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有機合成化学協会誌2021年3月号:水素抽出型化学変換・環骨格一挙構築・新規アルコキシメチル基・π拡張非交互炭化水素・フローマイクロリアクター

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2021年3月号がオンライン公開されました。

本日より第101日本化学会春季年会ですね。初めてのオンライン年会、どんな感じになるかドキドキです。

有機合成化学協会誌は今月号も充実の内容です。

キーワードは、水素抽出型化学変換・環骨格一挙構築・新規アルコキシメチル基・π拡張非交互炭化水素・フローマイクロリアクターです。

今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言:100年先を見据えた有機合成化学

今月号は、名古屋工業大学大学院工学研究科 柴田哲男 教授による巻頭言です。

 

新型コロナウイルスは、化学のあるべき未来を考えさせてくれていますね。柴田先生のご研究とも深く関連した巻頭言になっています。オープンアクセスです。

水素抽出型化学変換法の開発と応用展開

澤間善成*

2018年度有機合成化学奨励賞受賞

岐阜薬科大学薬品化学研究室

本総合論文は、遊星型ボールミルを用いた水素の発生法および二酸化炭素のメタン化反応への応用と、活性炭担持型白金族を用いる脱水素反応について、丁寧にわかりやすくまとめられています。専門分野外の方にも読みやすい内容です。ぜひご一読ください!

直鎖分子からの環骨格一挙構築をコンセプトとした天然物合成戦略

 

西川慶祐*、熊谷百慶、松村匡浩、錦部健人、森本善樹*

大阪市立大学大学院理学研究科

本論文では鎖式化合物から複雑な環状化合物を一挙に構築しようとする著者らの独創的な研究がまとめられています。その過程で遭遇した「エナンチオ発散現象」や「反応条件による環化のスイッチング」などの興味深い発見も紹介されています。

新規アルコキシメチル基の開発とその応用

 

鳥飼浩平*

九州大学大学院理学研究院

「~エコノミー」が声高に叫ばれるなか、悪者にされがちな保護基ですが、今でも有機合成化学に必要不可欠なものであることは間違いありません。これだけ多くの保護基が開発されているにもかかわらず、適切な保護基がなく困った経験がありませんか?(私はあります) 本論文で紹介されている新しい保護基がその悩みを解決してくれるかもしれません。

アズレン、ペンタレン、ヘプタレン骨格を含むπ拡張非交互炭化水素類の合成と性質

 

小西彬仁*、安田 誠*

大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻

反芳香族性と開殻性のインタープレイは、芳香族分子中心の機能性分子の科学を大きく変革させる期待感から、近年、関心を集めている。本総合論文では、筆者らの最近の研究成果である、二環性非交互炭化水素類の縮環様式を巧みに利用した反芳香族性と開殻性の同時発現とその物性研究について、紹介されています。

フローマイクロリアクターの混合性能を活用した高選択的有機合成反応

 

西山靖浩*、藤井 亮、森 一*

和歌山県工業技術センター

日頃のフラスコ内バッチ反応をフローマイクロリアクターで行うとどういったメリットがあるのか。経験がないとなかなか想像しにくいですが、本論文はフローマイクロリアクターの混合性能に着目し、バッチ反応からの大幅な改善を、3つの異なるタイプの反応について3つの観点から実証しました。フローマイクロリアクターの強さを感じることのできる論文をご覧ください。

Review de Debut

今月号のRebut de Debutは2件です。オープンアクセスなのでぜひ。

[n]ロタキサン精密合成のための新戦略 (東京大学大学院総合文化研究科)正井 宏

水素結合ドナーとしてのジフルオロメチル基 (東京大学大学院工学系研究科)竹澤 浩気

感動の瞬間:やってみなければ分らない

今月号の感動の瞬間は、東京理科大学 小林 進 名誉教授による寄稿記事です。

 

多くの研究者によって紡がれた、感動の瞬間の数々が記されています。必見です。

 

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

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博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

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