[スポンサーリンク]

chemglossary

色素増感型太陽電池 / Dye-sensitized Solar Cells

[スポンサーリンク]

 

色素増感型太陽電池(Dye-sensitized Solar Cell, DSC)とは、現在、実用化に向けての研究が急ピッチで進められている次世代型太陽電池です。

 

もっとも簡単な系は、二酸化チタン粒子に色素を吸着させた電極、ヨウ素電解質溶液、白金対極からら構成されます。

色素が太陽光を吸収し、二酸化チタンに電子を受け渡すことで起電力が発生します。色素は溶液中のヨウ化物イオンから電子を受け取り、この過程で生じた三ヨウ化物イオンは対極で還元されます。こういった一連の化学反応によって電流が流れます。

原理自体は古くから知られていましたが、色素からの電子移動効率が非常に悪く、大きな注目を集めてはいませんでした。しかし、1991年にマイケル・グレッツェル(スイスローザンヌ工科大学教授)らによって、変換効率が10%に達する系が報告されて以来、世界中の研究者がこぞって開発競争に参入するようになりました。このため、色素増感型太陽電池は別名グレッツェルセルとも呼ばれています。

色素増感型太陽電池は、従来型のシリコン半導体型太陽電池(乾式電池)と比べ様々な利点を有します。

  1. 低コストに製造できる
  2. 大規模な製造機器を必要
    としない
  3. 機構が単純なために量産しやすい
  4. 色や形状のデザイン性・自由度が高い
  5. 色素の組み合わせによって吸収波長が調節可能

反面、その課題は変換効率の低さであり、多くの場合その解決に研究主眼は置かれています。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”482772072X” locale=”JP” title=”色素増感太陽電池を作ろう―手作り太陽電池のすべて”][amazonjs asin=”4781307086″ locale=”JP” title=”色素増感太陽電池の最新技術〈2〉 (エレクトロニクスシリーズ)”][amazonjs asin=”4781300189″ locale=”JP” title=”色素増感太陽電池の開発と構成材料”][amazonjs asin=”4781300537″ locale=”JP” title=”色素増感太陽電池研究者のための色素データ集”][amazonjs asin=”3659324000″ locale=”JP” title=”Dye Sensitized Solar Cells”]

 

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. フッ素のゴーシュ効果 Fluorine gauche Effec…
  2. メカニカルスターラー
  3. 指向性進化法 Directed Evolution
  4. 卓上NMR
  5. 二光子吸収 two photon absorption
  6. トップリス ツリー Topliss Tree
  7. エレクトロクロミズム Electrochromism
  8. コンビナトリアル化学 Combinatorial Chemis…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第112回―「生体分子センサー・ドラッグデリバリーシステムの開発」Shana Kelley教授
  2. 【書籍】化学探偵Mr. キュリー
  3. 島津製作所 創業記念資料館
  4. 磁力で生体触媒反応を制御する
  5. 新形式の芳香族化合物を目指して~反芳香族シクロファンにおける三次元芳香族性の発現~
  6. 製薬特許売買市場、ネットに創設へ…大商とUFJ信託
  7. リチウムイオン電池製造の勘どころ【終了】
  8. 化学者のためのエレクトロニクス講座~無電解卑金属めっきの各論編~
  9. ディールス・アルダー反応 Diels-Alder Reaction
  10. イヴ・ショーヴァン Yves Chauvin

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年8月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる

第640回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所・総合研究大学院大学(飯野グループ)原島崇徳さん…

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立

ポイント 今回新たに設立される研究所 Baker Hughes Institute for…

メトキシ基で転位をコントロール!Niduterpenoid Bの全合成

ナザロフ環化に続く二度の環拡大というカスケード反応により、多環式複雑天然物niduterpenoid…

金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的観測

第639回のスポットライトリサーチは、東京科学大学理学院化学系(前田研究室)の岡崎 めぐみ 助教にお…

【無料ウェビナー】粒子分散の最前線~評価法から処理技術まで徹底解説~(三洋貿易株式会社)

1.ウェビナー概要2025年2月26日から28日までの3日間にわたり開催される三…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP