[スポンサーリンク]

ケムステニュース

森林総合研究所、広葉樹害虫ヒメボクトウの性フェロモン化学構造を解明

[スポンサーリンク]

フェロモン

?森林総合研究所では、信越化学工業株式会社との共同研究により、ヤナギやポプラなどの広葉樹、ナシやリンゴなどの果樹の幹や枝を食害するヒメボクトウというガの雌が雄を誘引する性フェロモン1)の化学構造を決定し、人工的に合成した性フェロモンにより、野外で多数の雄成虫を捕獲できることを明らかにしました。この合成フェロモンを用いることによって、ヒメボクトウの被害軽減が期待できます。この成果は、国際誌Journal of Chemical Ecologyの4月26日付けオンライン版(電子版)に掲載されました。(引用:日経プレリリース)

  図のような(E)-3ーテトラデセニルアセテート:(Z)-3ーテトラデセニルアセテートの混合比が95:5~98:2の混合物がヒメボクトウの性フェロモンであることが判明したそうです。フェロモンではよくあることで、このように幾何異性体が混ざっているもの、光学異性体がある割合で混ざっているものがあります。この割合でなければ虫を誘引しません。フェロモンは今回のヒメボクトウのように分子量が小さく飛びやすいため非常に構造決定が困難です。非常に面白いニュースですね。

関連書籍



人と虫の愛笑香―男と女を惑わすフェロモンの秘密







フェロモン利用の害虫防除―基礎から失敗しない使い方まで

企業人としてフェロモンとその製剤の開発に成果を上げた著者が、フェロモン利用の基礎と失敗しない防除のポイントを解説。テキスト型及び体験談型で書かれた、読んで面白く、技術的興奮が呼び起こされる一冊。





性フェロモン―オスを誘惑する物質の秘密

五十万をこえるカイコガ、一万近いゴキブリ。その飼育が化学者たちのスタートラインだった。昆虫の「処女」から抽出された不思議な物質…。構造の解明から害虫駆除への応用まで、四十年の研究史を平易に解説する。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 育て!燃料電池を担う子供たち
  2. シロアリの女王フェロモンの特定に成功
  3. 混ぜるだけで簡単に作製でき、傷が素早く自己修復する透明防曇皮膜
  4. アルツハイマー原因物質、緑茶成分に抑制機能・埼玉医大など
  5. 第8回 野依フォーラム若手育成塾
  6. 発見が困難なガンを放射性医薬品で可視化することに成功
  7. 抗菌目薬あす発売 富山化学工業 国内初の小児適用
  8. グラクソ、抗血栓症薬「アリクストラ」の承認を取得

注目情報

ピックアップ記事

  1. ケムステのライターになって良かったこと
  2. ファン・ロイゼン試薬 van Leusen Reagent (TosMIC)
  3. 酸素ボンベ爆発、男性死亡 
  4. 薗頭 健吉 Kenkichi Sonogashira
  5. 励起状態複合体でキラルシクロプロパンを合成する
  6. Illustrated Guide to Home Chemistry Experiments
  7. ストリゴラクトン類縁体の構造活性相関研究 ―海外企業ポスドク―
  8. 日本酸素記念館
  9. 孫悟飯のお仕事は?
  10. 有機反応を俯瞰する ーヘテロ環合成: C—C 結合で切る

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年5月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP