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工程フローからみた「どんな会社が?」~半導体関連

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Tshozoです。

職業柄よく半導体関連の部品を触るのですが毎度多数の企業の方々が関わっておられることに驚かされます。これを作るには高度な化学と物理と製造の技術が不可欠ですが、専門誌の広告以外にはあんまり前面に出てないですね。しかし社会に広く携わる化学の底上げがあって世の中も変わっていくわけなんで、そういう分野で活躍されている企業・各位をもっと応援したいという気分に基づき本記事を書いてみます。

ということでシリコン系半導体の製法をざっと見ながら関わっている(であろう)国内企業を列挙していくとしてみます。太陽電池などでは高純度シランガスが使われる場合がありますし発光ダイオードなどにはGaNが使われるなど半導体のタイプによって材料も様々なのですが今回は割愛。あと、都合によりやや古めの技術を基準に書いていきますがその点のみご了承ください。なおこのちょっと前の記事にある「太陽ホールディングス」社も、最終製品は異なりますが周辺部材には確実に存在する部品群を担っているわけです。

【半導体の作製方法:精製Si→ウエハーまで】

半導体の作り方の入り口であるウエハ作製まで見てみると、高純度原料(多結晶Si)を溶かし棒をつくってスライスして研いて完成です。文字にすると1行で済むのですが、これがぁ超高純度(99.99999999%)と形状精度(300mm中で許容凹凸サイズ数um[平均距離内の『うねり』で定義・詳細略])を要求されるわけで。特にこの300mm~450mm以上の大径版シリコンウェハをつくれるのはごく限られたメーカのみで、その中で日本のSUMCO信越化学の2社で世界生産量の60%近く(2017年・推定値)をたたき出しています。この他台湾、ドイツ、韓国の各社を足してほぼ100%となるのですが、数ある半導体製品の中でも特に技術力・管理力の粋を尽さないと製造できない製品だと言ってよいでしょう。

図は文献1から引用して改編

今回はここまでであくまで筆者の伝聞・調査に基づいた一般的なところの国内の関連化学メーカさんを挙げましょう。。あんまり表に出てきてないメーカさんが心臓部を握ってるケースもあるのですが・・・ともかくその組み合わせに妙があり、各社ノウハウを積み重ねて安定的に超高純度・超高精度な製品を供給しているわけです。工程順に原材料(ポリシリコン)、刃具、研ぐ関係の材料のメーカさんを紹介していきます(以下敬称略・今回は設備メーカ殿は除外)。

【精製Si】・・・高純度の粗シリコンという形で供給される
⇒⇒⇒(多結晶シリコン) トクヤマ大阪チタニウム三菱マテリアル

【Siインゴット化】・・・上記で述べたようにSUMCOと信越化学が2強 独シルトロニックと台湾GWCなどが健闘している

【切断】・・・今回はワイヤスライシング限定 微粒ダイヤモンド合成やワイヤに確実に固定する特有技術は秘中の秘らしい
⇒⇒⇒(切削用ワイヤ) 旭ダイヤモンドジャパンファインスチール中村超硬
⇒⇒⇒(切削微粒子) ダイヤマテリアルフジミインコーポレイティッドトーメイダイヤ

【粗研磨】・・・いわゆる「粗~仕上げラッピング」比較的ラフな研磨 加工装置や固定用具との精密なチューニングが必要
⇒⇒⇒ 3M(研磨テープ/パッド)、ニッタハース(パッド/研磨剤)、日立化成(固定テープ/研磨剤)、フジミインコーポレイティッド(研磨剤)

【エッチング】・・・研磨で出た有機物、酸化膜、金属イオンを取り去る工程(研磨の前後で実施) ドライとウェットがある
⇒⇒⇒ステラケミファ(HF溶液)、関東化学(洗浄液)、多摩化学工業(洗浄液)、和光純薬(洗浄液)、共同過酸化水素(洗浄液原料)

【精密研磨】・・・「ポリッシング」材料の粋が詰まった工程 粗研磨同様加工機・キャリア等との取り合いが必要
研磨剤(スラリー)、CMPパッド、CMPパッドコンディショナが主な構成品
シリコンウェハ単体の研磨はかなりメーカが固定されているもよう(酸化物や銅、タングステン相手だともっと多様)
⇒⇒⇒(研磨剤)扶桑化学工業フジミインコーポレイティッドニッタハース
⇒⇒⇒(パッド)ニッタハース
⇒⇒⇒(パッドコンディショナ)旭ダイヤモンド

どうでしょうか、シリコン板1枚を切り出すのにこの騒ぎ。これのどの工程が欠けても製品に辿り着かないうえ、ここらへんまでで回路が描かれた半導体に行くまでの1/4くらいなのです(最近ではこのシリコンウェハにエピ成長処理を施しているケースもあり、さらに複雑化してきている)。加えてコンタミ防止用のフッ化物樹脂を合成しているダイキン旭硝子も含まれますし、装置関係を考えるとたとえばチョクラルスキー法で使う超高純度石英の材料には三菱ケミカルが関わっていたりと、さらにその関係会社の数は指数関数レベルで増えていくような気がします。

また世界に目をむけると、これに実際には海外の材料・設備メーカが関わっているはずですのでそこらへんまではさすがに調査会社でも使わないとムリですね・・・たとえばこの後のプロセスでは削る材料ごとにパッド・研磨剤も変わっていくのでそりゃもう調べるのに時間かかりますよ(特に研磨パッドは世界ではDowDupont系のKinik社や、米Cabot microelectronicsが大きなプレゼンスを占めています)。このようにひとつの製品が仕上がるのにどれだけの技術が注がれてどれだけのサプライチェーンがあるのかに興味を持つことは毎度ながら非常に勉強になるんではないでしょうか。蛇足ながら、関東化学さんは「しごと」シリーズの中でも紹介されてますな(こちらこちらなど)。

ちなみに何故ケイ素が基礎材料になったのかですが、結晶構造が昔からよく研究されていて検証しやすかったうえ奇跡的に(?)p/n型半導体になることが出来たこと。加えて最近ではSiCやGaNなどいわゆる化合物半導体と呼ばれるタイプのものが高温化・低損失化を目的に用途が広がってきており、またそれに合わせてさらにこうした材料系の裾野が広がっていくという。化学会社にとっては困難度が増していくのはもちろんなのですが、今までのノウハウが積み重なっていることを利用しさらにシェアを食いに行ける&用途を増やしていく環境が増えていっているのではないかとも言えます。

もちろん今回挙げた各企業はBtoBがメイン商売の企業がほとんどで、某A社とか某S社とかの顧客側に買いたたかれるケースが多いのも事実でありかつリスクではあります。が、ここらへんの舵取りをうまくやっていって技術と商売を広げていく度胸と根性と愛嬌が必要になるのは昭和以降の多くの偉大な先人が拓いてきた先例を見ても明らか。とかく最近シュリンクしがちな製造業ですが、ここで挙げたキー技術を持つ各社のように、新たな分野へ攻め続けるという資本主義の発展の原則に今一度立ち返ってみるべきなのではないかとも思う次第です。

ということで今回はこんなところで。またこの続きのプロセスをやるか、別の製品を採り上げるかは様子を見ながらやっていきたいと思います。

【参考文献】

この記事全般に台湾の中山大学 黄義佑先生の資料を参考にいたしました 図などもそちらより引用しております リンク

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メーカ開発経験者(電気)。56歳。コンピュータを電算機と呼ぶ程度の老人。クラウジウスの論文から化学の世界に入る。ショーペンハウアーが嫌い。

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