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ビニルシクロプロパン転位 Vinylcyclopropane Rearrangement

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概要

ビニルシクロプロパン体は加熱条件下に転位を起こし、シクロペンテンを与える。ジビニルシクロプロパンはより容易に転位を起こし、シクロヘプタジエンを与える。ひずんだ環の開裂エネルギーが駆動力となっている。

(ジ)ビニルシクロブタンも開裂を伴う同様の転位を起こす。

基本文献

・Neureiter, N. J. Org. Chem. 1959, 24,
2044. doi:10.1021/jo01094a621
・Milvitskaya, E. M.; Tarakanova, A. V.; Plate, A. F. Russ. Chem.
Rev.
1976, 45, 469. doi:10.1070/RC1976v045n05ABEH002675
・Hudlicky, T.; Kutchan, T. M.; Naqvi, S. M. Org. React. 1985,
33, 247. doi:10.1002/0471264180.or033.02
・Goldschmidt, Z.; Crammer, B. Chem. Soc. Rev. 1988,
17, 229. DOI: 10.1039/CS9881700229
・Hudlicky, T.; Reed. J. W. Comprehensive Organic Synthesis
1991, 5, 899.
・Baldwin, J. E. Chem. Rev. 2003, 103,
1197. DOI: 10.1021/cr010020z

・Hudlicky, Tomas; Reed, Josephine W. Angew. Chem. Int. Ed.
2010, 49, 4864. doi:10.1002/anie.200906001

 

反応機構

種々の実験的証拠からシグマトロピー機構ではなく、ビラジカル機構で進行していると考えられている。
vin_pro_3.gif

反応例

(+)-Antheridic acid の合成[1] vin_pro_4.gif
Scopadulcic Acid Aの合成[2] vin_pro_5.gif
ROMとジビニルシクロブタン転位を組み合わせた二環性骨格の効率的合成
vin_pro_6.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Corey, E. J.; Kigoshi, H. J. Tetrahedron Lett. 199132, 5025. doi:10.1016/S0040-4039(00)93418-X

[2] Fox, M. E.; Li, C; Marino, J. P.; Overman, L. E. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 5467. DOI: 10.1021/ja990404v

 

関連反応

 

関連書籍

 

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投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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