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ものごとを前に進める集中仕事術「ポモドーロ・テクニック」

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マネジメント職になって以来、諸々の雑務に追われる日々。とにかくやらねばならない仕事が永続するものの、面白くない雑用にどうにもやる気が起きなかったり、そもそも時間の確保が難しかったりすることも。まぁ人間なのであるあるですが、やらなければ後々しんどくなるのも事実。

意識的にそこら辺を解決すべく取り入れている、ポモドーロ・テクニックを今回はご紹介したいと思います。

ポモドーロテクニックとは?

集中できる時間の確保を目的とした仕事術の一種です。

実際にやることは至極シンプルで、

「25分は特定タスクに集中し、その後5分休憩」のサイクルで仕事をする

ただし、「25分間は他の作業・マルチタスクを一切しない」ことが最重要。これだけは厳守!(実際にはもっと細かいルールがあるようですが、知りたい方は関連書籍・関連リンクをご覧下さい)

筆者個人は、下記の局面でポモドーロ・テクニックをよく使います。

気の向かない雑用を片付けるとき

「どうにも気が乗らない作業に取りかかるための助走」として、絶大な威力が実感されています。「25分だけ頑張ればいい!」と思えるだけで、着手の心理ハードルがかなり下がるからです。

実際、25分でも手を付ければ進みますし、意外に片付いたりします。一度集中すれば気分が乗って、後続の集中が持続してくれる良い副作用もあります。とにもかくにもキッカケが重要ですね。

書籍・論文を読むとき

だらだら読んでいるとついついネットサーフィンに浮気してしまったり、デスクを離れてうろうろしてしまったり、どうにも効率が良くありません。

25分ぐらいはしっかり書籍・論文と向き合おうと決めて、意識的にポモドーロ・テクニックを使うようにしています。一冊・一報読むのにどれだけ時間を使っているのか、自覚的になれることも良い点です。

ポモドーロ・テクニックの補助ツール

何はともあれタイマーが必要です。一般的にはアナログなキッチンタイマーが使われるようです。

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筆者個人はPC作業時にポモドーロ・テクニックを使うことが多いため、PCアプリを活用しています。いろいろ試してみて、個人的にベストフィットしたのは下記2つです。

ToDo管理と組み合わせた「Focus-To-Do」

「Focus-To-Do」は、クラウドToDo管理とポモドーロタイマーを融合させたアプリ。タスク毎に何ポモドーロかかったかも記録できるため、後でパフォーマンスを振り返りやすいことも良い点です。有料アプリですが、かなり重宝しています。バグがちらほら見られることだけが難点かも?

(画像は公式サイトより)

 

現実逃避を防止する「Strict WorkFlow」

「Strict Workflow」はポモドーロタイマーが稼働している間、時間泥棒サイト(SNSやYoutubeなど)へのアクセスを遮断してくれるChromeプラグインです。仕事に飽きてくるとつい逃避したくなるので、〆切間近で厳格に集中したい時には大変重宝しています。

このような画面がでるだけで、アクセス出来ません

 

ポモドーロ・テクニックの実践例

巷で言われる「1日 8ポモドーロ(4時間集中)」を一応の目標にしているのですが、平日土曜はほとんど達成できた試しがありません。短時間でも集中的に取り組むことがいかに難しい世の中か痛感させられるばかり・・・。

これは、自分の集中力が欠けているからでは無く、化学実験をやっていることが理由です。実験は一度やり始めると簡単に止められないため、ポモドーロ管理で割り切りづらいのです。というわけで、実験の効果測定にはポモドーロテクニックを使わないようにしています。

これに加えて、割り込みタスクがひっきりなしに入ってくることも中断される一因だったり。これはもう立場上仕方ないですね。

ともあれやってみて良かった点は、これまで曖昧にしか把握されていなかったデスクワークの所要時間が見える化されたことです。すぐ終わると思っていた作業でも、実態とは意外と乖離があったりします。

参考までに、ここ数ヶ月で筆者が完了させたタスクと所要時間の記録を抜粋しておきます(1ポモドーロ=25分)。

  • 修士論文添削(50頁)= 10ポモドーロ
  • 某財団の成果報告書(5頁、書き下ろし)= 6ポモドーロ
  • 某財団の研究費申請書(3頁、大半は借用)=  4ポモドーロ
  • 某グラントの年次計画書(6頁、大半は借用)=3ポモドーロ
  • 共同研究依頼用スライド作成 (1枚、大半はコピペ)= 1ポモドーロ
  • ラボ内ミーティング用スライド作成(6枚、大半はコピペ)=1ポモドーロ
  • 論文査読(Communication x 2)= 6ポモドーロ
  • 学部試験採点(80人分)=5ポモドーロ
  • 原著論文執筆(改定9版、Communication)= 30ポモドーロ
  • 「ゼロからつくるDeep Learning」読破(280頁、コード写経込み)=30ポモドーロ
  • 「ポモドーロ・テクニック入門」読破(180頁)=1ポモドーロ
  • このケムステ記事の執筆=4ポモドーロ

こういう感じでデータを貯めていけば、日々の計画が立てやすくなりますし、時短改善のモチベーションも持ちやすくなるので、とても良いと感じられます。

最近集中出来てないなぁ、まとまった作業時間が取れないなぁ、とお悩みの方は、一度気軽に試してみてはいかがでしょうか。

関連書籍

より詳しい理論は下記書籍に詳しいので、興味のある方は読んでみるといいと思います。とはいえやることはとても簡単なので、関連リンクの記事を読むだけで十分かもしれません。

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関連リンク

ポモドーロ・テクニックについての紹介記事
ポモドーロ・テクニック補助アプリ紹介記事
「ポモドーロ・テクニック入門」レビュー記事
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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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