[スポンサーリンク]

A

アジフェーズ法 AJIPHASE Method

[スポンサーリンク]

概要

液相ペプチド合成(liquid-phase peptide synthesis, LPPS ) は固相合成法に比べて試薬使用量が少なく、生成物の純度・スケールアップ・コストの面で利点がある。しかし後処理や精製の面で煩雑となることが多い。

AJIPHASEは味の素社によって開発された、固相合成の良さを合わせもった液相ペプチド合成法である。

長鎖アルキル基を備えたフルオレニル型(カルボン酸型ペプチド用)/ジフェニルメチル型(アミド型ペプチド用)C末アンカーを使うことで、液相縮合法を行った後に極性溶媒を加えて、沈殿処理で精製することが可能となった。

Ajiphase_2

 

 

これにより従来液相法では合成の難しい疎水性ペプチドなどの合成が、高純度で簡便に行える。

基本文献

  • Takahashi, D.; Yamamoto, T. Tetrahedron Lett. 2012, 53, 1936. doi:10.1016/j.tetlet.2012.02.006
  • Takahashi, D.; Inomata, T. J. Pept. Sci. 2012, 18, S35.
  • Takahashi, D.; Yano, T.; Fukui, T. Org. Lett. 2012, 14, 4515. DOI: 10.1021/ol302002g

<other scalable LPPS>

 

<General Review of Chemical Synthesis of Peptides/Proteins>

設計原理

嵩高いアンカーを設計することによって、2残基目とのペプチド結合時にジケトピペラジン経由でペプチドが脱落してしまう経路を抑えてある(これはクロロトリチル型固相担持と同様の理屈である)。フルオレニル型はトリチル型に比して液相中での安定性に優れる。

関連書籍

[amazonjs asin=”4944157517″ locale=”JP” title=”最新ペプチド合成技術とその創薬研究への応用 (遺伝子医学MOOK 21)”]

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ヘイオース・パリッシュ・エダー・ザウアー・ウィーチャート反応 H…
  2. シャープレス不斉ジヒドロキシル化 Sharpless Asyem…
  3. ガブリエルアミン合成 Gabriel Amine Synthes…
  4. ホーナー・ワズワース・エモンス反応 Horner-Wadswor…
  5. 根岸クロスカップリング Negishi Cross Coupli…
  6. ブヘラ・ベルクス反応 Bucherer-Bergs reacti…
  7. クレーンケ ピリジン合成 Kröhnke Pyridine Sy…
  8. 求電子的トリフルオロメチル化 Electrophilic Tri…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 薄くて巻ける有機ELディスプレー・京大など開発
  2. オキシム/ヒドラゾンライゲーション Oxime/Hydrazone Ligation
  3. 動画で見れる!アメリカ博士留学生の一日
  4. 真空ポンプ
  5. ベンジル保護基 Benzyl (Bn) Protective Group
  6. ネオジム磁石の調達、製造技術とビジネス戦略【終了】
  7. ナノ学会 第22回大会 付設展示会ケムステキャンペーン
  8. 第三級アミン酸化の従来型選択性を打破~Auナノ粒子触媒上での協奏的二電子一プロトン移動~
  9. 進撃のタイプウェル
  10. 第111回―「予防・診断に有効なナノバイオセンサーと太陽電池の開発」Ted Sargent教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

先端の質量分析:GC-MSおよびLC-MSデータ処理における機械学習の応用

キャラクタライゼーションの機械学習応用は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)およびラボオートメ…

原子半径・電気陰性度・中間体の安定性に起因する課題を打破〜担持Niナノ粒子触媒の協奏的触媒作用〜

第648回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科(山口研究室)博士課程後期2年の松山…

リビングラジカル重合ガイドブック -材料設計のための反応制御-

概要高機能高分子材料の合成法として必須となったリビングラジカル重合を、ラジカル重合の基礎から、各…

高硬度なのに高速に生分解する超分子バイオプラスチックのはなし

Tshozoです。これまでプラスチックの選別の話やマイクロプラスチックの話、およびナノプラスチッ…

新発想の分子モーター ―分子機械の新たなパラダイム―

第646回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機反応論研究室 助教の …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP