[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

菅裕明 Hiroaki Suga

菅裕明 (すが ひろあき、1963年2月21日-)は、日本の生化学者である。東京大学理学部化学科教授(写真;新学術領域「生合成リデザイン」)。

経歴

1986 岡山大学工学部工業化学科 卒業
1989 岡山大学工学部精密応用化学科 修士号取得
1994 マサチューセッツ工科大学化学科 博士号取得(正宗悟 教授)
1994 米国マサチューセッツ総合病院・ハーバード大学医学部 博士研究員(J.W.Szostak教授)
1997 ニューヨーク州立大学バッファロー校化学科 助教授
2002 ニューヨーク州立大学バッファロー校化学科 准教授
2003 東京大学先端科学技術研究センター 助教授
2005 東京大学先端科学技術研究センター 教授
2010 東京大学理学部 教授

受賞歴

2011 日本学術会議会長賞
2015 文部科学大臣表彰科学技術賞
2016 読売テクノ・フォーラム ゴールド・メダル賞
2016 マックス・バーグマンメダル
2016 日本イノベーター大賞特別賞
2017 名古屋シルバーメダル

研究概要

フレキシザイムの創製[1]

菅教授はリボザイム創製技術を活用し、tRNAの3’末端にあらゆる種類のアミノ酸を担持させうるRNA触媒を開発した。mRNAに一対一対応したアミノ酸を選び結合させる生体内酵素系とは全く異なるはたらきをする、人工系ならではの一般性が特徴である。菅教授はこれをフレキシザイム(Flexizyme)と名付け、特殊ペプチドを作り出すための基礎技術の一つとした。

Hiroaki_Suga_2.jpg

特殊ペプチド創薬を目指した統合的スクリーニングシステムの創製

非天然型アミノ酸や環状構造を持つ特殊ペプチドは、小分子・抗体の利点を併せ持つ第三の医薬骨格として注目を集めている。

菅教授は、自ら開発したフレキシザイム技術をさらに展開し、非天然アミノ酸・環状構造を組み込んだ特殊ペプチドを翻訳合成するためのFITシステム、それをIn vitroディスプレイ法と組み合わせ迅速にスクリーニングするためのRaPIDシステムを確立。医薬標的に結合する特殊ペプチドの迅速探索システムを確立した。

Hiroaki_Suga_3.gif

(画像:東大理学部)

特殊ペプチド創薬バイオベンチャーの創設

菅教授は上記技術を統合的に管理し、提供する大学発ベンチャー企業・ペプチドリームを立ち上げ、自身の特殊ペプチド創薬技術をビジネス展開している。2013年に同社はマザーズ上場を果たしている。

Hiroaki_Suga_4.jpgコメント&その他

自らのユニークなキャリアパスと経験を還元する、アメリカの研究費制度を概説した書籍を執筆している。2004年刊行ではあるが、制度設計に絡む思想にフォーカスしているため、現在でも内容は古びた様子がない。日本の研究費システム設計を考えるうえで非常に参考になるばかりか、留学希望者、外国でのポスト取得を狙う野心家、研究費を継続取得する必要があるプロ研究者にとって広く読破価値のある良書だと思えます。

関連動画

 

 

関連文献

  1. Ohuchi, M.; Murakami, H.; Suga, H. Curr. Opin. Chem. Biol. 2007, 11, 537. doi:10.1016/j.cbpa.2007.08.011
  2.  「学生諸君、大学院は将来への投資だ!」菅裕明、化学と工業、2011年9月号[PDF]

関連書籍

外部リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. グァンビン・ドン Guangbin Dong
  2. 澤本 光男 Mitsuo Sawamoto
  3. 大村 智 Satoshi Omura
  4. 槌田龍太郎 Ryutaro Tsuchida
  5. ダン・シングルトン Daniel Singleton
  6. 飯島澄男 Sumio Iijima
  7. Junfeng Zhao
  8. ブルース・ギブ Bruce C. Gibb

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2009年度日本学士院賞、化学では竜田教授が受賞
  2. ボタン一つで化合物を自動合成できる機械
  3. インドの化学ってどうよ
  4. ドライアイスに御用心
  5. iPhone7は世界最強の酸に耐性があることが判明?
  6. 富士通、化合物分子設計統合支援ソフト「キャッシュ」新バージョンを販売
  7. 日本発元素がついに周期表に!!「原子番号113番」の命名権が理研に与えられる
  8. 最も引用された論文
  9. 1回飲むだけのインフル新薬、5月発売へ 塩野義製薬
  10. ブーボー・ブラン還元 Bouveault-Blanc Reduction

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

電池長寿命化へ、充電するたびに自己修復する電極材

東京大学大学院工学系研究科の山田淳夫教授らは、充電するたびに自己修復を繰り返し、電池性能の劣化を防ぐ…

(−)-Salinosporamide Aの全合成

(−)-salinosporamide Aの立体選択的全合成が達成された。アザ-ペイン転位/ヒドロア…

クラウド版オフィススイートを使ってみよう

クラウド版オフィススイートとはOffice onlineやGoogle ドライブなどのことで、ソフト…

NHCが触媒する不斉ヒドロフッ素化

キラルなN–ヘテロ環状カルベン(NHC)を触媒として用いたα,β-不飽和アルデヒドに対する不斉ヒドロ…

ケミカルバイオロジーとバイオケミストリー

突然ですが、質問です。有機化学と無機化学。違いは説明できますか?「生体物質をあつかうものが有…

改正特許法が国会で成立

特許を侵害したと疑われる企業に専門家が立ち入り検査する制度を新設する改正特許法が10日午前の参院本会…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP