[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

四酸化ルテニウム Ruthenium Tetroxide (RuO4)

概要

超強力な酸化剤。通常の酸化剤では実現不可能なベンゼン環やオレフィンの酸化開裂が穏和な条件で行える。このためオゾン酸化の代替法として考えることもできる。
しかしながら酸化に弱い官能基はまず耐えず、強力さゆえの副反応もしばしば起こりうる。基質を選ぶことも少なくなく、使用時をよく吟味する必要がある。

ルテニウムは高価であるため、触媒量の前駆体と安価な再酸化剤を用いてRu(VIII)を系中発生させるのが定法である。溶媒は試薬と反応しない四塩化炭素が通常用いられる。エーテル溶媒などとは激しく反応するため用いることが出来ない。
基質や生成物が配位し、触媒が失活する。配位性共溶媒としてアセトニトリルを加えるとこれが防げる。以上の理由から、RuCl3(cat.)-NaIO4/CH3CN-CCl4-H2O
の二層系条件が最も多用される。

上記のスキームのように、電子不足な芳香環は通常反応しない。

基本文献

・実験化学講座第4版 「酸化反応」 3・2

 

反応機構

有機溶媒に可溶なRuO4が酸化によって消費され、水に可溶なRuO2になって水層に移動する。ここで再酸化剤によって酸化を受け、RuO4が再生する。こうして触媒的に反応が進行する。
ruo4_3.gif

反応例

例) オレフィンのcis-ジヒドロキシル化[1]
毒性の強いOsを用いずに反応が行える。酸性条件が重要。 非常に短時間で完結する。
ruo4_4.gif
例) MOMBnエーテルの脱保護
これらの保護基は丈夫であり、比較的強めの酸性条件を用いなければ外れない。全合成の最終段階などでは、この丈夫さが逆にしばしば問題となってくる。
これらは四酸化ルテニウムを用いてメチルカーボネート、ベンゾイルエステルに変換できる。塩基性の比較的温和な条件を用いることができ、選択的脱保護も可能となる。
ruo4_5.gif

実験手順

ベンゼン環の開裂[2] ruo4_6.gif
※二酸化炭素が発生するため、密閉系にはしないこと。
※温度制御(25-40℃で行う)が肝心。
※ルテニウム残渣はショートパッドシリカゲルカラムで簡便に除ける。

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] (a) Plietker,B.; Niggemann, M.; Org. Lett. 20035, 3353. DOI: 10.1021/ol035335a (b) Plietker,B.; Niggemann, M.; Pollrich, A. Org. Biomol. Chem. 2004, 2, 1116. DOI: 10.1039/b316546a

[2] Teresa Nunez, M.; Martin, V. S. J. Org. Chem. 199055, 1928. DOI: 10.1021/jo00293a044

 

関連書籍

 

外部リンク

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. 林・ヨルゲンセン触媒 Hayashi-Jorgensen Cat…
  2. コープ転位 Cope Rearrangement
  3. 芳香族化合物のニトロ化 Nitration of Aromati…
  4. クノール ピロール合成 Knorr Pyrrole Synthe…
  5. サレット・コリンズ酸化 Sarett-Collins Oxida…
  6. クラベ アレン合成 Crabbe Allene Synthesi…
  7. コーンブルム ニトロ化反応 Kornblum Nitoratio…
  8. 有機リチウム試薬 Organolithium Reagents

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 凸版印刷、有機ELパネル開発
  2. 渡辺芳人 Yoshihito Watanabe
  3. 有機合成の落とし穴
  4. 肺がん治療薬イレッサ「使用制限の必要なし」 厚労省検討会
  5. 大阪・池田 リチウム電池の実験中に爆発事故
  6. ロバート・ノールズ Robert R. Knowles
  7. 4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン2-オキシド : 4,4,5,5-Tetramethyl-1,3,2-dioxaphospholane 2-Oxide
  8. NaHの水素原子の酸化数は?
  9. 元素名を名字にお持ちの方〜
  10. バルビエ・ウィーランド分解 Barbier-Wieland Degradation

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP