[スポンサーリンク]

一般的な話題

元素のふしぎ展に行ってきました

[スポンサーリンク]

サマリウム、ウンウントリウム、メンデレビウム、マイトネリウム、ユウロピウム、ラザホージウム
バナジウム、アメリシウム、キュリウム、アクチニウム、ツリウム、インジウム、オスミウム、二オブ!
別に気が狂った訳ではありません。今はそんな気分なんです。夏休みにはどこ行きますか?海、山、プール、それとも水族館?いやいや、ケムステ読者の皆様でしたら、当然博物館ですよね!


というわけで、現在国立科学博物館にて開催中の元素のふしぎ展に子供のおもりのためケムステ記者として取材のために行ってまいりましたので、一化学者としてレポートさせていただきます。

場所は上野駅公園口から出て徒歩約5分にある国立科学博物館です。ここに来るのは正直なところ三十年ぶりくらいでしょうか。

国立科学博物館
7月28日から10月8日まで
休館日毎週月曜日(月曜日が休日の場合は火曜日)
料金:一般当日1300円、小中高生当日500円
先着200名にヘリウムガス入り風船プレゼントあり!

元素のふしぎ展はその名の通り元素に焦点を当てた特別展示です。近年は萌えブームに乗ってある種の元素を擬人化して紹介する書籍の爆発的ヒットによりまして、様々なところで元素に関する企画に出会う事があります。本展示も毎日放送、朝日新聞社がメインスポンサーとなっており、ミーハー的なものかもしれないという嫌な予感もしつつではありますが、かまわず突撃です。
筆者が訪れたのは土曜日であったためか、館内は老若男女の大にぎわい。熱心にメモを取る小中学生らしき団体もいたりして、夏休みの自由研究の題材探しでしょうか。こう見ると未来の化学は明るいのではないかと嬉しく思いました。若いカップルもいたりしてデートスポットとしても好評のようですリア充爆発しろ
genso_5.jpg
さて、実際の展示ですが、あまり詳細をレポしてしまうとネタバレになって興を削いでしまいますので、見所をいくつかご紹介したいと思います。
まず、入ってすぐの展示はプロローグ、世界は元素でできていると続きます。こちらでは身近なものが元素でできているという事を多面的に紹介していました。少し前に話題になりました小惑星イトカワに関する展示もあったりして楽しめました。
genso_9.jpg
次のコーナーでは、元素の発見物語と原子の構造などに関する解説がありました。90年前の周期表が展示されており、現在とは名称が異なるものがあったりして見入ってしまいました。元素の発見物語の近辺では女子中学生とみられる方が、アリストテレスの四元素説の事を聞いた事あると話していて驚きました。
genso_1.jpg
続いては水素からウンウンオクチニウムまでの118にのぼる全ての元素の展示です。元素の原料となる鉱石や、関連する製品などが陳列されており、説明文も読み応えがあります。筆者はここでだいぶ長い時間を過ごしました。一際目を引くのはシリコンの単結晶と巨大石英るつぼです。一体いくらするんでしょうか(心が汚れてますね)。
genso_2.jpg
またここでは金、銀、銅、アルミニウムの塊を持ち上げて比べることができます。当然警備員さんが近くで見張っておられました。金塊を持つことができる所は他にもありますが、アルミニウムの塊を持ったのは筆者も初めてです。
genso_3.jpg
他にも様々な珍しい元素の単体があったり、鈴木梅太郎の名前に思いがけず遭遇したりで化学好きには本当にたまらない一時を提供してくれます。最後は最近名称の決定が話題になったフレロビウムとリバモリウムもありましたが、もうちょっと盛り上げてくれてもいいかな?と思いました。その代わりと言ってはなんですが、理研が発見したとされる113番元素については別途パネルがありました。果たして113番元素はどんな名前になるんでしょうか。楽しみです。
genso_4.jpg
参加人数は限られていますが、ワークショップのコーナーでは実際に実験ができたりします。自由研究にはもってこいです!
genso_6.jpg
ここまでじっくり見て回って二時間くらいといったところでした。最後は元素関係グッズのショップがありまして、筆者は思わず散財してしまいました(5千円以上はクレジットカード使えるとか言うから・・・)。公式ガイドブックなるものを始め、元素生活関連グッズ、元素図鑑関連アイテムもありました。元素生活キャラクターの缶バッジのガシャポンなんて反則でしょ。もう商売上手なんだから。
genso_8.jpg
そしてこのショップにて何故この企画展のメインスポンサーが毎日放送社なのか、さらにはチビッコ達が数多く詰めかけていたのかの謎が解けたような気がしました。元素のふしぎ展と鋼の錬金術師のコラボグッズなるものの販売も予定されているようで、筆者が訪れた際はまだ発売前でしたが、近日中に発売とのことです。要チェックですね!マンガの力は偉大です。
genso_7.jpg
残念ながら(?)予想外にも萌え要素は一切無く、真面目な展示内容で個人的には凄く楽しめました。あえて辛口でコメントさせてもらうとしたら、入館料が一般1300円は少し高いかなと。小中高生は500円(それぞれ団体割引有り)ですが欲を言えばもう少し下げて欲しかったです。いっそ無料とか。水曜のレディース特別価格や、金曜夜のペア割引などはありますが、いかにも広告代理店が考えそうな事で、何かズレてませんかね?ターゲットをもう少し下げてもいいように感じました。そんな値段設定にも関わらず沢山の目を輝かす子供たちを目の当たりにして感慨に浸ってしまいました(かなり怪しいおっさんだったと思います)。この中から一人でも多くの化学者の卵が生まれることを期待します
genso_14.jpg
大人も子供も一見の価値有りと思いますので、皆様も暑い”SmUutMdMtErRf VAmCmAcTmInOsNb“のひと時をぜひ国立科学博物館でお楽しみ下さい!
レストランや、カフェにて「食べる元素の特別メニュー」なるものがあった事に後で気づきました。逃してしまい痛恨です。皆さんトライして来て下さい。

関連書籍

 

ペリプラノン

投稿者の記事一覧

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

関連記事

  1. 創薬に求められる構造~sp3炭素の重要性~
  2. 【書籍】英文ライティングの基本原則をおさらい:『The Elem…
  3. オゾンと光だけでアジピン酸をつくる
  4. 脈動がほとんどない小型精密ポンプ:スムーズフローポンプQシリーズ…
  5. 海外留学ってどうなんだろう? ~きっかけ編~
  6. 光応答性リキッドマーブルのマイクロリアクターとしての機能開拓
  7. 拡張Pummerer反応による簡便な直接ビアリール合成法
  8. 種子島沖海底泥火山における表層堆積物中の希ガスを用いた流体の起源…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. Wolfram|Alphaでお手軽物性チェック!「Reagent Table Widget」
  2. ガン細胞を掴んで離さない分子の開発
  3. Eリリーの4-6月期は19%減益、通期見通し上方修正
  4. 第176回―「物質表面における有機金属化学」Christophe Copéret教授
  5. 2008年イグノーベル賞決定!
  6. カルボニル化を伴うクロスカップリング Carbonylative Cross Coupling
  7. トリクロロアニソール (2,4,6-trichloroanisole)
  8. DFMS:ビス(ジフルオロメチルスルホニル)亜鉛
  9. ウルフ・デッツ反応 Wulff-Dotz Reaction
  10. 同仁化学研、ビオチン標識用キットを発売

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年7月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP