[スポンサーリンク]

chemglossary

デンドリマー / dendrimer

[スポンサーリンク]

 

構成ユニットを放射状に組み立てることで、球状の形をなした巨大分子を総称してデンドリマー(dendrimer)と呼びます。その名称はデンドロン(ギリシャ語で樹木の意味)に由来しています。

1985年にTomaliaらによって発表された概念です[1]。はじめは座布団型分子や提灯型分子などと同様に、構造がユニークで面白い分子として紹介されていました。その後、デンドリマー表面に官能基を簡便に密集させられるという特性が注目を浴び、機能性超分子への応用可能性にスポットが当てられるようになりました。現在では世界各国の多くの研究者が、デンドリマーを用いる研究に取り組んでいます。

日本におけるデンドリマー研究の第一人者は、東京大学の相田卓三教授です。医薬品を目的の部位へ輸送するドラッグデリバリーシステムへの応用や光捕集アンテナ機能を有するデンドリマーなどが開発されています。

デンドリマー分子の合成は、中心のコアから外側に合成するダイバージェント法と、外殻からコアに向けて合成を進めるコンバージェント法に大別されます。1段階(デンドリマーでは1世代と数えることが慣習)進むごとに官能基密集度が指数関数的増加をみせるため、傍目から見るよりその合成はかなり難しいようです。 このため、実用化にはいくつものハードルを乗り越える必要があるとされています。

 

関連文献

[1] “A New Class of Polymers: Starburst-Dendritic Macromolecules”

Tomalia, D. A.; Baker, H.; Dewald, J.; Hall, M.; Kallos, G.; Martin, S.; Roeck, J.; Ryder, J.; Smith, P. Polymer J. 1985, 17, 117.

This paper describes the first synthesis of a new class of topological macromolecules which we refer to as “starburst polymers.” The fundamental building blocks to this new polymer class are referred to as “dendrimers.” These dendrimers differ from classical monomers/oligomers by their extraordinary symmetry, high branching and maximized (telechelic) terminal functionality density. The dendrimers possess “reactive end groups” which allow (a) controlled moelcular weight building (monodispersity), (b) controlled branching (topology), and (c) versatility in design and modification of the terminal end groups. Dendrimer synthesis is accomplished by a variety of strategies involving “time sequenced propagation” techniques. The resulting dendrimers grow in a geometrically progressive fashion as shown: Chemically bridging these dendrimers leads to the new class of macromolecules—”starburst polymers” (e.g., (A)n, (B)n, or (C)n).

 

関連書籍

[amazonjs asin=”B005LVQOTO” locale=”JP” title=”Dendrimers: Towards Catalytic, Material and Biomedical Uses”][amazonjs asin=”B005QBO5RM” locale=”JP” title=”Designing Dendrimers”][amazonjs asin=”1849733945″ locale=”JP” title=”Hyperbranched Polymers: Macromolecules in Between of Deterministic Linear Chains and Dendrimer Structures (Rsc Polymer Chemistry Series)”]

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. コンビナトリアル化学 Combinatorial Chemis…
  2. カスケード反応 Cascade Reaction
  3. NMR管
  4. ポリメラーゼ連鎖反応 polymerase chain reac…
  5. 蓄電池 Rechargeable Battery
  6. 酵母還元 Reduction with Yeast
  7. 酵素触媒反応の生成速度を考える―ミカエリス・メンテン機構―
  8. 熱分析 Thermal analysis

注目情報

ピックアップ記事

  1. 有機合成化学協会誌2022年7月号:アニオン性相間移動触媒・触媒的分子内ヒドロ官能基化・酸化的クロスカップリング・エピジェネティクス複合体・新規リンコマイシン誘導体
  2. アンモニアで走る自動車 国内初、工学院大が開発
  3. Molecules That Changed the World
  4. 「決断できる人」がしている3つのこと
  5. オペレーションはイノベーションの夢を見るか? その3+まとめ
  6. 即戦力のコンパクトFTIR:IRSpirit
  7. サムライ化学者高峰譲吉「さくら、さくら」劇場鑑賞券プレゼント!
  8. [書評]分子の薄膜化技術
  9. 四酸化ルテニウム Ruthenium Tetroxide (RuO4)
  10. クルト・ヴュートリッヒ Kurt Wüthrich

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年10月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

【新規事業のヒントをお探しの方へ】イノベーションを生み出すマイクロ波技術の基本と活用事例

新しい技術を活用したビジネスの創出や、既存事業の付加価値向上を検討されている方向けのセミナーです。…

わざと失敗する実験【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3.反応操作をしな…

CIPイノベーション共創プログラム「有機電解合成の今:最新技術動向と化学品製造への応用の可能性」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「有機電解合…

CIPイノベーション共創プログラム「世界を変えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界を変え…

年会特別企画「XAFSと化学:錯体, 触媒からリュウグウまで –放射光ことはじめ」

放射光施設を利用したX線吸収分光法(XAFS)は、物質の電子状態や局所構造を元素選択的に明らかにでき…

超公聴会 2026 で発表します!!【YouTube 配信】

超公聴会は、今年度博士号を取得する大学院生が公聴会の内容を持ち寄ってオンライン上で発表する会です。主…

日本化学会 第106春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part II (3/16 追記)

さて、Part Iに引き続きPart II!年会をさらに盛り上げる企画として、2011年より…

凍結乾燥の常識を覆す!マイクロ波導入による乾燥時間短縮と効率化

「凍結乾燥は時間がかかるもの」と諦めていませんか?医薬品や食品、新素材開発において、品質を維…

日本化学会 第106春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part I (3/16追記)

まだ寒い日が続いておりますが、あっという間に3月になりました。今年も日本化学会春季年会の季節です。…

アムホテリシンBのはなし 70年前に開発された奇跡の抗真菌薬

Tshozoです。以前から自身の体調不良を記事にしているのですが、昨今流行りのAIには産み出せな…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP