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炭素-炭素結合活性化反応 C-C Bond Activation

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概要

炭素-炭素結合は有機化合物に含まれる中でもっとも強固な結合で有り、これを切断して別種の変換に用いる試みは、有機合成化学界における最先端かつ最難課題の一つである。アトムエコノミーの観点からも効率的であり、またこれまでにない化合物合成経路の実現、未知の物質創成にも寄与しうる。

触媒反応の典型例としてはオレフィンメタセシスが知られている一方、炭素-炭素単結合の切断は足がかりに乏しく、未だ困難な課題とされている。遷移金属触媒によって実現されている例としては、配位性官能基近傍、もしくはひずんだ炭素環を標的とする方法論がよく研究されている。

複雑化合物合成への応用は今後の研究課題とされている。

基本文献

<review>

 

反応例

C-C結合活性化を鍵過程とするCycloinumakiolの全合成[1]

CCactivation_2

ベンゼン環の切断反応[2]

CC_Activation_3

ニッケル触媒を用いるカルボシアネーション反応[3]

CCactivation_4

参考文献

  1.  Xu, T.; Dong, G. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53,10773. DOI: 10.1002/anie.201404802
  2.  Hu, S.; Shima, T.; Hou, Z. Nature 2014512, 413. DOI:10.1038/nature13624
  3.  Nakao, Y. Bull. Chem. Soc. Jpn. 2012, 85, 731. doi:10.1246/bcsj.20120081

関連書籍

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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