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スポットライトリサーチ

生物の仕組みに倣う:背景と光に応じて色が変わる顔料の開発

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第165回目のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科 ・坂井美紀(さかい みき)さんにお願いしました。

坂井さんの所属する竹岡研究室では、高分子材料をベースにしつつ、生物の仕組みから学んだ「バイオインスパイアード材料」の開発に取り組んでいます。近年のホットトピックですが、今回とりあげるものは「構造色」の考え方を発色剤へと応用した成果になります。

本成果は先日Small誌上原著論文、およびプレスリリースとして公開されています(冒頭図はプレスリリースより引用)。

”Bioinspired Color Materials Combining Structural, Dye, and Background Colors”
Sakai, M.; Seki, T.; Takeoka, Y. Small 2018, 30, 1800817. DOI:10.1002/small.201800817

それでは今回も現場のリアリティをご堪能下さい!

Q1. 今回プレスリリースとなったのはどんな研究ですか?簡単にご説明ください。

色素色、構造色、背景の色を組み合わせることで可逆に色を変える顔料を開発しました。色素色は減法混色のルールに従い、背景が白の場合ほど鮮やかな色を示します。一方、構造色は加法混色の発色メカニズムで、背景が黒の場合に鮮やかに見えます。つまり、色素色と構造色は背景の色が白色か黒色かでそれぞれの色の見え方が異なるのです。このような発色メカニズムの異なる色の組み合わせは、カエルなど体色を変える自然界の生き物の中にも見ることができます。
本研究では色素色として光の照射で色を変えるフォトクロミック色素を、構造色としては球状のコロイド結晶を用いました。背景を白色と黒色に変化させ、光を照射することで様々な色変化を示す色材となることを見出しました。

Q2. 本研究テーマについて、自分なりに工夫したところ、思い入れがあるところを教えてください。

色素色、構造色、背景の色で変化する色材をどのようにわかりやすく示すかを考えました。色材であるからには絵で表現したいとの思いがあり、色合いが適しているアサガオを題材にしました。アサガオの花の色が、背景の色や光の照射によって赤→青、青→赤と変化するのにお気づきでしょうか?

Q3. 研究テーマの難しかったところはどこですか?またそれをどのように乗り越えましたか?

球状コロイド結晶にフォトクロミック色素であるジアリールエテン誘導体を融合させる点で苦労しました。丸いおにぎりにきな粉を薄くまぶすようなイメージを目標に取りかかりましたが、コロイド結晶を壊さずに均一に付着させるのはなかなかうまくできませんでした。ジアリールエテン誘導体を溶媒に溶かし球状コロイド結晶を浸し乾燥させることで成功しましたが、溶媒の種類や濃度、浸漬時間の検討を何度も行いました。

Q4. 将来は化学とどう関わっていきたいですか?

自然の中でも生活の中でも私たちは化学(科学)に囲まれて生きています。身近なことにでもなぜ?どうして?と感じ、探求する気持ちが新しい発見へつながると思います。このわくわくする気持ちを大切に持ち続けたいと思います。
退色しない、環境にやさしい構造発色性色材で彩られたものが生活に浸透している未来を夢見て、日々努力していきます。

Q5. 最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

この研究の最初のきっかけはサンプルの色が白い実験台と黒い実験台の上では随分色が異なると気づいたことでした。些細な違いで大きな変化が生まれることに感動して、竹岡先生や研究室の方々に手品のように何度も披露したことを覚えています。このような感動があるから化学とその実験は面白くて楽しい、そしてやみつきになるのだと思います。そうそう!と相槌を打ってくださった方ありがとうございます。
自由に実験する環境を与えてくださった竹岡先生をはじめ研究室の皆様に深く感謝いたします。

研究者の略歴

名前:坂井 美紀(さかい みき)
所属:名古屋大学大学院工学研究科有機・高分子化学専攻
研究テーマ:構造発色性材料の開発

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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