[スポンサーリンク]

ケムステニュース

パテントクリフの打撃顕著に:2012製薬業績

[スポンサーリンク]

2012Drugs.jpg

 メガファーマの2012年決算発表が概ね出揃った。2011年からパテントクリフと呼ばれる大型医薬品の特許切れが相次ぎ、2012年はジェネリック品への置換えが各社決算に大きく影響を及ぼす事が予想されていた。

 

  • 12年医薬品売上(同一製品を合算)【順位、製品名、一般名、企業名、前年順位】
1 Humira Adalimumab Abotto 5
2 Remicade Infliximab J&J + Merck(MSD) 3
3 Adair Salmeterol xinafoate/fluticasone GSK 4
4 Enbrel Etanercept Amgen + Pfizer 6
5 Rituxan Rituximab Roche 7
6 Lantus Insulin glargine Sanofi 14
7 Herceptin Trastuzumab Roche 10
8 Crestor rosuvastatin AZ 8
9 Avastin Bevacizumab Roche 9
10 Januvia / Janumet Sitagliptin Merck (MSD) 17

 長く世界売上トップであった「世界で一番売れている薬」Lipitor がトップ10から姿を消し、代わって売上トップは抗リウマチ薬Humira となり、初めて抗体医薬品がトップとなった。抗体医薬品は5品目がトップ10入りし、企業業績への抗体医薬の重要性が増している。一方で、低分子医薬品はAdair 、Crestor、Januvia / Janumet の3品目にとどまり、低分子医薬品は氷河期に入ったとも言われる。(ただし、集計は金額ベースであるので、抗体医薬の単価の高さも影響している)。

 

  • パテントクリフの影響

 主なブロックバスターの減収額【製品名、一般名、減収額(前年比)】は以下のようになった。

1 Lipitor Atorvastatin -56億ドル (▼59%)
2 Plavix Clopidogrel -45億ドル (▼64%)
3 Seroquel Quetiapine -30億ドル(▼70%)
4 Zyprexa Olanzapine -29億ドル(▼63%)
5 Singulair Montelukast -16億ドル(▼29%)
6 Diovan Valsartan -12億ドル(▼22%)

 6製品で190億ドルの減収となる。長らく予想されてきた「パテントクリフ」が現実のものとなって現れた2012年決算であった。各社ともパテントクリフの影響を予想して、M&Aやリストラを行ってきたが、それが功を奏したのかはどうかは今後明らかになってくるだろう。

 

関連記事

  1. タミフル、化学的製造法を開発…スイス社と話し合いへ
  2. 世界初 ソフトワーム用自発光液 「ケミホタルペイント」が発売
  3. 犬の「肥満治療薬」を認可=米食品医薬品局
  4. 化学プラントにおけるAI活用事例
  5. 東芝:新型リチウムイオン電池を開発 60倍の速さで充電
  6. 住友化学が通期予想据え置き、カギ握る情報電子化学の回復
  7. セントラル硝子、工程ノウハウも発明報奨制度対象に
  8. 赤キャベツから新しい青色天然着色料を発見 -青色1号に代わる美し…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. Glenn Gould と錠剤群
  2. ソープ・インゴールド効果 Thorpe-Ingold Effect
  3. ケムステしごと企業まとめ
  4. 花王の多彩な研究成果・研究支援が発表
  5. 高分子固体電解質をAIで自動設計
  6. 【速報】2012年ノーベル化学賞発表!!「Gタンパク質共役受容体に関する研究」
  7. リチウムを用いたメカノケミカル脱水素環化法によるナノグラフェン合成
  8. メラノーマ治療薬のリード化合物を発見
  9. インフルエンザ治療薬と記事まとめ
  10. ヒト遺伝子の ヒット・ランキング

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年2月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP