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化学者のつぶやき

年に一度の「事故」のおさらい

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一年が過ぎるのは早いものでもう年の瀬です。ポスドクやドクターを除き、どこのラボも大掃除をして、実験を一区切りつけ、論文の整理などたまったdesk workをし出す時期ではないでしょうか。有機化学実験を長年し続けている研究者にとって、事故と全く無関係に研究生活を終えれる人はほとんどいないことしょう。事故を少しでもなくすためには、事故例をしっかり学ぶことが重要です。

今回は、一年に一度この時期にOPRD誌(Organic Process Research & Development)で発表される「Safety Nobels: Information from the literature』1の紹介です。大掃除後の空いた時間にでも、毎年目を通すだけでも安全の意識が変わるはずです。

 

This paper is not intended to be all inclusive of the sagety literature nor should the information presented be used to make decisions regarding safety without reading full text of the appropriate article and conducting the appropriate hazard analysis/hazard reviews. The intent is to give a flavor of issues facing other chemists and engineers and reveal how they are solving these problems.

上記の通り本論文で取り上げられている情報は、単に事故や危険性がある事象の羅列でなく、いかに問題をクリアしたかを例示する形となっています。特にalternative reagentsのコーナーは読んでおくと実験にも役立ちます。内容は、皆さんが実際お読みするのが一番です。読むきっかけになればと思い今年度取上げられていたの化合物とテーマを箇条書きしました。各事例のreferenceは本文を参照ください。

Accidents;

事故例から、問題点と解決策の提言

1 Metylation reaction explosion, cmp methyl cylopentadienyl manganese tricarbonyl

2 Azidotrimethyl silylane explosion, cmp TMS-N3

3. Investigation of an accident in a resins manufacturing site, cmp polymerization of methyl methacrylate

Hazard Assessment methodology:

本文通り。process chemists向けの情報。

Alternative reagents:

知っておきたいreagents and reaction conditions。

  1. Palaú-chlor: 有機化学者なら知ってないと。。Baran教授の商品化作品。
  2. Incompatibilities between brominating agents and solvents, cmp NBS: NBSと溶媒のコンビネーションによる危険性の指摘
  3. Formation of nitroaromatics using oxone in water.: Ar-NH2→Ar-NOの新しい方法。potassium peroxymonosulfate (oxone)を水中で用いる反応。
  4. Fluoroform as a difluorocarbene source.: p-Br-Ar-OH +CHF3→pBr-Ar-O-CF2H  conditions: KOH, H2O/dioxane
  5. Sodium chlooro difluoroacetate as a difluorocarbene,  reagent sodium chrolo difluoroacetate
  6. New and Efficient couping reagent, reagent ethyl 2-cyano-2-(2-nitrobenzenesulfonylpxyimino)acetate (o-NosylOXY)
  7. DABSO based sulfone synthesis, reagent DABSO is formed from DABCO and sulfur dioxide

Survey of researchers regarding laboratory Safty

academic lab. safetyに関するレポート。

Laboratory hazards special issue

最近のsaftyやhazardに関して書かれたspecial issueの紹介。

Evapolative cooling to control reaction exotherm

Prozacを作るkey 反応で、KOH-DMSO系だったところに3倍のtolueneを加え、温度を110以下にコントロールした例。DMSOのみでは発熱反応をコントロールできず、暴走し爆発にいたったため開発された手法。

Continuous processing

flow reactor関連の今年の情報。

Dust hazards

粉塵爆発の情報。

  1. model to assess dust explosion occurrence probability
  2. some myths and realities about dust explosions

Green chemistry

  1. Organocatalytic synthesis of N-sulfonyl imines in aqueous medium
  2. Non-phosgen route to unsymmetrical urea
  3. A survey of solvent selection guides

51の溶媒について、推薦する、問題あり、危険、めっちゃ危険 の4ランクに分けてまとめた論文紹介

Lessons learned from case studies of hazardous waste/chemical reactivity incident

危険な廃棄物処理について。これまでの歴史、これからの取組みに関しての報告。

最後に

この報告は、2003年から毎年行われています。時間のある時に是非過去の事例(今回を含めて11回分)にも目を通して欲しいと思います。この他にも、基礎的な危険な事故等の事例本はいくつか出版されてます。面倒でも目を通しておきましょう。

事故には、easyなミスによる事故と既知の危険を知らないがために起こった事故、そして、既知になっていないが起こってしまったアクシデント(後々理由は解明される)による事故があります。予期できなかったアクシデントの例は、ここでも紹介されているとおり、毎年そんなに数があるものではありません。ほとんどがeasyなミスと無知による事故であり、防ごうとすれば防げるものです。small scale からlarge scaleにする過程で起こる事故が多い事も頭においておきましょう。

危険な手順や試薬、反応を知っていることがまず何より重要です。知っていれば、頭に危険性を入れた状態で実験ができるので、事前に実験台も整理するでしょうし、白衣や実験眼鏡、手袋等を装着するでしょう。いざ出火したり爆発が起こったりしても、今している反応でどんな危険性がおこりうるか頭にはいっている人は素早く危険を察知、回避行動に移れるため最悪の事故は防げます。

最近の記事にもありましたが、企業とアカデミアの最大の違いは、危険性(事故)に対する意識の高さと危険予防のための実践力だと創薬企業の経験からも思います。意識の高さは、毎年教育があることは当然でした。内容は通常よくある他の研究室の事故例のみでなく、自社の積もり積もったヒヤリハットの実例の報告も行われるのが通常でした。毎年のように、消防署から化学事故の実際の事例について講習が行われていました。自社内の安全点検も当然抜き打ちで、厳しく容赦のないものでした。危険な反応や反応剤は使用を避け、遠回りしてでも安全なルートを通ることもしばしばでした。

一生懸命研究をされている皆さん、どうか、「オレは(私は)大丈夫」という意識を捨てて、謙虚な姿勢で危険や事故について意識を高めていただければと思います。事故を起こした場合、皆さんがこれまで積み上げてきた実績や努力の全てが一瞬で台無しになる可能性があることを忘れないで下さい。

 

参考文献

1.Dale, D.; Ironside, M.; Shaw, S. Org. Process Res. Dev. 2014, 18, 1778-1785. DOI: 10.1021/op500371s

 

 関連書籍

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