[スポンサーリンク]

ケムステニュース

名大・山本名誉教授に 「テトラへドロン賞」 有機化学分野で業績

[スポンサーリンク]



山本尚
名古屋大学の
山本尚名誉教授(62)(現シカゴ大教授)=写真=が、有機化学分野では世界的な権威である「テトラヘドロン賞」を受賞したことが、12日わかった。

 同賞は、科学専門国際誌を出版している英国の出版社が創設し、有機化学分野で顕著な業績があった化学者を表彰。名古屋大学関係者では、1993年に野依良治特任教授が受賞している。(引用:読売新聞中部、写真:シカゴ大化学科)


 山本教授テトラヘドロン賞おめでとうございます。京都大学部卒業後、そのままハーバード大に移り、E.J.Coreyのところで博士を取得し、その後一貫して名古屋大でキラルなルイス酸を触媒とする有機合成反応及び不斉反応の開発を行ってきました。

 しかし、名古屋大学を定年前に退職し、シカゴ大へ移りました。つまり海外流出組のひとりです。国内では定年があり、研究員、学生が得られないため、アクティブな教授でも研究が続けられなくなります。逆に米国では80歳を超えていても、いまだに研究を続けている教授もいます。山本教授はシカゴ大に移って研究を続けることを選んだわけです。

 最近でも、キラルなルイス酸触媒を用いたアルドール反応、α-アミノオキシ化反応、ニトロソアルドールーマイケル反応、NHK反応桜井ー細見反応など不斉反応を中心に毎年10報以上の論文を報告し多くのすばらしい結果を出しています。

 個人的には同一分野を研究していたときもあり、いつも論文が出るたびにどきどきしていた覚えがあります(苦笑)。今後も体力の続く限り、よい研究をしていただきたいと思います。

 ちなみにテトラヘドロン賞(Tetrahedron prize)とは1981年から始まった有機化学の分野では非常に権威のある賞で以下に示すようなノーベル化学賞受賞者、候補者、各国の化学会賞受賞者などなどかなり有名な方が受賞しています。以下.elsevier.comから引用

過去の受賞者

??? * 1981 Albert Eschenmoser
??? * 1983 Elias J. Corey
??? * 1985 Gilbert Stork
??? * 1987 Arthur J. Birch
??? * 1989 Michael J. S. Dewar
??? * 1991 William S. Johnson
??? * 1993Ryoji Noyori;? K. Barry Sharpless
??? * 1995 Alan R. Battersby;? A. Ian Scott
??? * 1996 Samuel Danishefsky
??? * 1997 Stuart L. Schreiber
??? * 1998 David A. Evans;?Teruaki Mukaiyama
??? * 1999 Henri B. Kagan
??? * 2000 Peter B. Dervan
??? * 2001 Yoshito Kishi
??? * 2002Kyriacos C. Nicolaou
??? * 2003 Robert H. Grubbs;? Dieter Seebach
??? * 2004 Koji Nakanishi
??? * 2005 Bernd Giese
??? * 2006Hisashi Yamamoto


webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 進む分析機器の開発
  2. 超合金粉末の製造方法の改善に機械学習が試行される
  3. ポリエチレンとポリプロピレン、7カ月ぶり値上げ浸透
  4. ダイセル、化学技術賞を受賞 ウェハーレンズ開発と製品化
  5. ノーベル化学賞田中さん 富山2大学の特任教授に
  6. 田辺製薬、エイズ関連治療薬「バリキサ錠450mg」を発売
  7. 池袋PARCOで「におい展」開催
  8. 化学五輪、「金」の高3連続出場 7月に東京開催

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ヘリウムガスのリサイクルに向けた検討がスタート
  2. 日本化学会第85回春季年会
  3. 怒涛の編集長 壁村耐三 ~論文と漫画の共通項~
  4. 世界の最新科学ニュース雑誌を日本語で読めるーNature ダイジェストまとめ
  5. 第163回―「微小液滴の化学から細胞系の仕組みを理解する」Wilhelm Huck教授
  6. 第105回―「低配位有機金属錯体を用いる触媒化学」Andrew Weller教授
  7. スティーブン・ヴァン・スライク Steven Van Slyke
  8. ジャーナル編集ポリシーデータベース「Transpose」
  9. 化学系面白サイトでちょっと一息つきましょう
  10. 不均一系触媒を電極として用いる電解フロー反応を実現

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年6月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

塩基が肝!シクロヘキセンのcis-1,3-カルボホウ素化反応

ニッケル触媒を用いたシクロヘキセンの位置および立体選択的なカルボホウ素化反応が開発された。用いる塩基…

中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①

2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで…

アゾ重合開始剤の特徴と選び方

ラジカル重合はビニルモノマーなどの重合に用いられる方法で、開始反応、成長反応、停止反応を素反応とする…

先端事例から深掘りする、マテリアルズ・インフォマティクスと計算科学の融合

開催日:2023/12/20 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

最新の電子顕微鏡法によりポリエチレン分子鎖の向きを可視化することに成功

第583回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 陣内研究室の狩野見 …

\脱炭素・サーキュラーエコノミーの実現/  マイクロ波を用いたケミカルリサイクル・金属製錬プロセスのご紹介

※本セミナーは、技術者および事業担当者向けです。脱炭素化と省エネに貢献するモノづくり技術の一つと…

【書籍】女性が科学の扉を開くとき:偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る

概要米国の女性科学者たちは科学界のジェンダーギャップにどのように向き合い,変えてきたのか ……

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2025卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

細胞代謝学術セミナー全3回 主催:同仁化学研究所

細胞代謝研究をテーマに第一線でご活躍されている先生方をお招きし、同仁化学研究所主催の学術セミナーを全…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎

開催日:2023/12/06 申込みはこちら■開催概要マテリアルズ・インフォマティクスを…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP