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化学者のつぶやき

テクノシグマのミニオイルバス MOB-200 を試してみた

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筆者は物理的に狭いラボにしか所属したことがなく、広いラボスペースには憧れを抱いています。皆様も建物の都合上、どうしても狭いラボスペースで多くの実験を回さざるを得ないこともあると思います。スペースの拡大が難しいのであれば、設備の小型化を図るのが最善の代替策となるでしょう。うちはあろうことか反応を掛けるためのスペースも僅少で、そのくせオイルバスアナログダイヤル温度表示なしでかいと三重苦状態であったため、年度更新で思い切って全とっかえを画策しました。

そこでいろいろ物色していて「おっ?」と思ったのが、株式会社テクノシグマ さんの製品ラインナップでした。「ミニサイズ理化学機器」との文字に目が止まり見てみると…ミニオイルバスがあるじゃないですか!
ちなみにテクノシグマさんと言えば低温反応装置の UCリアクターが有名かと思います。ケムステでも製品レビューを行っています。他にも一風変わった理化学機器を多数扱っていて、HP を見ているだけでも興味が尽きません。

で、そのミニオイルバスの製品カタログがコチラ。

 ミニオイルバスのカタログ画像
(テクノシグマさんよりいただきました。クリックすると製品ページに飛びます)

サイズはミニですが温度表示も昇温もデジタル制御、これは良さそう…!

思い立ったが吉日、早速デモ機を頼んでみました。デモの感想はというと「これぞ求めていたものだ!」という感じで、2週間のデモ終了時に新品を取り敢えず 3 台購入しました。以降の画像は全て購入品を写したものとなります。

実際に使ってみた

弊ラボはドラフトも1機しかないため、可能な限りの空きスペースを利用して反応装置を設置しています。取り急ぎ、僅かなスペースにミニオイルバスを2台設置してみました (写真1)。なお、冷却管は水害予防も兼ねて原則としてコンデンシンを使用しています。ミニオイルバス+コンデンシンの組み合わせはサクッと反応装置を設置するのに非常に便利ですね。

2台並べてみた。スターラーの方がでかい! (写真1)

 

正確に測れていませんがご覧の通りのミニサイズ (写真2)

 

バスの内径は約 12 cm で、300 mL のナスフラスコがジャストサイズです (写真3)。もちろんそれより小さいナスフラスコも利用できます。

 

300 mLまでのナスフラスコに対応しています (写真3)

欠点はないの?

あえて欠点を挙げるとすれば、ミニサイズ・軽量ゆえドッシリ感が少なく、スターラーの上で滑りやすいというところでしょうか。もちろん撹拌子を強力に回したぐらいではビクともしませんが、手を滑らせてうっかり倒しちゃうということがありそうですので、固定法をしっかりと考えた方が良いかもしれません。

あとは価格がそこそこします。サイズダウンしても性能は立派なのでそれに見合った価格ですが、所属機関によっては備品扱いになる価格かもしれないのがちょっと勿体無いです。もっと普及すればお手頃になるかも? ただ、自社工場での組立製品のため、値段に見合った信頼性・耐久性があり、修理対応や特注対応もしているとのこと。これはありがたいです。

うれしいポイント

バスがミニサイズということは、中に入れるオイルの量も少なくて済みます。うっかり溶液をこぼしたりしてオイル交換になった場合も体積が少なければダメージも小さいですね。シリコンオイルも消耗品なので、スペースだけではなくランニングコストの省サイズ化にも本製品が一役買ってくれると思います。

おわりに

ミニオイルバスが来てから、実験台もドラフトもだいぶスッキリしました。基本的に小スケールの反応しか掛けないようなラボでは、大は小を兼ねるということはあまりなく、むしろ小は大に勝ると言えるかもしれません。今のところ実験上の問題もなく、皆が快適に使えています。実験スペースにお悩みの先生方、ぜひ本製品を試してみてはいかがでしょうか。

ちなみにテクノシグマさんからはミニエバポという製品も出ていて、今回は予算の都合上購入を見送りましたが、同じく省スペース化を図る上で非常に魅力的でした。いつか4連タイプを設置したいです。

問い合わせ先

ミニオイルバス MOB-200 はデモに対応しています。お問い合わせはテクノシグマさんへお願いします。

お問い合わせ先:
株式会社 テクノシグマ
〒701-2141 岡山市北区牟佐874-5

TEL: 086-229-9521
FAX: 086-229-9522
E-mail: info@techno-sigma.co.jp

http://www.techno-sigma.co.jp/

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DAICHAN

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創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

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