[スポンサーリンク]

化学一般

動画でわかる! 「575化学実験」実践ガイド

[スポンサーリンク]

動画でわかる!「575化学実験」実践ガイド

動画でわかる!「575化学実験」実践ガイド

東京都理化教育研究会, 田中義靖
¥2,695(as of 12/11 07:02)
Release date: 2022/05/30
Amazon product information

概要

575(ご・しち・ご)化学実験とは、「準備5分、実験7分、片付け5分で実施できるほど簡単で、かつ、教育効果のある実験」で、平成30・31年度 東京都理化教育研究会 化学専門委員会により提案された。本書はその成果をさらに発展させ、より使いやすい内容として整理。書籍購入者は、収載している実験の動画や、授業で使える実験プリントのデータなどが利用能。

手軽で安全な実験が多いので、高校化学の授業だけでなく、自由研究や実験教室のネタとしても最適です。

(引用:丸善出版

対象者

学校の教員。概要の通り、化学の自由研究に興味のある親御さんや実験教室を開催している方にも参考になる書籍です。

目次

第1章 物質の構成
 1 30秒でワインを蒸留
 2 ウォッカで色素を抽出
 3 30秒で色素の分離
 4 10秒で炭素の検出
 5 かんぴょうで炎色反応
第2章 物質の変化
 6 銅はくで定比例の法則を確認
 7 シュウ酸で量的関係を確認
 8 クエン酸でアレニウスの定義を確認
 9 酢酸とアンモニアを混ぜて消臭
第3章 物質の状態と平衡
 10 水蒸気でマッチを燃やす
 11 手のひらで反応熱を確認
 12 数滴でダニエル電池
 13 導線不要の鉛蓄電池
 14 銅はくで電気分解
 15 シリンジで状態方程式を確認
 16 湿度から気体定数を計算
 17 試験管でチンダル現象
第4章 物質の変化と平衡
 18 シリンジで反応速度を測る
 19 色の変化で反応速度を確認
 20 試験管で平衡移動を確認
 21 臭いと沈殿で平衡移動を実感
第5章 無機物質
 22 二酸化炭素の反応を音で確認
 23 ヨウ素で色がついたり移ったり
 24 試験管でいぶし銀づくり
 25 日光写真の仕組みを考える
第6章 有機・高分子化合物
 26 使い捨てカイロでエステル合成
 27 グルコースで藍染め
 28 ヨーグルトでタンパク質の確認
 29 銅はくでレーヨンづくり
 30 ボンドとペットボトルで合成樹脂の実験

解説

こちらの書籍を一言で表すと、高校化学の実験指南書です。ただ、教科書に掲載されているような典型的な実験ではなく、準備5分、実験7分、片付け5分で完結するようにデザインされた実験が紹介されています。本書を読む前は、一つくらいは体験した実験が載っているかと思いましたが、全て未体験の実験でした。

ページ構成として、最初の概要で実験で取り上げる事象や典型的な実験との違いに触れています。次に実験プリント例で、実験手順や結果・考察を例示しており、そのまま教員がこのページを使って実験を行えるようになっています。解説では、実験の原理から操作上のポイント、使用している試薬や素材の説明、追加の発展実験例まで解説されています。生徒が参加して行う実験の授業では、予備実験を行いますが、本書には実験の様子を撮影した動画のリンクが貼りつけられており、操作のタイミングを動画で確認しながら準備を進めることができます。基本的には学校の器具や試薬を使った実験が紹介されていますが、一部は家庭にあるものでも実施可能な実験も含まれており、家庭での自主学習も可能です。

中学や高校にはNMRなどの分析機器はもちろんないので、化学反応後の生成物を確認する手段は限られています。そんな中、本書では色や匂いの変化をうまく駆使して、生徒に化学反応が起きて異なる分子が合成されたことを感じられるように原料がうまく選ばれています。また、シリンジを使って発生したガスを定量している実験がいくつか紹介されていますが、これも通常は発生した気体をハンドリングするのは難しく、使い捨てのシリンジをうまく使って実験を完結させているのは先生方のアイディアが詰まっていると感じました。

自分は、中高で実験の楽しさに魅力を感じて化学科に入学したわけですが、先生方が本書を活用し、化学実験の楽しさや化学を学ぶ意義を授業の中で多くの生徒に示してほしいと思います。

化学教育に関するケムステ書籍レビュー

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 理系のためのフリーソフト Ver2.0
  2. Reaction and Synthesis: In the O…
  3. 【書籍】「世界一美しい数学塗り絵」~宇宙の紋様~
  4. くすりに携わるなら知っておきたい! 医薬品の化学
  5. 世界の化学企業ーグローバル企業21者の強みを探る
  6. 初歩から学ぶ無機化学
  7. 未来を拓く多彩な色素材料
  8. よくわかる最新元素の基本と仕組み―全113元素を完全網羅、徹底解…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2011年ノーベル化学賞予測―トムソン・ロイター版
  2. 交差アルドール反応 Cross Aldol Reaction
  3. 堂々たる夢 世界に日本人を認めさせた化学者・高峰譲吉の生涯
  4. サクラの酵母で作った赤い日本酒を商品化に成功
  5. Pythonで学ぶ実験計画法入門 ベイズ最適化によるデータ解析
  6. 吸入ステロイド薬「フルタイド」の調査結果を発表
  7. 可逆的に解離・会合を制御可能なサッカーボール型タンパク質ナノ粒子 TIP60の開発
  8. マルコフニコフ則 Markovnikov’s Rule
  9. メルク、主力薬販売停止で15%減益
  10. 第94回日本化学会付設展示会ケムステキャンペーン!Part III

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年12月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

早稲田大学各務記念材料技術研究所「材研オープンセミナー」

早稲田大学各務記念材料技術研究所(以下材研)では、12月13日(金)に材研オープンセミナーを実施しま…

カーボンナノベルトを結晶溶媒で一直線に整列! – 超分子2層カーボンナノチューブの新しいボトムアップ合成へ –

第633回のスポットライトリサーチは、名古屋大学理学研究科有機化学グループで行われた成果で、井本 大…

第67回「1分子レベルの酵素活性を網羅的に解析し,疾患と関わる異常を見つける」小松徹 准教授

第67回目の研究者インタビューです! 今回は第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化す…

四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応

四置換アルケンの位置選択的かつ立体選択的な触媒的ヒドロホウ素化が報告された。電子豊富なロジウム錯体と…

【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学

Be–Be結合をもつ安定な錯体であるジベリロセンの配位子交換により、分極したBe–Be結合形成を初め…

小松 徹 Tohru Komatsu

小松 徹(こまつ とおる、19xx年xx月xx日-)は、日本の化学者である。東京大学大学院薬学系研究…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP