[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

生物活性分子のケミカルバイオロジー

[スポンサーリンク]

 

内容

生物活性分子の標的同定と作用機構は創薬の基盤技術として期待され,日本発のさまざまな手法によって大きく展開している.本書では,生物活性リガンドを用いるケミカルバイオロジー研究について,第一線研究者が生物活性リガンドの基礎,および分子標的の基礎から最先端までを総括的に解説する.

(引用:書籍紹介ページより)

 

対象

大学院以上、研究者

 

解説

タイトル通りケミカルバイオロジーに関して記した新書である。そもそも「CSJカレントレビュー」シリーズは注目分野の重要トピックを揃えた入門書であり、読みやすく、人気を集めている。私も何冊か気になる分野の同シリーズを所有しているが、概してわかりやすく、そして興味を引かれる内容に仕上がっている良いシリーズであると思う。通常「フロントランナーに聞く」という特別座談会から始まり、基本的な概念や知識などを記載した後、分野の最前線トピックを第一人者たちがわかりやすく紹介する「研究最前線」そして、役に立つデータ集や資料と続く。

本書においても、変わりなく「フロントランナーに聞く」では、上村大輔教授、長田裕之博士、上杉志成教授、そして聞き手として上田実教授の座談会が紹介されている。ケミカルバイオロジーの歴史にも今後の展望にも触れられるよい記事だと思う。内容に関しては最新トピックにもかかわらず基礎から簡単に書いてあるので、わかりやすい。あまり知識がない人でも読めるのではないだろうか。化学者はもちろん、生物学者にも化学者がどのように考えて生物にアプローチしようとしているのか読んで欲しい書籍である。たまにあるコラムも秀逸だ。重要実験のプロトコールといま一番気になっている研究者を紹介している。

他のケミカルバイオロジー書籍との違いはすべてを見たわけではないのでわからないが、かなり化学によりではあるが、かつ研究現場でツールとして使えるような最新研究が紹介されている。

いまから、ケミカルバイオロジー研究をはじめる学生にはぜひオススメしたい書籍である。それだけではなく果敢にもケミカルバイオロジー研究をはじめた研究者にも一度ゼロから分野の基礎的な話を覗ける絶好の機会を与えてくれる書籍であるといえる。

 

関連書籍

 

外部リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 高機能性金属錯体が拓く触媒科学:革新的分子変換反応の創出をめざし…
  2. Medical Gases: Production, Appli…
  3. ハートウィグ有機遷移金属化学
  4. トップ・ドラッグ―その合成ルートをさぐる
  5. はじめての研究生活マニュアル
  6. フタロシアニン-化学と機能-
  7. モビリティ用電池の化学: リチウムイオン二次電池から燃料電池まで…
  8. 一流ジャーナルから学ぶ科学英語論文の書き方

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 動的コンビナトリアル化学 Dynamic Combinatorial Chemistry
  2. 糸状菌から新たなフラボノイド生合成システムを発見
  3. アルカロイドの大量生産
  4. マリア フリッツァニ-ステファノポウロス Maria Flytzani-Stephanopoulos
  5. 第十二回ケムステVシンポ「水・有機材料・無機材料の最先端相転移現象 」
  6. その置換基、パラジウムと交換しませんか?
  7. フォルハルト・エルドマン環化 Volhard-Erdmann Cyclization
  8. イミノアルキンと共役ジエンの形式的[4+1]アニュレーションによる多置換ピロール合成
  9. 全合成 total synthesis
  10. クロスカップリングの研究年表

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年4月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

超塩基に匹敵する強塩基性をもつチタン酸バリウム酸窒化物の合成

第604回のスポットライトリサーチは、東京工業大学 元素戦略MDX研究センターの宮﨑 雅義(みやざぎ…

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP