[スポンサーリンク]

chemglossary

エピジェネティクス epigenetics

 

(画像:promega.com)

「DNA配列の変化を伴わない、遺伝子発現および表現型の継承的変化現象を追究する学問領域」をエピジェネティクス(epigenetics)と呼称する。1942年にコンラッド・H・ウォディントンによって提唱された。

遺伝暗号を保持するDNA配列は、個体細胞中では全て同一である。にも関わらず、翻訳のされ方が機会と環境に応じて異なることは古くから指摘されていた。

この発現制御過程に於いては、遺伝物質を後天的に化学修飾することで、遺伝情報を活性化/不活性化する生物機構の介在が明らかとなっている。これをエピジェネティック修飾と呼ぶ。代表例としてはDNAメチル化ヒストン修飾が挙げられる。

エピジェネティック制御は環境応答的に付与され、一度組み込まれると容易に除去されない記憶的トリガーとなる特徴を持つ。またエピジェネティック機構の異常はガンをはじめとする数々の疾病と関連が深いとされており、創薬ターゲットとしても注目を集めている。

  • 関連文献

[1] “Epigenetic therapy of cancer: past, present and future” Yoo, C. B.; Jones, P. A. Nat. Rev. Drug Dicov. 2006, 5, 37. doi:10.1038/nrd1930

The initiation and progression of cancer is controlled by both genetic and epigenetic events. Unlike genetic alterations, which are almost impossible to reverse, epigenetic aberrations are potentially reversible, allowing the malignant cell population to revert to a more normal state. With the advent of numerous drugs that target specific enzymes involved in the epigenetic regulation of gene expression, the utilization of epigenetic targets is emerging as an effective and valuable approach to chemotherapy as well as chemoprevention of cancer.

  • 関連書籍

 

  • 関連リンク

エピジェネティクス – Wikipedia

日本エピジェネティクス研究会

福岡伸一教授が語るエピジェネティクス入門

Epiigenetics -from mechanism to therapy- (PDF, Kanai lab
)

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ソーレー帯 (Soret band) & Q帯 (Q …
  2. クロスカップリング反応 cross coupling react…
  3. 生物指向型合成 Biology-Oriented Synthes…
  4. 材料適合性 Material compatibility
  5. 特殊ペプチド Specialty Peptide
  6. 活性ベースタンパク質プロファイリング Activity-Base…
  7. 不斉触媒 ふせいしょくばい asymmetric catalys…
  8. 国連番号(UN番号)

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学小説まとめ
  2. 高収率・高選択性―信頼性の限界はどこにある?
  3. 大学発ベンチャー「アンジェスMG」イオン液体使った核酸医薬臨床試験開始
  4. 試験管内選択法(SELEX法) / Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment
  5. 若手研究者に朗報!? Reaxys Prizeに応募しよう
  6. 東レ先端材料シンポジウム2011に行ってきました
  7. 有機合成の落とし穴
  8. 電場を利用する効率的なアンモニア合成
  9. 学会に行こう!高校生も研究発表できます
  10. ディーター・ゼーバッハ Dieter Seebach

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

シクロペンタジエニル錯体の合成に一筋の光か?

β-炭素脱離を用いるシクロペンタジエニル(Cp)錯体の新たな調製法が報告された。本法により反応系中で…

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP