[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

スコット・ミラー Scott J. Miller

スコット・ミラー (Scott J. Miller、1966年12月11日-)はアメリカの有機化学者である。

経歴

1989 ハーバード大学卒業
1994 ハーバード大学博士課程修了 (David Evans教授)
1994-1996 カリフォルニア工科大学博士研究員 (Robert Grubbs教授)
1996-2001 ボストンカレッジ助教授
2001-2002 ボストンカレッジ准教授
2002-2006 ボストンカレッジ教授
2006- エール大学教授
2008- Irenee du Pont Professor of Chemistry

受賞歴

1986-1989- Harvard College Scholarship
1989- Thomas T. Hoopes Prize for Outstanding Senior Thesis,  Harvard College
1989-1992- National Science Foundation Predoctoral Fellowship?
1994-1996- National Science Foundation Postdoctoral Fellowship
1998- Research Innovation Award of Research Corporation
1999-2002- National Science Foundation CAREER Award
1999- Cottrell Scholar Award of Research Corporation
2000-2007- Merck Chemistry Council Awards
2000- Eli Lilly Grantee Award
2000- Glaxo-Wellcome Chemistry Scholar Award
2000- DuPont Young Professor Award
2000- Camille Dreyfus Teacher-Scholar Award
2000- Alfred P. Sloan Research Fellowship
2003- Pfizer Award for Creativity in Organic Chemistry
2004- Arthur C. Cope Scholar Award, American Chemical Society(コープ賞)
2005- Robert Burns Woodward Visiting Scholar, Harvard University
2006- Boehringer-Ingelheim Cares Foundation Unrestricted Research Grant
2009- Yoshimasa Hirata Memorial Gold Medal, Nagoya University (平田義正メモリアルレクチャー賞)
2011- National Institutes of Health MERIT Award
2012- Fellow of the American Association for the Advancement of Science
2016 ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry

 

研究概要

ハーバード大Evans研究室で主に不斉触媒反応(ビスオキサゾリジンー銅錯体を利用したDiels-Alder反応)[1]の開発に従事し、Ph.Dを取得する。1994年、カリフォルニア工科大学のR. H. Grubbs研究室で博士研究員となり、主にRCM反応による環状ペプチドの合成を行う[2]。1996年にボストンカレッジでポストを得た後、オリゴペプチド型触媒を用いた不斉触媒反応に着手。1998年にトリペプチド触媒を用いた、不斉アシル化反応を報告した[3]。現プリンストン大学Macmillan教授らとともに有機分子触媒の先駆けとなる研究となっている。アシル化反応の際に生じる酢酸が生じることから、酸によって蛍光を発するアミノメチルアントラセンと触媒を樹脂で固定化し、それを用いて活性のある触媒が蛍光を発生することを確認することで効率的に活性のある触媒を確認する方法を開発した[4]。

また、イノシトール誘導体の選択的なホスホリル化触媒を開発することにより、短段階でのD-myo-Inositol-1-Phosphateの全合成を達成している[5]。

scott1.gif
イノシトール誘導体の選択的なホスホリル化

その後も、プロリンとオリゴペプチドを混合したデュアル触媒を用いた不斉森田ーBaylis-Hillman反応[6]、オリゴペプチド触媒を用いた遠隔非対称化反応[7]、エリスロマイシンAの選択的アシル化反応[8]、アスパラギン酸ペプチド触媒による不斉エポキシ化反応[9]など、マイルドな条件、独自のアプローチで多数の興味深い有機不斉触媒反応の開発を行っている。

Scott2.gif
オリゴペプチド触媒を用いた遠隔非対称化反応

引き続きペプチド触媒に注力し、最近ではペプチド触媒による不斉ブロモ化によるビアリール化合物の速度論的分割(2010年)[10]、1,3-ジオールの不斉スルホン化による非対称化(2009年)[11]、ポリエンの位置選択的エポキシ化反応(2012年)[12]の開発に成功している

コメント

  1. 現在エール大学教授であり、2004年にはコープ賞、2009年にはDu bois,Baran、Seebargerなど若手のカリスマ性のある化学者が受賞している平田義正メモリアル賞を受賞し、若手から中堅にかけての世界的に代表する有機化学者となっている。
  2. 多くの著名な有機化学者が受賞しているACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistryの受賞が決定した(2016年8月)。

 

関連文献

  1. Evans, D. A.; Miller, S. J.; Lectka, T.  J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 6460-6461.DOI: 10.1021/ja00067a091
  2. Miller, S. J.; Grubbs, R. H.  J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 5855-5856. DOI: 10.1021/ja00126a027
  3. Miller, S. J.; Copeland, G. T.; Papaioannou, N.; Horstmann, T. E.; Ruel, E. M. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 1629-1630.
  4. Copeland, G. T.; Miller, S. J. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 4306-4307.
  5. Sculimbrene, B. R.; Miller, S. J. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 10125-10126. DOI: 10.1021/ja016779
  6. Imbriglio, J. E.; Vasbinder, M. M.; Miller, S. J. Org. Lett. 2003, 5, 3741-3743.
  7. Lewis, C. A.; Chiu, A.; Kubryk, M.; Balsells, J.; Pollard, D.; Esser, C. K.; Murry, J.; Reamer, R. A.; Hansen, K. B.; Miller, S. J.   J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 16454-16455.DOI: 10.1021/ja067840j
  8. Lewis, C. A.; Miller, S. J.   Angew. Chem. Int. Ed. 200645, 5616-5619.
  9. Peris, G.; Jakobsche, C. E.; Miller, S. J.  J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 8710-8711. DOI: 10.1021/ja073055a
  10. Gustafson, J.; Lim, D.; Miller, S. J.  Science 2010328, 1251-1255. DOI: 10.1126/science.1188403
  11. Fiori, K. W.; Puchlopek, A. L. A.; Miller, S. J.  Nature Chem20091, 630-634. DOI: 10.1038/nchem.410
  12. Lichtor, P. A.; Miller, S. J. Nature Chem. 20124, 990-995.
  13. Barrett, K. T.; Metrano, A. J.; Rablen, P. R.; Miller, S. J. Nature 2014509, 71-75.

 

関連書籍

関連リンク

The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ポール・アリヴィサトス Paul Alivisatos
  2. 向山 光昭 Teruaki Mukaiyama
  3. クレイグ・ヴェンター J. Craig Venter
  4. ギルバート・ストーク Gilbert Stork
  5. マイケル・クリシェー Michael J. Krische
  6. 熊田 誠 Makoto Kumada
  7. 細野 秀雄 Hideo Hosono
  8. ブラッドリー・ムーアBradley Moore

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ノーベル賞親子2代受賞、コーンバーグさんが東大で講演
  2. Micro Flow Reactor ~革新反応器の世界~ (入門編)
  3. ダンハイザー シクロペンテン合成 Danheiser Cyclopentene Synthesis
  4. 白い粉の正体は…入れ歯洗浄剤
  5. 1と2の中間のハナシ
  6. 博士号とは何だったのか - 早稲田ディプロマミル事件?
  7. 変異体鏡像Rasタンパクの化学全合成
  8. 日本学術振興会賞受賞者一覧
  9. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー2
  10. 有機化学クロスワードパズル

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP