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「もしかして転職した方がいい?」と思ったらまずやるべき3つのこと

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「転職した方がいいですか?」という問い

先日、自動車関連の素材メーカーの研究開発職にいる方から転職の相談を受けました。その方は「EV自動車の本格的な普及が進む中で、求められる技術が変わってきている。ただし、会社は技術開発への投資が十分ではなく、自分の技術も古くなっていくようで不安です。」とおっしゃっていました。そこで聞かれたのが「転職した方がいいですか?」という質問でした。この質問をする際には、今の仕事への不安や不満があると思います。一般的に言って転職市場は盛り上がっていますし、あなたの経験やスキルならば他の会社に転職が可能ですが、今転職すべきかどうかはあなた自身が決めるべきです。

キャリアは自分でつくるものです

ただし、「転職した方がいいですか?」と誰かに聞きたくなる気持ちはよくわかります。特に、人材流動性が低いとされるメーカーの専門職では、転職経験のない人も多いと思います。先ほどの自動車業界の開発職の方もそうですが、かつては技術や経験を一度身に着けてしまえば、定年まで一つの会社の中で十分に活躍の場がありました。会社にとっても熟練した技術者が定着することで、技術基盤を保持できるという大きなメリットがありました。しかしながら、近年はEV自動車への移行など大きな転換期をむかえています。また、化学業界でも再生可能エネルギーへの転換や環境配慮の問題など、石油化学や基礎化学製品を含む事業から新たな事業への模索が続いており、こうした外部環境の変化は個人のキャリアにも影響を与えることは避けられません。

人材流動性が低い業界において、キャリア形成は自社内でポジションを確立することが一般的でした。異動や昇進などのキャリアは会社主導で行われ、必要なタイミングで階層別研修やマネジメント研修などの教育も提供されています。しかし、「キャリアは自分で築くべきだ」と言われると、自己の意思で進展を図ることが求められます。そのような状況において、「転職した方がいいですか?」と自分で結論を出すためには、以下の3つのことに取り組む必要があります。

1.キャリアの棚卸 

過去の研究や仕事を振り返り、自分が持つスキルや経験を明確にしましょう。自己のキャリアについて他人に話す機会が少ないため、これは意外にも難しい作業かもしれません。大学時代の研究や社会人経験、副業やボランティアなどを含め、箇条書きで記述してみてください。最初は簡潔にまとめることが難しいかもしれませんが、思いつく限り書き出すことから始めると良いでしょう。時間を確保してじっくりと取り組み、経験やスキルを自分自身の言葉で表現することに意識を向けましょう。

経験やスキルを箇条書きにした後は、それを「抽象化」してみましょう。キャリアの抽象化とは、個人の経験やスキル、成果などを具体的な事例から抽出し、一般的で抽象的なレベルで表現することです。自己PRや履歴書、面接などで自分自身のキャリアを説明する際に、業界や職種を超えて共通の特徴や価値を表現することで、自分の強みや経験をよりわかりやすく訴求することができます。例えば、「全社プロジェクトの管理経験がある」という具体的な経験を「課題解決能力が高い」「相手に合わせたコミュニケーションができる」といったようにスキルを抽象化できます。

特に研究職の場合、「低分子化合物の合成・評価を行った」というような、技術に関することだけを記載しがちですが、それ以外の経験にも価値が出せるポイントはたくさんあります。例えば、「国際学会で論文発表」という経験も、抽象化すれば「英語でのプレゼンテーションスキルがある」となり、資産となるキャリアと言えます。また、「研究データの取りまとめを行った」というのも、「ピポットテーブルを用いた複雑な集計ができる」「数値分析が得意」となります。これらは研究職にとっては当然のスキルですが、他の業界や職種でも重宝されるスキルです。自分では気付かないかもしれませんが、他業界の信頼できる人や転職エージェント、キャリアアドバイザーなどに自分のキャリアについて話してみると、自分の価値を再発見することができるでしょう。

2.5年後はどんな仕事をしているか

次に、5年後にどんな仕事をしているかを考えてみましょう。過去のキャリアを振り返った後は、制約なしで自分がワクワクする仕事や働き方を想像することが大切です。具体的なイメージを描くのは難しいかもしれませんが、自分が望む仕事や働き方についてじっくり向き合うことが大切です。転職を考える前に、自分自身の軸をもたないと納得感のある意思決定は難しいでしょう。ただ転職サイトに登録したり、紹介された求人に無批判に応募したりするのではなく、自分自身と向き合う時間を大切にしましょう。

ポイントは、出来るだけ具体的に書くことです。例えば、「アメリカでAIを用いた化合物のデザインや反応の予測に関する研究をしたい。そこで博士号をとって民間企業で研究を続けたい。」「子どもと過ごす時間を確保するため、在宅勤務が可能な仕事をしたい。現場にいく必要がある技術職ではなく、これまでの研究経験を生かしたリサーチなどの仕事が理想。」など、場所や状況が具体的に示されることが望ましいです。自分がワクワクする働き方や仕事を思い描くと、今自分にとって大切な価値観に気付くことができます。「やっぱり一度海外の研究機関で働きたいな」「現在の働き方では休日出勤や残業が多くて子どもと過ごす時間がとれないので、どうにか改善したいな」といった具体的な欲求が明確になるでしょう。

3.実現に向けて行動できているか

自分の目標を実現するために行動できているかどうかは重要です。キャリアの棚卸を行い、将来のビジョンを描いた後は、具体的なアクションプランを立てる必要があります。例えば「海外の研究機関で働きたい」という明確なキャリアのイメージを持っていた人は、その後の行動が早かったとのことです。学生時代に研究機関への留学の機会があったにも関わらず、語学力に自信がなくて諦めたことを後悔していました。しかし、その後も語学の勉強を続けており、再び挑戦したいという気持ちから行動を起こしました。目標を実現するために、社内にはそのような機会があるのか、自身の語学力は十分か、公募は存在するのか、対象者の条件は何かなど、具体的な情報を人事部や上司に問い合わせたり、海外勤務経験のある先輩に話を聞いたりすることで、主体的に行動が変化していきました。結果的に、社内の機会は限られていることが分かり、本人はアメリカの大学のポストを見つけて転職しました。その後、任期を終えたあとは、海外に研究開発拠点のある日系企業に転職しました。これは、彼の海外での研究経験や語学力が評価された結果でした。最初の勤務先は新卒からの所属であり、勇気を要する決断だったと思います。しかし、「やりたいことも出来ず、成長も感じられない状態でモヤモヤしたまま仕事をし続ける方が、リスクが高かったと思う」と彼は語っています。

漠然とした不安や不満を抱えたまま、「転職した方がいいのか?」と悩み続けるのは辛いものです。そのような疑問が生まれた時は、自分のキャリアについて考えるタイミングだと思います。まずは、「キャリアの棚卸をする」「5年後にどのような仕事をしているかを想像する」、「実現に向けたアクションプランを立てる」という3つのステップを試してみてください。その実現には、「転職」が必要かどうかも考えてみることをおすすめします。自分自身が納得できるキャリアを選択するためには、小さな一歩でも行動を起こすことが重要です。あなたが「仕事に行くのが楽しい」と感じる選択をすることを応援しています。

まとめると、もし「転職した方がいいのか?」と思ったら、次の3つの手順を試してみてください

1. キャリアの棚卸をする。

2. 5年後にどのような仕事をしているかをイメージする。

3. 実現に向けたアクションプランを立てる。

*本記事はLHH転職エージェントによる寄稿記事です。これまでの寄稿記事はこちら

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LHH転職エージェントとは、世界最大の総合人財サービス企業アデコが日本で展開する転職支援サービスのブランド名称です。国内では大都市圏を中心に事業を展開し、各領域に精通した転職コンサルタントがさまざまな業界・職種の転職サポートを行っています。ライフサイエンス・メディカル領域においては、化学業界を軸に、理化学機器、製薬、再生医療、医療機器といった分野でご活躍される方々の転職をサポートしています。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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