[スポンサーリンク]

一般的な話題

アメリカ化学留学 ”入学審査 編”!

[スポンサーリンク]

アメリカ留学シリーズです。

今回は大学院入学を審査される際に必要な書類を挙げていこうかと思います。日本の大学受験などとは違い、基本的には書類選考のみで合否が判定されます。いまは基本全てオンラインで提出できます。具体的に必要な書類や幾つかのコツを語っていこうと思います。

 

具体的に必要な書類は

 

① 英語の能力を証明する書類(GREやTOEFLの成績)

② 専門の能力を証明する書類(授業の成績評価やGRE Subjectの成績)

③ 自分がナニモノかというのを証明する書類(研究計画書的なエッセイや先生からの推薦状)

 

です。

 

  • Mission 1 英語の能力を証明せよ!

iteptoeflgre.png

 

日本人にとってまず第一の難関が、英語の点数だと思います。各大学各学科ごとに入学のための最低必要点数が課されています。まずはここをクリアするところから始まります。

TOEFL

英語の勉強方法はほかの機会や、ほかの方に譲るとして、概要だけを話したいと思います。TOEFLは最も広く用いられている英語のテストで、一般的にこの点数で英語の能力が図られます。新方式のibt(internet based test)ではSpeakingが導入されただけではなく、Writingパートにもリスニング力を要求するなどより実践に近くなっています。さらに話される英語も、割と日常会話に近く、文字通り教科書だけでは得られない部分も勉強することが必要になると思います。

 

ITELP(International Test of English Language Proficiency)

TOEFLの代わりにITELPという英語のテストを受け付ける大学も多くあります。ウワサによるとTOEFLよりもとっつきやすいという話も聞きますが、著者も受けたことがなく、紹介のみにさせて頂きます。

 

GRE

この他にGREというセンター試験的なテストも受けなくてはいけません。GREもTOEFL等と同様、各大学で必要最低点が設定されています。GREは英語のテストと、数学のテスト、また論理思考を試されるテストに分けられています。一般的に日本人には英語のテストは激ムズ、数学のテストは楽勝と言われています。必要最低点は多くの所で英語と数学の合計点で設定されていますので、数学で点数を稼ぐというのが日本人の基本スタイルです。

 

  • Mission 2 化学の知識を証明せよ!

glesubject.png

主に大学での平均評点を見られます。そのため留学を目指している方は授業は真面目に良い点をとっておいたほうが良いかもしれません。修士まで進んでいる方は基本的には修士の成績を見られます。そのため学部生の成績を逆転したい人は修士で頑張るというのもひとつの手だと思われます。

授業の評点

アメリカの大学と日本の大学のひとつの大きな違いは成績の評点に関する学生の意識の違いだと思います。悪く言えば点取り虫、良く言えばハングリーです。それは授業での評点が生徒の能力を測る上でよく使われているからです。(アメリカではティーンエージャーの車の保険が、成績の評点によって値引きになるほどです!)というわけで、授業の評点がいいと見栄えがよいので、是非よい点数で応募しましょう。

 

GRE Subject

前述したGREの科目別バージョンです。これは年に数回しか開催されない上に、東京を除く全国4箇所でしか受けられないため、事前にスケジュールを把握しておくことが必要になります。

 

  • Mission 3 己を証明せよ!

recommendationletter.png

具体的には自分で書くエッセイと先生による推薦状です。ここが最重要パートな気がします。

Essay

ここは自分に関することを書いていきます。研究実績や研究目標、もしくは自分のフィロソフィーに関することまで書いたほうが良いそうです。アメリカではリーダーシップが問われるということで、リーダーシップ経験はあったほうがいいかもしれませんが、なくても問題はない気がします。

僕は友人に添削をお願いしただけでなく、インターネット上で見つかるこの入学審査用のエッセイの添削業者にもお願いして、完成させました。印象的だったコメントは「趣味でも良いので、あなたがどんな人物かという描写がもっと欲しい」というものでした。日本のエントリーシートの感覚では趣味について書くことなどありえないので、概念自体が違うのだなぁと感じましたし、だから業者さんにお願いしてよかったと思います。お金はかかっちゃうんですけどね。。

推薦状

大体3人の先生からの推薦状が必要になります。時間に余裕を持って、先生にお願いしましょう。直前に「明日までに必要です!」となっても先生は時間がありません笑

一般に言われる、有名先生からの推薦状は強いのか?という問題ですが、確かにアドバンテージにはなるとは思われます。ただそれはなんとかなるレベルの差にしかならないと思います。あまり面識の無い先生にお願いする場合もあると思います。出来れば授業でAを取った先生にお願いしましょう。推薦状で先生は知っている範囲の事のみを書きますので、少ない接点の中であったとしても上手くやれた先生にお願いしましょう。逆に言うとほとんどの接点がない大物先生に推薦状をお願いしたとしても、もしかしたら「この生徒のことはあまり知らないんだけど、授業ではBだった」みたいなビミョーな推薦状になってしまうかもしれないので気をつけましょう!

 

  • オマケ

よくある質問だし、僕が入学願書提出時疑問に思っていたこと。

 

① キャンパスビジットはしたほうがいいんですか?

これは出来れば絶対したほうがいいと思います。興味のある先生に直接会うことが理想的なようです。これは化学だけに限らずどの分野でもそのようです。そして話せるアポイントメントがとれたら、その先生の論文を勉強して、自分が出来るということを証明しましょう。そうすれば入学させる生徒を決める会議でその先生が後押ししてくれるかもしれません。日本からだと、なかなか時間を作るのも大変です。逆にだからこそほとんどのインターナショナルの生徒はそこまでしません。上手くいけば大きなアドバンテージになるはずです。

② 原著論文はあったほうがいいんですか?

これもあったほうがいいように思います。具体的に研究が出来る能力があることを証明するのはやはり原著論文です。ただし、アメリカの生徒をはじめほとんどの生徒が、Ph.D.を始める前に原著論文がない状態でアプライをしてくると思われます。そのためなくても少なくともディスアドバンテージにはなりません。

 

今回は大雑把にPh.D.コースへのアプリケーションがどんなものなのかということを紹介しました。前回までの3回のポストで化学Ph.D.留学の概観は書いた気がします。次からはもう少し詳しい情報などについて迫っていこうと思います。

 

再掲

(この文章で書かれるケースはあくまで北米の1大学のケースを基にしていて、すべての大学院がこのシステムに準じるものではありません。あくまで参考程度に読んでください。あとこのシリーズは理系留学のススメにリスペクトを込めて作成していますので、あわせて読んでいただくとよいと思います)

やすたか

投稿者の記事一覧

米国で博士課程学生

関連記事

  1. 「超分子ポリマーを精密につくる」ヴュルツブルク大学・Würthn…
  2. タンパク質の定量法―ビシンコニン酸法 Protein Quant…
  3. フリーラジカルの祖は一体誰か?
  4. 転職でチャンスを掴める人、掴めない人の違い
  5. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり④:「ブギーボ…
  6. 金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的観…
  7. 本当の天然物はどれ?
  8. 会社説明会で鋭い質問をしよう

注目情報

ピックアップ記事

  1. 累計100記事書きました
  2. 【緊急】化学分野における博士進学の意識調査
  3. 第79回―「高分子材料と流体の理論モデリング」Anna Balazs教授
  4. 肝はメチル基!? ロルカセリン
  5. 野崎 一 Hitoshi Nozaki
  6. 光化学フロンティア:未来材料を生む有機光化学の基礎
  7. ゾル-ゲル変化を自ら繰り返すアメーバのような液体の人工合成
  8. 三共、第一製薬が統合へ 売上高9000億円規模
  9. 関大グループ、カプロラクタムの新製法開発
  10. デルゴシチニブ(Delgocitinib)のはなし 日本発の非ステロイド系消炎外用薬について

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年2月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
272829  

注目情報

最新記事

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立

ポイント 今回新たに設立される研究所 Baker Hughes Institute for…

メトキシ基で転位をコントロール!Niduterpenoid Bの全合成

ナザロフ環化に続く二度の環拡大というカスケード反応により、多環式複雑天然物niduterpenoid…

金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的観測

第639回のスポットライトリサーチは、東京科学大学理学院化学系(前田研究室)の岡崎 めぐみ 助教にお…

【無料ウェビナー】粒子分散の最前線~評価法から処理技術まで徹底解説~(三洋貿易株式会社)

1.ウェビナー概要2025年2月26日から28日までの3日間にわたり開催される三…

第18回日本化学連合シンポジウム「社会実装を実現する化学人材創出における新たな視点」

日本化学連合ではシンポジウムを毎年2回開催しています。そのうち2025年3月4日開催のシンポジウムで…

理研の一般公開に参加してみた

bergです。去る2024年11月16日(土)、横浜市鶴見区にある、理化学研究所横浜キャンパスの一般…

ツルツルアミノ酸にオレフィンを!脂肪族アミノ酸の脱水素化反応

脂肪族アミノ酸側鎖の脱水素化反応が報告された。本反応で得られるデヒドロアミノ酸は多様な非標準アミノ酸…

野々山 貴行 Takayuki NONOYAMA

野々山 貴行 (NONOYAMA Takayuki)は、高分子材料科学、ゲル、ソフトマテリアル、ソフ…

城﨑 由紀 Yuki SHIROSAKI

城﨑 由紀(Yuki SHIROSAKI)は、生体無機材料を専門とする日本の化学者である。2025年…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP