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金属容器いろいろ

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学生:「ヘキサンが空になりました。」助教:「一穴斗缶で危険物倉庫にあるから取ってきて。」一斗缶とはどのような缶なのか知っていますか?今回は、液体や固体の化学品を運搬・保管するのに使う金属の容器についてまとめてみました。

金属容器の特徴

一般的に金属容器は、ブリキやアルミ、ステンレスなどが材料として使われ、内部をエポキシ樹脂などでコーティングすることで内容物を劣化させることなく長期の保管を可能にしています。ガラスの容器よりも軽く、大きさや形状に制約もありませんが、内容物を外から確認できないのが欠点です。金属容器はプラスチックのように脆くなりませんが、外に長期間保管すると湿気によって錆びてしまいます

以下では、容器の名称を紹介していきますが、通称も含まれているため別の名称で呼ばれていることもあります。

18L未満の容器

塗料缶円柱状の容器で、特徴は上部に容器の直径とどぼ同じサイズのフタがついていることです。その名の通り塗料の溶液であり、フタを開けてそのまま刷毛やローラーを漬けて使えるようにできています。口が大きいので塗料だけでなく固体向けの容器としても使われます。大きさは数百mlから数Lまであります。

ローヤル缶角型の缶で上部に取り出し口がついている缶です。1Lを超えるローヤル缶は上部に取っ手がついていて運びやすくなっています。角型なので棚に詰めて収納することができます。

ガロン缶:1米国液量ガロンは3.78Lであることから、約4L入るローヤル缶のことを指します。燃料や油の保管によく使われているイメージがあります。

18L以上の容器

一斗缶:1斗=18リットルであることから18L入る角型の容器を指します。このサイズではもっとも有名な金属容器で、ヘキサンなどのよく使う溶媒はこのサイズで購入している研究室も多いと思います。溶媒だけでなく、様々な液体化学品、醤油やせんべいといった食品の保管などにも使われています。上部の口も用途に合わせて様々で、液体は40 mmの口が一般的である一方、せんべいなどには上部が丸ごと開けられるような構造の一斗缶が使われます。

ペール缶:一斗缶は角型であるのに対して、ペール缶は丸型でできています。容量は18Lか20Lが一般的で、一斗缶同様に上部取り出し口は様々な形状があります。ただし、上部全体が蓋になっているタイプは、外側から締め付ける金具が使われていることが多く、密閉性が高い容器です

ちなみに使い終わった一斗缶やペール缶にはいろいろな使い道があり、工場などではゴミ箱や灰皿として再利用されます。

ハーフ缶:各試薬会社が持ち運びにおける腰への負担を軽減するために売り出しているタイプで、一斗缶の半分のサイズ=ハーフ缶と呼んでいます。形状は、一斗缶の高さを半分にしています。また、シグマアルドリッチでは4Lオリジナル缶で溶媒を販売していて、こちらは注ぎ口も付属しているためガロンビンよりも使いやすいことを謳っています。比重が重いジクロロメタンを使ってクロマトグラフィーをしていた時は、ラボから離れた溶媒倉庫を往復して大変だった記憶があり、このようなガロンビンより大きく一斗缶より小さいサイズの容器は、体への負担低減の意味で活用が広がってほしいと思います。

富士フイルム和光純薬のクロロホルム、ハーフ缶(引用:富士フイルム和光純薬株式会社

キャニスター缶:脱水溶媒は、一度空気中で開封してしまうと空気が混入してしまいます。しかしながらグローブボックスで一斗缶を保管することは現実的ではありません。そこで、キャニスター缶とよばれる特殊な容器に充填された溶媒が販売されています。容器には二つの口が接続されていて、Inletを窒素ガスなどで加圧しOutletから液体を取り出すことになり、空気に触れることなく、溶媒を入れて反応を始めることができます。この容器は高価なので使用後は返却することになります。

富士フイルム和光純薬のジクロロメタン、キャニスター缶(引用:富士フイルム和光純薬株式会社

キャニスター缶の使い方(引用:富士フイルム和光純薬株式会社

大型容器

ドラム缶:円柱状の形をしている200Lのサイズが一般的なドラム缶ですが、ジエチルエーテルといったような溶媒向けの小さなドラム缶も使われています。上部の大きな口と小さな口があり、小さな口を空気穴として効率的に大きな口から液体を取り出すことができます。人力ではドラム缶を持ち上げることはできませんが、底面の縁を使って転がすことはできます。ドラム缶はリサイクル業者によって洗浄、再塗装されて再利用されます

次の三種類は容器と呼ぶべきかわかりませんが、大量の化学品を運ぶものです。

ISOタンクコンテナ:海上輸送で使われるコンテナのタンクバージョンで数十 KLの液体を運ぶことができます。スチーム管が備わっていて、取り出し時などにスチームで加温して粘度が高い化合物も容易に取り出せるようになっています。コンテナなので詰め替えることなく船、トレーラー、貨物電車などに乗せて運ぶことができます。

タンクローリー:燃料の運搬でおなじみのタンクローリーは、化学品の運搬にも使われます。日本のタンクローリーの最大の積載量は30 kLです。

ケミカルタンカー:タンカーといえば原油を運搬しているイメージですが、化学品を運ぶタンカーもあります。タンクの容積は様々で、中には数万 kLを一度に運べるタンカーもあります。座礁や事故によって化学品が海に流出しないように、船底および船側を二重構造にして安全性を確保しています。またヒーティングコイルが張り巡らされていて、一定温度に保ちながら運搬することもできます。さらには空気で化合物が変化しないよう窒素ジェネレーターを搭載してタンク内に充填できるようになっています。

UN缶

例えば、トルエン(UN番号129420Lを航空機で運ぶ場合、包装は364に準拠しなくてはなりません。364は、容器コード1A1(ドラム鋼製天板固着式), 1B1(ドラムアルミニウム製天板固着式), 1H1(ドラムプラスチック製天板固着式), 1N1(ドラム金属製天板固着式), 3A1(ジュリカン鋼製天板固着式), 3B1(ジュリカンアルミニウム製製天板固着式), 3H1(ジュリカンプラスチック製製天板固着式)のどれかに準拠した容器を使わなければならないというルールです。UN缶は、この認証を受けた容器のことで、先ほどの容器コードや製造国、製造者、製造年などが記されています。UN規格の缶は認証を受けている分、値段が高くなっています。

 一般的に容器が小さいほど体積当たりの運搬コストはかさみますが、タンクローリーなどは、機材のやりくりが必要になります。これを最適にアレンジにして運送費を最小限にするのが物流部の腕の見せ所となります。また、容器への移し替えによって不純物が混入することもあり化学品を安全かつ品質を保って運搬することは各部門の多大な努力によって成り立っています。

関連書籍

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