[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

アルメニア初の化学系国際学会に行ってきた!③

[スポンサーリンク]

アルメニア初の化学国際会議、ArmChemFront2013の参加レポート!

今回(最終回)は交流イベントについて紹介します(前回の記事はこちら)。

国をあげてのおもてなし!

国際学会には交流イベントが付属しているものです。これを通じて参加者同士で仲良くなったり、現地文化を味わったりできる貴重な機会でもあります。

ArmChemFront2013では、①歓迎パーティ(Reception) ②小旅行(Excursion) ③閉会パーティ(Banquet)の3つが持たれました。この3点セットはどの国際学会にもありますが、大抵の①③はホテルやホールなどで開催される立食形式がほとんどです。

しかしアルメニアは違った! とにかく開催側の気合いが入っており、想像の遥か上を行く歓待を受けることとなりました。

①歓迎パーティは美術館の屋上を会場とする青空立食パーティ。夜景の絶景スポットであり、この上なく素晴らしい景色のなか、雰囲気良く会話を楽しめるというわけです。過去に全く経験の無いシチュエーション、まずこれで僕らの心は鷲づかみです。

IMGP6151.jpgIMGP6122.jpg
IMG_0609.JPGIMG_0611.JPG
会場となったCafesjian Center for the Art

②小旅行は、世界遺産(ガルニ神殿とゲハルト修道院)を巡るツアー。素朴かつ自然満載なスポットであり、こういう雰囲気は個人的に大好きです。歴史には明るくないもののとても楽しめました。驚くべきは、学会参加費に全てincluded(しかも昼食付き)だった点。普通は余分にお金を払って参加するものですが、ここまでして貰って良いのでしょうか?

IMGP5947.jpgIMGP5983.jpg

IMGP6020.jpgIMGP6068.jpg

ガルニ神殿(上2枚)とゲハルト修道院(下2枚)

③閉会パーティは、近郊の綺麗なレストハウスで行われました。いくら物価が安いとは言え、参加費(30ユーロ)からは考えられないほどに豪勢でした。アルメニア料理とアルコールが際限なく振る舞われ、酔っ払う参加者も続出。アルメニアの人はとにかく飲みますね・・・コニャックやウォッカでひっきりなしに乾杯している人もいて、いやはやこれは敵わんなー、と思いました。

料理の後は、アルメニア美男美女による民族舞踊が披露。勿論こんな機会でも無ければ、生で見ることなどありません。どんなものかに興味のある方は、一度Youtube動画で鑑賞されてはどうでしょう。

IMGP6269.jpgIMGP6317.jpg

会場のレストハウス(左)とアルメニア舞踊(右)

その後は一転、ハイテンポな音楽が増え、参加者も交えての乱舞パーティに。若手も大御所も交え、場はこの上無くヒートアップ。最大級に盛り上がって幕を下ろしました。最後のシメ曲が謀ったかのようにGangnam Styleだったのも、あなたたち心得過ぎではないですかと言いたいw。

これほどの歓待を受けた国際学会は、もちろん経験がありませんし、話に聞いたこともありません。他の参加者も「こんなこと他学会ではありえない、特別だ」と口をそろえて言っておりました。

気になるのは次回以降?

road-sign_future

参加前はどんなもんじゃろと思ってた学会ですが、参加してみると実に素晴らしい会でした。国を挙げて成功に持って行こうとする雰囲気があちこちから感じられ、とても活気ある印象を抱きました。もし今回通りの水準で執り行われるようなら、次回以降も参加を考えることやぶさかではありません。小国アルメニアでの初回開催としては、最大級の成功を収めていたのではないでしょうか。

しかしながら一発勝負にならないよう、運営体制の維持および講演者・参加者の確保が次回以降も課題となるのでしょう。最初に気合いを入れすぎたため、あとはだんだん尻すぼみ・・・という風にはなって欲しくないところです。

アルメニアは世界の化学者にとってなじみの無い国。こういったオフィシャル来訪機会は是非継続して欲しいものです。

※追記2018/1/15:なんと5年の時を経て2018年にも開催予定!?ホームページが作成されてました。要チェック!

学会を楽しもう、楽しさを共有しよう

armenia_conf_12

学会中、とある方との会話で、

「こういうとこに来たら、周りが羨むぐらいに目一杯楽しそうな様子を伝えると良いもんだよ。それで後進も『俺もそうなりたい』と魅力を感じて意欲的になってくれる、僕はその方がいいと思ってる。世界のあちこち行けるのはアカデミックの特権だしね」

という話が出て来ました。筆者も全くその通りだと思います。

大学教員は、学生に自分の生き様を見せねばならない立場。もちろん講演から得られる最先端情報を伝えるのは責務なんでしょうが、生真面目に引きこもって講演聞いてるばかりが能じゃない、ってことですね。

欧米科学者の中には、配偶者と一緒に現地に赴き、国際学会を家族サービスの時間に仕立ててしっかり楽しむ人も多いです。学会期間を超えて滞在を延ばし、地理的に近い知人のところへ講演行脚する機会にしたり、週末と繋げてミニバカンスにすることも珍しくありません。

一方の日本人化学者はというと、そんなことされる方は存外少ないように思えます。「学会参加は税金使っての仕事ですからね・・・」というキマジメな考え方も日本人らしくはありますが、もう少しゆとりがあって良いと思うんですね。

学会期間が終わったら即日帰国しろとか、理由が無い限り滞在を延ばしちゃダメとか・・・そんな縛りはたいへん窮屈な気がしています。きっちり現地で仕事をしたら、あとは飲んで語って遊ぶ。現地の人と文化に触れ、人間の幅を広げる機会にする・・・これで良いと思うんです。アルメニアまでやって来て、仕事以外を楽しもうとしないのは全く勿体ないように思えました。

「遠隔地に赴く機会を、別のことに応用できるゆとり」は、制度設計側で組み入れてあってもよいとすら思えます。科学者といっても人間ですから、ガチガチだと息が詰まりますよね。

おわりに

3回に渡って、「アルメニア初の化学系国際学会」というレアケースをレポートしてみました!

読者である皆さんの中にも、普段行けない土地に仕事や学会で行かれる方、多くいらっしゃるかと思います。紹介できる範囲でブログなどにしたためておかれると、後で参加される方にとっても参考になるでしょう。ついでに「化学者以外にも楽しめる現地の魅力」なども公開しておければなお良いですね。

読んだ後進が「俺も行きたいから研究頑張る!」となってくれればこの上無いですし、費用以上の価値に間違いなくなるはずです。このシリーズ記事がそうなってくれれば本望です。

またいずれ、面白い学会に行く機会があったら報告しますね!

関連書籍

[amazonjs asin=”B004CCSVBM” locale=”JP” title=”旅行人163号特集コーカサス〜アゼルバイジャン+アルメニア+グルジア”][amazonjs asin=”4478042705″ locale=”JP” title=”A31 地球の歩き方 ロシア 2012~2013″]

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. コランニュレンの安定結合を切る
  2. 第99回日本化学会年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part…
  3. 「坂田薫の『SCIENCE NEWS』」に出演します!
  4. 【技術者・事業担当者向け】 マイクロ波による化学プロセス革新 〜…
  5. 分子の対称性が高いってどういうこと ?【化学者だって数学するっつ…
  6. 電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功
  7. 巨大な垂直磁気異方性を示すペロブスカイト酸水素化物の発見 ―水素…
  8. 一流科学者たちの経済的出自とその考察

注目情報

ピックアップ記事

  1. 製薬業界の研究開発費、増加へ
  2. 密閉容器や培養液に使える酸素計を使ってみた!
  3. 【速報】2010年ノーベル生理医学賞決定ーケンブリッジ大のエドワード氏
  4. Undruggable Target と PROTAC
  5. 相次ぐ有毒植物による食中毒と放射性物質に関連した事件
  6. 付加重合でポリアミドを作る!?:多段階ラジカル異性化による新たなポリマー主鎖構築
  7. 海外留学ってどうなんだろう? ~きっかけ編~
  8. アルブライト・ゴールドマン酸化/Albright-Goldman Oxidation
  9. 第27回 生命活動の鍵、細胞間の相互作用を解明する – Mary Cloninger教授
  10. あなたの体の中の”毒ガス”

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年9月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

MDで観るトライボロジー 〜原子が擦れるその場をシミュレーション〜

軽くて強いのに摩耗に弱いチタン合金は、航空機や人工関節に広く使われています。原子が擦れ合うその場を分…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP