[スポンサーリンク]

天然物

ロドデノール (rhododenol)

[スポンサーリンク]

GREEN2013rhododendrol01.png

ロドデンドロール(rhododendrol)、もしくはロドデノール(rhododenol)は、メラニン産生の抑制作用を持つ植物から発見された成分。美白を目的にした化粧品開発が行われ商品化されたものの、白くまだらになる症状が発覚し対象製品が回収されることになりました。

 

  • 詳細

ロドデンドロール(rhododendrol)は、ハクサンシャクナゲ(Rhododendron fauriae )から発見された成分[1]で、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-(4-Hydroxyphenyl)-2-butanol)のこと。商品流通に際し一般名のロドデノール(rhododenol)でも呼ばれます。幅広い分類の植物に含まれるとされ、例えばメグスリノキ(Nikko Maple; Acer nikoense )やシラカバ(White Birch; Betula pubescens )でも含有が確認されています[2],[3],[4],[5],[6]。

2007年に、ロドデンドロールは美白成分としての作用が、株式会社カネボウ化粧品により見出されました[2]。翌2008年、メラニン生成を抑え、しみやそばかすを防ぐ効果を有する新規医薬部外品有効成分として厚生労働省の認可を取得、商品化されます。しかし、2013年に、肌がまだらに白く症状が発覚し対象製品が自主回収となりました。

メラニンの産生を抑制する仕組みは、ひとつにチロシナーゼの阻害による、と発表されています[2]。チロシナーゼは標準アミノ酸のひとつであるチロシンを酸化してドーパを生合成する酵素であり、ドーパがさらに酵素変換、最終的に重合してできる物質がメラニンです。ロドデンドロールは、チロシンの代わりにこの酵素に取りつき、酵素の持つ触媒作用を妨害します。

GREEN2013rhododendrol02.png

マウスメラノソーマ培養細胞B16 4A5におけるメラニン産生の抑制[7]

肌がまだらになる症状の原因は、2013年現在、いまだ不明です。

 

  • 分子モデル

GREEN2013rhodendrolmovie.gif

 

  • 参考文献

[1] Kawaguchi R et al. J. Pharm. Soc. Japan 1942, 62, 4

[2] Ando H et al. Int. J. Mol. Sci. 2010, 11, 2566-2575, DOI: 10.3390/ijms11062566

[3] Sona A et al. Ann. Chim. 1940, 14, 5

[4] "Rhododendrol glycosides and phenyl glucoside esters from inner bark of Betula pubescens." Pan H et al. Phytochem. 1994 DOI: 10.1016/S0031-9422(00)97017-1

[5] Inoue T et al. J. Pharm. Soc. Japan 1978, 98, 41

[6] "Rhododendrol biosynthesis and metabolism in Acer nikoense callus" Fujita T et al. Biotec. Lett. 1998 DOI: 10.1023/A:1005463123118

[7] "Melanogenesis-Inhibitory and Cytotoxic Activities of Diarylheptanoids from Acer nikoense Bark and Their Derivatives." Akihisa T et al. Chem. Biodiv. 2012 DOI: 10.1002/cbdv.201200024

[8] 平成19年9月21日薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会議事録(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/txt/s0921-4.txt)

販売名はカネボウホワイトニングエッセンスS、申請者は株式会社カネボウ化粧品、剤型・含量に示しましたとおり本剤は薬用化粧品の化粧水でございます。有効成分のうち、4-(4- ヒドロキシフェニル)-2-ブタノールが、新有効成分となります。効能・効果は、ここに記載されたとおりですが、新有効成分である4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノールに基づくものは、最初に書いております、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」というもので、ほかの効能は主には既承認のグリチルリチン酸ジカリウムに基づくものでございます。用法・用量は、「適量を顔又は身体各部の肌に塗布する。」として申請されております。

[9] 有機化学美術館分館「美白と接着剤とドーパミン」(http://blog.livedoor.jp/route408/archives/52117562.html)

 

Avatar photo

Green

投稿者の記事一覧

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

関連記事

  1. バイアグラ /viagra
  2. ITO 酸化インジウム・スズ
  3. フルエッギン Flueggine
  4. グリチルリチン酸 (glycyrrhizic acid)
  5. 酒石酸/Tartaric acid
  6. シラン Silane
  7. アザジラクチン あざじらくちん azadirachtin
  8. ゲラニオール

注目情報

ピックアップ記事

  1. どっちをつかう?:in spite ofとdespite
  2. 化学系ラボでSlackを使ってみた
  3. 相田 卓三 Takuzo Aida
  4. 光薬理学 Photopharmacology
  5. 3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応
  6. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」①(解答編)
  7. 【9月開催】第十一回 マツモトファインケミカル技術セミナー   オルガチックスを用いたゾルゲル反応による金属酸化物膜の形成
  8. カルボン酸だけを触媒的にエノラート化する
  9. トリフルオロ酢酸パラジウム(II):Palladium(II) Trifluoroacetate
  10. 荒木飛呂彦のイラストがCell誌の表紙を飾る

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年8月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

光でゆがむ分子 ― アルミニウム錯体の対称性の破れをコヒーレント振動分光で観測

第711回のスポットライトリサーチは、九州大学大学院理学研究院 化学部門(分光分析化学研究室)・江原…

有機合成のカラム精製に革新を 〜モノリスカラムで変わる「研究のスピード」〜

筆者の研究室では有機合成を行っています。合成も大変ですが、何より大変なのが精製操作。最近、とある…

酸素は系内に入り込み続ける【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

アンモニウム構造によりラジカル種の発生位置を完全に制御!

第710回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の榊原 陽太(さかきばら …

化学つれづれ草【ある研究者の回想】

概要物理化学者で量子機能材料を専門とする著者によるエッセイ集.化学者としての研究,教育,人生…

第60回有機反応若手の会

開催概要有機反応若手の会は、有機化学分野で研究を行う全国の大学院生を中心とした若手研究者が集い、…

ノーベル賞受賞者と語り合う5日間!「第18回HOPEミーティング」参加者募集!

申し込みはこちら概要主催:独立行政法人 日本学術振興会(JSPS)開催地:神奈川…

光触媒による高効率なCO2還元の実現―まさかの光を弱く当てることが重要だった―

第709回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 理学院(前田研究室)博士後期課程2年の仲田竜一 …

「π-πスタッキング」という言葉が生む誤解【芳香環の相互作用を見直す: 前編】

芳香環が平行に並んで近接しているとき、その構造を「π–π スタッキング」と表されることがよくあります…

一重項酸素によるC(sp2)−P結合切断を用いた長波長光によるリン化合物のアンケージング

第 708 回のスポットライトリサーチは、同志社女子大学 薬学部 医療薬学科 5…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP