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ダン・シングルトン Daniel Singleton

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ダニエル・A・シングルトン(Daniel A. Singleton、19xx年xx月xx日-)は米国の有機化学者である。米テキサスA&M大学 教授。

経歴

1980 Case Western Reserve大学 卒業(首席)
1986 ミネソタ大学 博士号取得(Paul G. Gassman教授)
19xx テキサスA&M大学 教授

受賞歴

1981 Carl F. Prutton Prize in Chemistry, Case Western Reserve University
1985 Lee Irvin Smith Award in Organic Chemistry, University of Minnesota
1995 Association of Former Students Distinguished Teaching Award, College of Science
2008 Distinguished Achievement Award in Teaching, The Association of Former Students and Texas A&M University 2008 Arthur C. Cope Scholar Award

研究概要

炭素同位体効果を用いる有機化学反応の機構解析

12C/13C速度論的同位体効果(KIE)は、H/D間KIEでは追跡し切れない情報が得られるものの、その値は非常に小さいため、測定誤差を小さくするには13Cラベル化された化合物を合成・準備する必要があった。これは往々にしてコストや手間の面で問題があり、方法論としての汎用性を減ずる結果となっていた。

Singletonは13Cの天然存在比(1.1%)からの差分をNMRで精密測定する方法を開発し、ラベル化された化合物を用意しなくても12C/13C間KIEを高精度測定することを可能にした[1]。

適用の一例として、四酸化オスミウムを用いるジヒドロキシル化の機構解析がある。かつてCorey([3+2]機構を支持)とSharpless([2+2]→転位機構を支持)の間で大きな論争を呼び起こしたが、Singletonらの13C KIE測定[2]により、置換基の有無に依らず同程度の12C/13C間KIEが観測されたことから、すなわち[3+2]機構が妥当であると結論づけられている。

関連論文

  1. Singleton, D.; Thomas, A. J. Am. Chem. Soc. 1995, 117, 9357. DOI: 10.1021/ja00141a030
  2. DelMonte, A. J; Haller, J.; Houk, K. N.; Sharpless, K. B.; Singleton, D. A.; Strassner, T.; Thomas, A. A. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 9907. DOI: 10.1021/ja971650e

関連書籍

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投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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