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化学書籍レビュー

ハートウィグ有機遷移金属化学

 

内容

有機合成化学を目指す初学者から大学院生,研究者までを対象に,有機遷移金属化学を有機合成に応用する際に必要な基礎知識と応用が,詳細かつわかりやすく書かれた教科書.錯体化学的基礎から有機遷移金属化学に必要な概念の解説に始まり,有機合成や触媒反応への応用が初学者でもわかるように詳細に記述されている.

上巻目次:構造と結合/供与性L型配位子/炭素または水素原子で結合した共有結合性X型配位子/ヘテロ原子で結合した共有結合性X型配位子/配位子置換反応/非極性基質の酸化的付加反応/極性基質の酸化的付加反応/還元的脱離反応/移動挿入反応/脱離反応/配位子への求核攻撃/配位子への求電子攻撃/金属-配位子多重結合

下巻目次:触媒反応の基礎/均一系水素化反応/オレフィンのヒドロ官能基化反応と酸化的官能基化反応/触媒的カルボニル化反応/C-H結合の触媒的官能基化反応/遷移金属触媒によるカップリング反応/アリル位置換反応/オレフィンメタセシス反応およびアルキンメタセシス反応/オレフィンの重合反応およびオリゴマー化反応

(引用:書籍紹介ページより)

対象

大学院生以上、研究者

 

解説

Hartwig教授が執筆した”Organotransition Metal Chemistry: From Bonding to Catalysis”の翻訳版。原本は1100ページを超える1冊の書籍だが、翻訳版は上巻・下巻にわかれている。上巻はすでに1年前に発売されており、2015年3月に待望の下巻が発売された。研究でも超一流を走るHartwig教授が、時間を割いてこの大作を執筆している。原本は6年前に発売され「有機遷移金属化学のバイブル」として既に地位を確立している。良い研究者が良い教育が必ずしもできるわけではないという話は同感できるが、同書籍は紛れもなくトップの研究者が書いた良著であるといえるだろう。

さて、日本語の有機金属化学書籍として有名なものは、

1.山本昭夫先生の「有機金属化学ー基礎と応用」

2. ヘゲダスの「ヘゲダス遷移金属による有機合成」

3. 辻二郎先生の「有機金属のための遷移金属触媒反応」

が挙げられる(他にもあるが、ここでは上記の3つのみ比較としてあげる)。1は名著であるがさすがに30年前の書籍なので内容が古い。2は十数年前に発売され、4年前に改訂がおこわなわれているが、遷移金属錯体化学よりである。3は良著であるが、ボリュームが足りない。英語書籍には辻先生のものも含めて良書は満載だが今回は議論から外そう。

今回の書籍はまずはボリュームが半端ない。上下巻を併せて1000ページ以上。原本とほぼ同様のページ数を有している。また、内容が遷移金属錯体の基本から、かなり実用的な有機合成化学への応用まで記載しており、これはHartwig教授の研究を考えればお分かりになるであろう。

さて、肝心の中身であるが、上述の目次のように、遷移金属錯体の構造と結合、配位子、配位数、基本有機金属反応について述べ、下巻でより反応別に有機金属の反応化学を紹介している。古くから知られいる反応から近年興隆しているC-H活性化反応の基礎と応用までも事例をあげてかなり詳しく記載されている。確かに特に上巻に関しては大学生でも学ぶ異様は含まれているが、下巻に関してはかなり有機金属化学反応よりなので大学院生以上が望ましい。

いずれにしても、有機金属化学を学ぶ学生、教える化学者の両者にとっても必ず手に入れておきたい書籍といえる。

 

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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