[スポンサーリンク]

ケムステニュース

盗難かと思ったら紛失 千葉の病院で毒薬ずさん管理

去年11月、千葉県印西市の日本医科大学千葉北総病院で、薬事法で毒薬に指定されている筋弛緩(しかん)剤の小瓶5本がなくなり、病院は盗まれた可能性もあるとみて警察に相談していました。その後の病院への取材で、病院の管理に問題があり、筋弛緩剤を紛失していたことが分かりました。当日、職員が手術室で使用前の筋弛緩剤を誤って捨てたとみられます。病院は被害届を出しておらず、「再発防止に努めたい」としています。 (引用:テレビ朝日系1月11日)

毎年数件はある病院での筋弛緩剤紛失事件ですが、今回も盗難ではなく紛失だったようです。多くの筋弛緩剤は、日本の法律で毒薬に指定されていて鍵付きの保管庫で管理し、使用の記録を付けることが求められていますが、今回の場合は管理に問題があったようです。

危険な薬品の紛失事件は、病院だけでなく研究室や学校でも起きうることで、2016年の1月には、宮崎県の高校で窓ガラスが割られ硫酸と硝酸、メタノールが盗まれています。この時には、該当薬品が正しく保管されておらず、購入や使用記録などもなく管理の問題も指摘されています。ほとんどの化学系の研究室で、毒劇を保管していると思いますが、法令に遵守した毒劇の保管をしなくてはなりません。

先の盗難事件で挙がった硝酸や硫酸はよく使う試薬ですが、劇物に指定されています。また、ニトリル基を有する化合物も多くの場合、劇物に指定されています。毒劇の厄介なところは、試薬によって指定の濃度が異なることであり、例えば硝酸の場合、10%未満の溶液は劇物指定から外れますが、硫酸の場合は濃度に関係なく劇物の指定となり、一つ一つ薬品をチェックする必要があります。また、毒劇の指定は時々更新されるため、定期的に法令の確認が必要で、例えば昨年7月の改正では無水酢酸が劇物に指定されました。劇物の含まれる薬品ビンには指定の表示をしなくてはならないため、昨年の7月前に購入した無水酢酸には、下記のようなステッカーを準備し張る必要があります。

劇物の表示ステッカー

 

2000年に起きた筋弛緩剤点滴事件により薬品の紛失に対しては世間の目が厳しくなっています。化学者は学生を含めて常に危険な薬品を日常的に使うため、常に法令遵守の精神を忘れないことが重要だと思います。

関連書籍

関連リンク

The following two tabs change content below.
Zeolinite

Zeolinite

企業の研究員です。最近、合成の仕事が無くてストレスが溜まっています。

関連記事

  1. ウーロン茶に新薬開発の夢 県立大グループが新成分発見
  2. 東レ、ナノ構造制御技術を駆使した半導体実装用接着シートを開発
  3. メディビック、抗がん剤「グルフォスファミド」の第II相試験を開始…
  4. 大阪大入試:昨年の化学も「設定に誤り」と外部から指摘
  5. トヨタ、世界初「省ネオジム耐熱磁石」開発
  6. 日本化学会第86春季年会(2006)
  7. 長井長義の日記など寄贈 明治の薬学者、徳島大へ
  8. 「不斉化学」の研究でイタリア化学会主催の国際賞を受賞-東理大硤合…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ChemSketchで書く簡単化学レポート
  2. 書物から学ぶ有機化学4
  3. ペタシス・フェリエ転位 Petasis-Ferrier Rearrangement
  4. 18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)
  5. 3成分開始剤系を用いたリビングラジカル重合
  6. 「生合成に基づいた網羅的な天然物全合成」—カリフォルニア大学バークレー校・Sarpong研より
  7. 天然階段状分子の人工合成に成功
  8. 脱水素型クロスカップリング重合法の開発
  9. ODOOSをリニューアル!
  10. 元素名を名字にお持ちの方〜

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

アルキルアミンをボロン酸エステルに変換する

不活性C(sp3)–N結合をボリル化する初めての反応が開発された。入手容易なアルキルアミンから様々な…

生物の仕組みに倣う:背景と光に応じて色が変わる顔料の開発

第165回目のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科 ・坂井美紀(さかい みき)さんに…

イミデートラジカルを用いた多置換アミノアルコール合成

イミデートラジカルを用い、一挙に多置換アミノアルコールを合成する方法が開発された。穏和な条件かつ位置…

ジェフリー·ロング Jeffrey R. Long

ジェフリー·ロング(Jeffrey R. Long, 1969年xx月xx日-)は、アメリカの無機材…

【なんと簡単な!】 カーボンナノリングを用いた多孔性ナノシートのボトムアップ合成

第 164 回目のスポットライトリサーチは東京大学大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻の森泰造 (…

「進化分子工学によってウイルス起源を再現する」ETH Zurichより

今回は2018年度のノーベル化学賞の対象となった進化分子工学の最前線でRNA・タンパク質工学を組み合…

PAGE TOP