[スポンサーリンク]

一般的な話題

近況報告PartI

[スポンサーリンク]

 

11月は個人的に怒涛の月でした(まだ終わっていませんが)。様々な出来事がありまして、それぞれ1つの記事として紹介したいところですが、残念ながら時間がありませんので「近況報告Parit I」としまして、今月の筆者のまわりで起こった「my化学イベント」をご紹介したいと思います。(またこれからも「まとめて1本!記事」が増えるかもしれないのでPart 1としてみました)

 

怒涛のシンポジウム、カンファレンスの嵐

gakkai201111.png

今月は過剰なほどのシンポジウムがありました(まだあります)。ホストしたSeth Harzon助教授の講演会からはじまり(1日間)、統合物質シンポジウム(2日間)、新学術領域国際シンポジウム(2日間)、蓼科会議(3日間)、名古屋メダルセミナー(1日間)、平田メモリアルレクチャー+GCOEシンポジウム(3日間)です。これだけで前後日準備も併せてすでに半月消えています。

Prof. Seth Harzonはエール大学の若手の教授で同い年。以前ケムステでもポジションを得る前に紹介したことがあります(記事はこちら)。今回ようやく会うことができました。一緒に観光案内や食事したり、飲みにいったりと同世代らしく楽しく過ごさせていただきました。このあと2つのシンポジウム、カンファレンスで一緒だとはいざしらず。

統合物質シンポジウムは名古屋大学、京都大学、北海道大学、九州大学の研究所間で行なっているプロジェクトでして、今回の目玉公園は、先日文化功労者を受賞した玉尾皓平先生。京大時代から理研の現在行なっている研究をお話しして頂きました(最近の結果はこちら)。

その後、茶谷直人教授が率いる新学術領域「分子活性化」の国際シンポジウムに参加するため一路淡路島へ。豪華なウェスティンホテルに泊まったのはいいですが仕事をしていてあんまり寝れませんでした。今年のYamada-Koga prizeを受賞したAndreas Phaltz教授(バーゼル大学)やMukaiyama awardを受賞した田中健教授(東京農工大)などが講演しました。

その後、途中で抜けて名古屋に帰り、そのまま蓼科へ。毎年長野で行われる蓼科会議(Tateshna conference)に参加しました。これはこちらの説明通り、呼ばれた人しかいけない、ゴードン会議ビルケンシュトック会議などの日本版です。詳しい話はまた後ほどこの会議の紹介も兼ねて記事を書かせていただきたいと思います。

帰名古屋後、すぐに名古屋メダルセミナー。今年はシルバーメダルに谷野圭持教授(北大)、ゴールドメダルにEric Jacobsen教授(ハーバード大)でした。毎年このゴールドメダルの講演は3時間以上かかるのでお腹いっぱいJacobsenケミストリーを味わいました。

ちょっと間があき(実はあんまり開いていないのですが)、来週には主宰の平田メモリアルセミナーがあります。今回は名大化学のG-COEシンポジウムと合体しているため、なんと3日間。他ではなかなか聴けないような講演者が目白押しです。詳細は会告記事をごらんください→こちら。

 

ラボの引越し!

newlab.png

まだまだ余裕のあるように思えますが、実はこの怒涛のシンポジウム嵐の前後、つまり今研究室の移転を行なっています。記事を書いていられるのも、機器が止まっていていま実験ができない状態にあるからです。2年以上前から設計していたのですが、ようやく引越しとなりました。耐震工事でバラバラとなった化学科を1つに集めるのが目的で(我々は動いていないのですが、)とはいっても隣の建物の1階あがるだけなんでパッキングするのが面倒で、皆でほとんどを運んでいます。新しいラボは気持ちがよく、もちろんですがとっても綺麗です。これで皆バリバリ研究に勤しめるのではないでしょうか。今回で学んだ引越しのコツは次の3点。

1.できるだけ余裕をもって設計すること

建物の幅は立ててみないとわかりません。最大で30cmほど変わっているところもありました。

2.電源はできるだけ多く導入すること

計算してこれぐらいで足りるかなあ+α、と思っていれた電源が意外に全く足りず、追加工事。分電盤は比較的大きく作ってもらっていたので安価でいけたものの電源は多いことに越したことはありません。ちなみに電源の場所は必ず変わります。なんでここにつけたんだろう?というのもたまに(筆者だけですか?)。

3.一人で全部やらないこと

若い助教が担当することとなると思いますが、できるだけ学生を何人かリーダーに立てて、役割分担を明確にすること。全部やろうとおもっても絶対にできないだけでなく、ストレスがたまる一方です。学生を信用しましょう。そして設計から、引越しなんて人生の中でもそうそう体験できるものではありません。”イベント”として楽しみましょう。

 

研究が加速!

dragmacidin.png

私事で恐縮ですが、今の立場になって3年間。いろいろやっていますが、ようやく納得できる論文を出すことができました。各所から多数のお祝いメールをいただきましてありがとうございます。

“Synthesis of Dragmacidin D via Direct C-H Couplings”

Mandal, D.; Yamaguchi, A. D.; Yamaguchi, J.;Itami, K.; J. Am. Chem. Soc. 2011, ASAP.  DOI: 10.1021/ja209945x 【概要

日本に帰国してからどうしてもやりたかった新たな複雑分子合成方法論の第一歩であると考えています。ケムステでは論文紹介しないので(スタッフが書いてくれれば別ですが)、「ケムステに書かれた!」と悔しがっているひと、ぜひ論文紹介をどうぞ。わからなければメールください。ちなみに今度静岡県立大学の菅敏幸先生主宰で若手合成化学研究者のシンポジウムが開かれるのでここでも少しお話ししたいと思っています。

 

現代化学、月刊化学に記事を執筆

gendaikagakukagaku.png

2011年12月号の月刊化学と現代化学にそれぞれ記事を執筆させていただきました。現代化学は今年4月から生長幸之助助教(東大薬)と共著(隔月)している「院試で学ぶ有機化学の基礎」今回で9回目を迎える本記事は院試に出題された有機化学の問題を答えを単に解説するのではなく、1つの研究ストーリーとして紹介しています。1つの問題から有機化学の歴史や最新の研究の概要がわかり、もっと知りたい!と思い、自学してくれるような記事を書くように心がけています。今回は「ねじれのあるアミド」。2004年にNatureで報告されたStoltzらの結果を中心に紹介しています。

もうひとつ、月刊化学の方は特集として「続・化学研究ライフハック」と題して、研究室の博士研究員だった望田健嗣博士(現在企業研究員)と主に、今年話題になったOrganic chemistry reference resolverArticle Locator for Chemistryについて使い方と多数の拡張機能紹介しています。1年ほど前に「化学研究ライフハック」として同誌にPCやウェブツールを化学研究に特化させる初心者向けの情報を執筆しました。今回はシンプルなアイデアによって論文入手時間を大幅に減らすことができたこれらのウェブツールはまさに化学研究のライフハックを実眼したといってよいでしょう。

ぜひ御覧ください!

 

ケムステスタッフ50人突破!

staffadv2.png

1ヶ月ほど前に行なった「ケムステスタッフ募集」。最近なんだか記事にバリエーションが出てきたと思いませんか?執筆者のところを見てただければわかると思うのですが、実は今月の記事執筆者はほとんど別の方なのです。そう、今回の募集によってスタッフ希望者が40人ほど集まりまして、そこから現在スタッフ登録が終わり記事を執筆していただいた人と既存のスタッフを合わせるとなんと50人を突破しました。博士取得者の割合は30%近くであり、将来的なことをいいますとスタッフの半分弱が博士取得者となります。分野も広がり、有機化学を中心にした記事内容からオールラウンドのケミストリーを語れる段階まで来ています。スタッフの紹介についてはまた後ほど時間のあるときに行ないたいと思っています。まだまだ募集しておりますので参加していただける方はよろしくお願いいたします。→スタッフ募集

「化学とウェブのフュージョン」を宣言して昨年から始めた積極的な活動はここにして実を結び始めています。

 

近況報告でした!

引越しが終わればまたしばらく忙しい日々が続きます。日常の研究・教育はもちろん、実はいまでも本を4冊執筆し(日本語or英語)、ウェブの管理、記事の校正、なぜかいくつかのウェブ作成、論文いっぱい、総説2つと毎日自転車操業です。締切もとっくに過ぎています。ふと、これを思い出しました。

研究者はいつも締め切りに追われている。余裕をもって早くやらないといけないのは分かっている。毎回反省するのに、今回もまた締め切りぎりぎりになる。なぜできないのだろうか?我々はあほなのだろうか?

なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか-松尾豊

集中力を高めるためといいたいところですが、そんな時に限っていろいろと手を出してしまう筆者はどちらかというとやっぱり「あほ」ですね。人生一回しかないので全力で走りたいと思います。というわけで駄文で大変申し訳ございませんが近況報告デシタ!

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. タンパク質の非特異吸着を抑制する高分子微粒子の合成と応用
  2. エナンチオ選択的Heck反応で三級アルキルフルオリドを合成する
  3. あらゆる人工核酸へ光架橋性の付与を実現する新規化合物の開発
  4. 向かう所敵なし?オレフィンメタセシス
  5. 来年の応募に向けて!:SciFinder Future Lead…
  6. 高分子鎖デザインがもたらすポリマーサイエンスの再創造 進化する高…
  7. 科学とは「世界中で共有できるワクワクの源」! 2018年度ロレア…
  8. 嗚呼、美しい高分子の世界

注目情報

ピックアップ記事

  1. 傷んだ髪にタウリン…東工大などの研究で修復作用判明
  2. 触媒的不斉交差ピナコールカップリングの開発
  3. フィッシャー・スペイア エステル合成 Fischer-Speier Esterification
  4. カストロ・ステファンス カップリング Castro-Stephens Coupling
  5. 阪大で2億7千万円超の研究費不正経理が発覚
  6. 新課程視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録
  7. 【緊急】化学分野における博士進学の意識調査
  8. 可視光で芳香環を立体選択的に壊す
  9. 樹脂コンパウンド材料におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用とは?
  10. 天然物の生合成に関わる様々な酵素

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年11月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

山口 潤一郎 Junichiro Yamaguchi

山口潤一郎(やまぐちじゅんいちろう、1979年1月4日–)は日本の有機化学者である。早稲田大学教授 …

ナノグラフェンの高速水素化に成功!メカノケミカル法を用いた芳香環の水素化

第660回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科(有機化学研究室)博士後期課程3年の…

第32回光学活性化合物シンポジウム

第32回光学活性化合物シンポジウムのご案内光学活性化合物の合成および機能創出に関する研究で顕著な…

位置・立体選択的に糖を重水素化するフロー合成法を確立 ― Ru/C触媒カートリッジで150時間以上の連続運転を実証 ―

第 659回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学大学院 アドバンストケミストリー…

【JAICI Science Dictionary Pro (JSD Pro)】CAS SciFinder®と一緒に活用したいサイエンス辞書サービス

ケムステ読者の皆様には、CAS が提供する科学情報検索ツール CAS SciFind…

有機合成化学協会誌2025年5月号:特集号 有機合成化学の力量を活かした構造有機化学のフロンティア

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年5月号がオンラインで公開されています!…

ジョセップ・コルネラ Josep Cornella

ジョセップ・コルネラ(Josep Cornella、1985年2月2日–)はスペイン出身の有機・無機…

電気化学と数理モデルを活用して、複雑な酵素反応の解析に成功

第658回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 農学研究科(生体機能化学研究室)修士2年の市川…

ティム ニューハウス Timothy R. Newhouse

ティモシー・ニューハウス(Timothy R. Newhouse、19xx年xx月x日–)はアメリカ…

熊谷 直哉 Naoya Kumagai

熊谷 直哉 (くまがいなおや、1978年1月11日–)は日本の有機化学者である。慶應義塾大学教授…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP