多量に含まれる元素
  5. 周期表の形はこれでいいのか? –上下逆転した周期表が提案される–…
  6. フリードリヒ・ヴェーラー Friedrich Wohler
  7. ナトリウム Sodium -食塩やベーキングパウダーに使用
  8. 元素のふしぎ展に行ってきました

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 求電子的トリフルオロメチル化 Electrophilic Trifluoromethylation
  2. 4つの異なる配位結合を持つ不斉金属原子でキラル錯体を組み上げる!!
  3. 地球外生命体を化学する
  4. 企業研究者のためのMI入門③:避けて通れぬ大学数学!MIの道具として数学を使いこなすための参考書をご紹介 mi3
  5. 学部生にオススメ:「CSJ カレントレビュー」で最新研究をチェック!
  6. 元素川柳コンテスト募集中!
  7. 第119回―「腸内細菌叢の研究と化学プロテオミクス」Aaron Wright博士
  8. 日本入国プロトコル(2022年6月末現在)
  9. トム・メイヤー Thomas J. Meyer
  10. YMC研究奨励金当選者の声

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年3月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

注目情報

最新記事

メカノケミカル有機合成反応に特化した触媒の開発

第 497回のスポットライトリサーチは、北海道大学総合化学院 有機元素化学研究室…

ポンコツ博士の海外奮闘録XVII~博士,おうちを去る~

ポンコツシリーズ国内編:1話・2話・3話国内外伝:1話・2話・留学TiPs海外編:1話・…

研究内容を「ダンス」で表現するコンテスト Dance Your Ph.D.

アメリカ科学振興協会(AAAS)と科学誌Scienceが開催する論文ダンスコンテスト「Dance…

ゲノムDNA中の各種修飾塩基を測定する発光タンパク質構築法を開発

第496回のスポットライトリサーチは、東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科 バイオニクス専攻…

SDGsと化学: 元素循環からのアプローチ

概要 元素循環化学は、SDGs の達成に寄与するものとして近年関心が増している。本書では、元…

【技術者・事業担当者向け】 マイクロ波がもたらすプロセス効率化と脱炭素化 〜ケミカルリサイクル、焼成、乾燥、金属製錬など〜

<内容>脱炭素化と省エネに貢献するモノづくり技術の一つとして、昨今注目を集めているマイクロ波。当…

分子糊 モレキュラーグルー (Molecular Glue)

分子糊 (ぶんしのり、Molecular Glue) とは、2個以上のタンパク質…

原子状炭素等価体を利用してα,β-不飽和アミドに一炭素挿入する新反応

第495回のスポットライトリサーチは、大阪大学大学院工学研究科 応用化学専攻 鳶巣研究室の仲保 文太…

【書評】現場で役に立つ!臨床医薬品化学

「現場で役に立つ!臨床医薬品化学」は、2021年3月に化学同人より発行された、医…

環状ペプチドの効率的な化学-酵素ハイブリッド合成法の開発

第494回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院生命科学院 天然物化学研究室(脇本研究室) 博…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP