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日本人化学者インタビュー

第33回「セレンディピティを計画的に創出する」合田圭介 教授

第33回目の日本人化学者インタビューは 合田 圭介  教授 (東京大学理学部・化学専攻)より頂きました。

合田先生は、研究キャリアの大半を米国で過ごされていましたが、4年前に30代で東大教授のポストを獲得し、日本のアカデミック化学界に衝撃を与えました。また2年前より内閣府ImPACTプログラムのプログラムマネージャーも兼任されています。そこでは既存のサイエンス枠に留まらない未来を見据えた、「セレンディピティの計画的創出」とする壮大な構想のプロジェクトが進められています。ユーグレナ社などのベンチャー企業までをも巻き込んで活気あふれるチームを指揮する、押しも押されぬ若手のスーパープロフェッサーの一人といえます。

ご専門とされる分野は・・・「専門分野はあってないようなものです」と以前仰っていたのが個人的にとても印象深くあるのですが、あえて既存の枠組みで紹介するならば、光学・物理化学・生体医療工学分野といえるでしょうか。

実は筆者(副代表)は米国留学時からの知り合いでして、現地では諸々お世話になっていました。そういったご縁もあって、今回紹介させて頂くことができました。スマートかつ透徹したロジックが特徴的な先生ですが、その人となりと規格外のビジョンをご堪能頂ければと思います。

Q1. あなたが化学者になった理由は?

私は自分自身を化学者(カガクシャ)よりも科学者(カガクシャ)と考えています。Central Scienceと呼ばれる化学の魅力は、物理学、生命科学、医学、工学などの複数の分野を結びつける役割を果たしていることであり、私自身も学際的な研究を行っているということで、自分自身をCentral Scientistと考えています。統計データが示しているように、研究がどんどん学際的・異分野融合的に変化しており、これからのCentral Scienceとしての化学の位置づけは更に重要になってくると感じています。科学者になった理由は、物心ついたころから、ものづくりが好きであり、創造的なものづくりを職業にするには科学者しかないと考えていたからです。好きなものづくりを続けてきた結果、現在のCentral Scientistになったわけです。

interdisciplinary

Q2. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

子供の頃から科学者になりたいと思ってこれまで人生を過ごしてきたので、あまり他の道は考えていませんでしたが、それなりに人生の目標が部分的に達成されたということで、これからやってみたいことはあります。それはベンチャー事業です。私は科学教育と産業は一体であると思っており、強い産業なくして良い科学教育はできないと感じております。それまではガリレオ・ガリレイレオナルド・ダ・ヴィンチなどの科学者を作り上げた素晴らしい科学教育が、産業が衰退すると同時に衰退したイタリアや、産業が活性すると同時に科学教育も活性化している中国や韓国など、多くの例があります。そのために、ベンチャー事業を通じて産業を体感し、学んだことを教育に還元したいと考えています。

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Q3. 現在、どんな研究をされていますか?また、どのように展開していきたいですか?

現在最も力を入れているのは、私がプログラムマネージャーを務めている内閣府革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「セレンディピティの計画的創出」の推進です。本プログラムは実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指し、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発を推進することを目的として創設された新しい制度であり、私たちは細胞集団から細胞一つ一つを高速・正確に発見・解析する細胞検索エンジン(細胞分野のGoogle的な技術)の開発を行っています。また、その技術の応用例として、超効率バイオ燃料、高精度血液検査技術などの創出も目指しています。

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Q4.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

科学的方法を考案したアリストテレスと、それの実践方法を完成させたガリレオと未来の科学の在り方について語り合いたいです。現在、多くの分野(特に生命科学分野)で科学的方法(科学的直観性、測定可能性、定量性、再現性、統計的優位性、ピアレビューなど)に問題が生じており、科学的方法の改革が求められています(2040年あたりに破綻すると予想しています)。

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Q5. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

3年前の研究室立ち上げの際に学生に実験室で光学イメージング装置の立ち上げに関する指導をしました。元々実験好きで実験をしたいのですが、教員業務で忙しく、残念ながら現実的に行うことは難しいです。今は学生と話しながらGedankenexperiment(思考実験)を行っています。

 

Q6.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

プラクティカルに砂漠の島で生き抜いて脱出する方法が解説されている本。もしくは衛星通信機能が付いたKindleがあれば、いくらでも本(上記の本も含んで)をダウンロードできるので退屈しません。

 

Q7. 次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。

同じImPACTプログラムマネージャーで、同僚でもある東大応用化学の野地博行教授と東大応用化学の伊藤耕三教授を推薦します。九州大化学工学の星野友准教授も推薦します。

 

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合田圭介先生の経歴

interview_Goda_1北海道札幌市出身。1998年に渡米。2001年にカリフォルニア大学バークレー校理学部物理学科を首席で卒業。同年にマサチューセッツ工科大学(MIT)理学部物理学科に移り、Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatoryに所属し、重力波検出器の量子強化について研究。2006年より1年半の間はカリフォルニア工科大学 客員研究員として同研究を行う。2007年にMIT理学部物理学科博士課程を修了(理学博士)。その後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学部電気工学科にて斬新な光イメージング法やレーザー分光法を開発。2011年より同大学工学部生体工学科にて生体医工学とマイクロ流体工学を研究。2012年より東京大学大学院理学系研究科化学専攻 物理化学講座 教授。2013年よりUCLA工学部電気工学科 非常勤教員。2014年より内閣府革新的研究開発プログラム(ImPACT) プログラム・マネージャー。受賞多数。100本以上の論文を共著し、多くの特許を保有。

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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