[スポンサーリンク]

日本人化学者インタビュー

「生物素材で新規構造材料を作り出す」沼田 圭司 教授

[スポンサーリンク]

第39回となる研究者へのインタビュー。

今回インタビューをお願いしたのは、沼田圭司先生。生体高分子の構造と物性の相関を解明し実用的な材料として利用することを目指して研究を行っています。

天然のクモ糸を模倣した人工シルクの開発が一般的にも著名な研究成果でしょうか。若くしてERATOなどの研究代表者も歴任しており、最近理化学研究所から京都大学へ教授として移ったばかりの大注目の化学者です。今回、第4回のケムステVシンポ講演者として登壇いただけることになり、またとない機会ですので、インタビューもお願いさせていただきました。それではインタビューをお楽しみください!

Q. あなたが化学者になった理由は?

高校の部活の顧問が、化学の先生でした。テスト期間や夏休みの宿題シーズンに、試合が頻繁にありまして、試合の待ち時間に、その顧問の先生が、化学を教えてくれました。そのお陰で化学が好きになったかもしれません。

研究者になった経緯は、全く別です。大学院の指導教官である土肥義治先生に、手に職をつけた方が良いというご助言を頂きまして、博士に進学しました。博士を取得した後は、海外に行きたかったので、欲望のままに海外にいき、帰国したら現在のような研究者になっていました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

スポーツ選手になりたいです。理由は、自分が絶対になれないと、分かっているからです。

Q. 現在、どんな研究をしていますか?また、どのように展開していきたいですか?

現在は、高分子科学を中心に、生物学をツールとして用いながら、生物素材で新規の構造材料を作り出そうとしています。生物素材からできた自動車や、家屋、ビルなどを創出したいです。という訳で、そんなに化学者ではなく、最近は生物系の研究者に分類されることが多いです。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

ベタに、Paul J. Floryですかね。P.J.Floryの教科書を読んでますし、高分子をやっているからには、話を聞いてみたいです。とくに、高分子認定バトルみたいな経緯も、愚痴ってもらいたいです。興味があるのは、Pierre-Gilles de Gennesですね。同じ時代に生きていたので、頑張れば会えたのかもしれませんが。その当時、私はまだソフトマターに辿り着いていませんでした。残念です。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

SPring-8ですかね。今はCOVID-19でクローズしていますが、再開したら、またやると思います。変形条件下におけるペプチドやタンパク質材料のWAXD測定が多いです。SPring-8の実験は、いつも増永啓康博士に手伝ってもらっているので、自分の実験かと言われると少し申し訳ないです。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本も音楽も、あまり持ってないので。サバイバルブックみたいな本でしょうか。

Q. 次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。

東京大学 酒井崇匡先生。学生時代から、関東高分子若手研究会でご一緒していますが、全てにおいて圧倒されます。私が目標にしている先輩です。

関連リンク

沼田教授の略歴

所属:京都大学 工学研究科材料化学専攻高分子材料化学講座生体材料化学分野

専門:高分子の生合成と分解。

略歴:2003年に東京工業大学工学部高分子工学科(古屋秀峰先生)を卒業し、2007年に同大学院総合理工学研究科にて博士(工学)を土肥義治先生、阿部英喜先生の指導のもとで取得。その間、スウェーデン王立工科大学Ann-Christine Albertsson先生の研究室へ研究留学。2008年から2年間、海外学振で米国Tufts大学David L. Kaplan先生の研究室に留学。2010年に理研に採用して頂き、生体高分子に関する研究室を立ち上げた。2014年よりImPACTプロジェクトリーダー(鈴木隆領PM)、2016年よりJST-ERATO研究総括、2020年より現職。主な受賞は、The 2020 ACS Macro Letters/Biomacromolecules/Macromolecules Young Investigator Award(2020)、高分子学会旭化成賞(2019)、日本植物細胞分子生物学会奨励賞(2019)、Bio-Environmental Polymer Society Young Scientist Award (2018)、文部科学大臣表彰若手科学者賞(2018)など。2018年から2020年までPolymer JournalのAssociate Editorを、2020年4月からはACS Biomaterials Science & EngineeringのAssociate Editorを務める。

*本インタビューは2020年5月20日に行われたものです

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 第65回「化学と機械を柔らかく融合する」渡邉 智 助教
  2. 第126回―「分子アセンブリによって複雑化合物へとアプローチする…
  3. 第73回―「Nature Chemistryの編集者として」Ga…
  4. 第10回 太陽光エネルギーの効率的変換に挑むー若宮淳志准教授
  5. 第143回―「単分子エレクトロニクスと化学センサーの研究」Non…
  6. 第70回―「ペプチドの自己組織化現象を追究する」Aline Mi…
  7. 反応化学と生命科学の融合で新たなチャレンジへ【ケムステ×Hey!…
  8. Christoph A. Schalley

注目情報

ピックアップ記事

  1. リン酸アルミニウムを飲んだら爆発?
  2. 第36回ケムステVシンポ「光化学最前線2023」を開催します!
  3. “転位”無縫な骨格構築!(–)-Spiroaspertrione Aの全合成
  4. 【東日本大震災より10年】有機合成系研究室における地震対策
  5. マット・ショアーズ Matthew P. Shores
  6. 論文の自己剽窃は推奨されるべき?
  7. 次世代電池の開発と市場予測について調査結果を発表
  8. 酒石酸にまつわるエトセトラ
  9. ケーニッヒ・クノール グリコシド化反応 Koenigs-Knorr Glycosidation
  10. 第36回 生体を模倣する化学― Simon Webb教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年5月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

キョウチクトウ科植物に含有される多量体型アルカロイドの完全化学合成に成功―ビスロイコノチンAおよびボウシゴニンBの世界初の全合成―

第714回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(天然物創薬化学研究室)博士課程後期3…

科学捜査! ― 見えない指紋を化学の力で光らせよ ―

近年、分子構造に起因した発光メカニズムの解明が進み、単一分子で複数の機能を有する分子の研究が活発化し…

光で結晶の傷が癒える!?光応答性分子を用いた自己修復への挑戦

第713回のスポットライトリサーチは、立教大学理学部(森本研究室)に所属されていた西村涼 助教にお願…

ウェビナー「化学的リン酸化試薬(モノリン酸化アミダイト)の開発とRNA合成への応用」アーカイブ配信中! 【富士フイルム和光純薬】

高純度RNA合成には、効率的な精製法の確立が不可欠です。そこで、名古屋大学大学院 理学研究科の阿部 …

有機合成化学協会誌2026年6月号:抗体・薬物複合体・機能性有機蛍光色素・速度論的反応機構解析・触媒的脱水型ベンジル化・植物由来モノマー

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年6月号がオンラインで公開されています(記事公…

50代で初めての転職。面接対策から退職交渉までフォローし、マッチングを成功させた「伴走」の重要性

40~50代からの転職に、不安を抱く人は少なくありません。年齢的なハードル、これまで築いてきたキャリ…

PFAS代替素材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、202…

【28卒】太陽HD研究開発 1day仕事体験

太陽HDでの研究開発職を体感してみませんか?私たちの研究活動についてより近くで体…

分子間相互作用で「π–π スタッキング」を考える【芳香環の相互作用を見直す: 後編】

芳香環が平行に近接するときの分子間相互作用は、静電相互作用、分散力、脱溶媒和、誘起作用、交換反発とい…

MI Conf 2026 Materials Informatics Conference

MI Confとは4年目となる、MI実践知が集まる場。マテリアルズ・インフォマテ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP