[スポンサーリンク]

ケムステニュース

2011年ロレアル・ユネスコ女性科学者 日本奨励賞発表

[スポンサーリンク]


優れた研究成果を挙げた若手の女性科学者をたたえる「ロレアル・ユネスコ女性科学者日本奨励賞」の今年の受賞者に名古屋大の植田桐加さん(25:写真中央)らが決まり、12日、都内で、それぞれに賞状と奨学金100万円が授与された。

「つい先程」、今年6回目となるロレアル・ユネスコ女性科学者 日本奨励賞が発表となりました。  化粧品メーカーの日本ロレアルと日本ユネスコがスポンサーとなって、世界最先端の研究に携わる優れた女性科学者の卵(博士課程の大学院生)を対象として授賞しています。博士課程に在籍する女性を応援する賞であるため、ケムステにおいても何度か取り上げさせていただきました(関連記事参照)。しかし、今年はなぜこんなに速報できるのかといいますと、筆者が面倒をみている学生の植田桐加さんが化学分野から受賞者に選ばれたからです。前々から非常に楽しみにしていましたが、ついに授賞式が本日行われました。場所は六本木ヒルズ、プレゼンターはなんと黒木メイサ! 

meisakuroki

 

 

以下、化学のサイトであるという理由そして、今回ばっかりは大々的に植田さんを紹介したいと思います!

2011年ロレアル・ユネスコ女性化学者日本奨励賞「物質化学分野」受賞者 植田桐加(名古屋大学大学院理学研究科伊丹研究室)

研究分野:有機化学

“科学とは自然を理解する学問”

小さな頃から月を見たり、植物を観察したりすることが大好きで、父親が小中学校の数学の教師ということもあり、科学に身近な環境で育った植田さん。数少ない女性科学者の一人として自分の研究を発信できるよい機会だと考え応募、見事、物質科学分野で受賞を果たしました。化学者としてモノを生み出すことに情熱を持ち、「人の役に立つモノを人の欲しがる方法で作りたい」と日々研究に励んでいます。以下インタビュー

 

Q. 日本奨励賞を受賞した感想は?

女性科学者として名誉なことであり、支えてくださった研究室のみなさんとともに受賞できた賞だと思います。自分の研究をさらに発揮させるための第一歩となり、さらに邁進しようと思うきっかけになりました。将来は、世界で活躍できる女性科学者になりたいと考えていま

Q. 理系を専攻して特したことは?

現象や事象に対してその根拠を考える癖のついたことです。社会的に広く知られていても、科学的根拠の少ないものに対して、理系の知識で科学的な根拠を少なからず説明できます。

Q. 日本女性の科学分野の参画が増えるためには?

人生設計を考える上で、結婚や出産のような女性特有の悩みが生じてくると思います。より広い科学分野全体での結婚、出産などのタイミングを考えやすい環境づくりが必要だと思います。

Q. 科学者を目指す後輩たちへのメッセージは?

少しずつ女性科学者が増加傾向にあるよう見受けられる科学分野でも、依然として博士課程に進学する女性は少ないと思います。また、未だ男性主流の社会である科学の分野は、女性には厳しい環境であると思います。そんな環境の中にも少数ですが私のような女性科学者がいることを知ってほしいと思います。一度しかない人生です。後悔することなく、自分の心に素直になってやりたいことを実現していって欲しい、と願っています。

 

rikejyo.png

理系女子(リケジョ)のトップランナー達(左端が植田さん)

研究内容は、ヘテロ芳香環の炭素ー水素結合直接変換から始まる有用物質合成。最近話題になっている遷移金属フリーの直接的アリール化反応や、チオフェンのネイチャーを覆す、β選択的なアリール化反応などを開発しています。この反応を利用し医薬品のリード化合物や、複雑天然有機化合物、また有機光電子材料の迅速合成の足がかりをつくりました。いやー非常におめでたいです。

このような女性研究者に頑張っていただきたいと思います。個人的な意見としてはインタビューでもあるように女性研究者は研究する際に女性ならではの「マイナス」(研究に対しては)が必ずあります。その分プラスの面もあると思いますので、それをいやがらずプラマイ0にすると思って大いに利用すればよいと思います。男女関わらず光ることのできる才能を持っている人は数少ないです。そんな一人の植田さん、このまま邁進して頑張って欲しいと思います!

 

関連動画

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 米ファイザーの第2・四半期は特別利益で純利益が増加、売上高は+1…
  2. 青色LED和解:中村教授「日本の司法制度は腐ってる」
  3. 持田製薬/エパデールのスイッチOTC承認へ
  4. 製薬各社 2010年度 第1四半期決算を発表
  5. 高脂血症治療薬の開発に着手 三和化学研究所
  6. 産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜
  7. 室温で液状のフラーレン
  8. 『分子科学者がいどむ12の謎』

注目情報

ピックアップ記事

  1. 熱活性化遅延蛍光 Thermally Activated Delayed Fluorescence (TADF)
  2. 100円で買えるカーボンナノチューブ
  3. 第92回―「金属錯体を結合形成触媒へ応用する」Rory Waterman教授
  4. 原子移動ラジカル重合 Atom Transfer Radical Polymerization
  5. 福山還元反応 Fukuyama Reduction
  6. 2022年度 第22回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞 候補業績 募集のご案内
  7. よくわかる最新元素の基本と仕組み
  8. アンモニアを室温以下で分解できる触媒について
  9. tRNAの新たな役割:大豆と微生物のコミュニケーション
  10. 第58回―「集積構造体を生み出すポリマー合成」Barney Grubbs教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年7月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

初歩から学ぶ無機化学

概要本書は,高等学校で学ぶ化学の一歩先を扱っています。読者の皆様には,工学部や理学部,医学部…

理研の研究者が考える“実験ロボット”の未来とは?

bergです。昨今、人工知能(AI)が社会を賑わせており、関連のトピックスを耳にしない日はないといっ…

【9月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】有機金属化合物 オルガチックスを用いたゾルゲル法とプロセス制御ノウハウ①

セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチック…

2024年度 第24回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞 候補業績 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク会議(略称: …

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

開催日時 2024.09.11 15:00-16:00 申込みはこちら開催概要持続可能な…

第18回 Student Grant Award 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(略称:JAC…

杉安和憲 SUGIYASU Kazunori

杉安和憲(SUGIYASU Kazunori, 1977年10月4日〜)は、超分…

化学コミュニケーション賞2024、候補者募集中!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

相良剛光 SAGARA Yoshimitsu

相良剛光(Yoshimitsu Sagara, 1981年-)は、光機能性超分子…

光化学と私たちの生活そして未来技術へ

はじめに光化学は、エネルギー的に安定な基底状態から不安定な光励起状態への光吸収か…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP