[スポンサーリンク]

ケムステニュース

夏の必需品ー虫除けスプレーあれこれ

[スポンサーリンク]

夏の外遊びで蚊やブユに刺される子供は多いが、保育園などでは化学物質「ディート」を含むスプレータイプの虫よけ剤(防虫剤)を禁止しているところもある。ディートの毒性を心配しての対応のようだ。虫刺され対策は虫よけ剤だけではないが、頻繁に蚊に刺されるような場所に出掛ける場合は、柔軟な対応が求められる(引用:産経デジタル 2016年8月1日)。

 

夏休み真っ盛りの子どもたちや、これから夏休みとなる大学生、社会人の方も多いことでしょう。リオ五輪ももうまもなく開始で、夏は海外旅行へというかたもたくさん。

そんな時気になるのが虫刺され。国内外関わらず「蚊」は人間に積極的に関わる代表的な虫です。海外ですと最近はやった東南アジアで多い「デング熱」や南中米で流行する「ジカ熱」なども蚊が媒介する病気のひとつです。そんな病気も怖いので、やっぱり虫よけスプレーは必要になるわけですが、実はスプレータイプの虫除け剤で市販で購入できるものは「ディート(DEET)」と呼ばれる化合物が入ったもの。ディートの濃度によって、”強さ”が異なるわけで、日本で扱えるものはディートの濃度が12%以下。市販でかなり強いものは「ムヒの虫よけ ムシペール」シリーズだそうです。

[amazonjs asin=”B002BMZ208″ locale=”JP” title=”【第2類医薬品】ムヒの虫よけ ムシペールPS 200mL”][amazonjs asin=”B001TIKMIW” locale=”JP” title=”【第2類医薬品】ムヒの虫よけ ムシペールα 60mL”]

ちなみにディートとはN,NDiethyl-metatoluamide(N,N-ジエチル-メタ-トルアミド)の各文字から、DEETになっている?Eが一つ多いような。よくわかりません。構造的にはとっても単純な化合物。化学者ならば3-メチル安息香酸さえ手に入れば、一瞬で合成可能ですね。

2016-08-01_15-32-50

 

毒性が気になっていろいろ問題になっているっぽいのですが、70年間ほど使われており、そんなに悪いもののようには思えません。そもそも海外ではディートの濃度制限が高く、濃度が高いものが普通に売られているので、問題が発生するならば海外からな気がします。

とはいっても、やっぱり小さい子はなめちゃったりするので、「天然成分」的(天然成分がいいとは限りません)なものが親としては使いたくなる気持ちも小さな子どもをもつ親としてはよくわかります。

最近は、昨年日本でも使用が認可された「イカリジン」が濃度がより少なく、副作用も少ないということで人気だそうですが、不斉点が2つあるので、エナンチオマー・ジアステレオマー含めると4種類の混合物だそうで、それぞれの化合物の安全性はどうなのかな?世界ではとっくに認可されている商品なので確かめられてはいるとは思いますが。

 

2016-08-01_15-42-21

ちなみに商品としてはまだ少なく、以下の2つ。

[amazonjs asin=”B01CCDRY2Y” locale=”JP” title=”天使のスキンベープ 虫よけスプレー ピーチアプリコットの香り ハローキティ 200ml (防除用医薬部外品)”][amazonjs asin=”B01C3QVMD2″ locale=”JP” title=”虫よけキンチョール DF(ディートフリー) パウダーイン 無香料 200ml (防除用医薬部外品)”]

虫よけキンチョールの方なんて、パッケージに構造式まで書いてアピールしています。

スプレー以外にも虫よけ対策製品はたくさんありますし、ピレスロイド系などの化合物も製品開発によって体に身につけられるものになっているようなので、いろいろ試してみるのもいいですね。怪しい製品以外は「蚊に刺される」ということを考えれば、無害といって良いと思います。

 

関連リンク

 

関連論文

ディートの作用機序に関する論文

  1.  Ditzen, M.; Pellegrino, M.; Vosshall, L. B.;Science 2008, 319, 1838.DOI: 10.1126/science.1153121
  2. Syed, Z.; Leal, W. S.;PNAS 2008, 105, 13598. DOI: 10.1073/pnas.0805312105

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 木材を簡便に透明化させる技術が開発される
  2. タンニンでさび防ぐ効果 八王子の会社
  3. 周期表を超えて~超原子の合成~
  4. 室温で液状のフラーレン
  5. ナノってなんて素敵ナノ
  6. 水素化ホウ素ナトリウムを使う超小型燃料電池を開発
  7. パッションフルーツに「体内時計」遅らせる働き?
  8. 高知市で「化学界の権威」を紹介する展示が開催中

注目情報

ピックアップ記事

  1. リガンド指向性化学を用いたGABAA受容体の新規創薬探索法の開発
  2. 第92回―「金属錯体を結合形成触媒へ応用する」Rory Waterman教授
  3. “CN7-“アニオン
  4. 禅問答のススメ ~非論理に向き合う~
  5. カルボン酸に気をつけろ! グルクロン酸抱合の驚異
  6. シモン反応 Simon reaction
  7. ノーベル化学賞を担った若き開拓者達
  8. 日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2
  9. 理研の一般公開に参加してみた
  10. 第79回―「高分子材料と流体の理論モデリング」Anna Balazs教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年8月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

データ駆動型生成AIの限界に迫る!生成AIで信頼性の高い分子設計へ

第663回のスポットライトリサーチは、横浜市立大学大学院 生命医科学研究科(生命情報科学研究室)博士…

MDSのはなし 骨髄異形成症候群とそのお薬の開発状況 その2

Tshozoです。前回はMDSについての簡易な情報と歴史と原因を述べるだけで終わってしまったので…

水-有機溶媒の二液相間電子伝達により進行する人工光合成反応

第662回のスポットライトリサーチは、京都大学 大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻 阿部竜研究…

ケムステイブニングミキサー 2025 報告

3月26日から29日の日本化学会第105春季年会に参加されたみなさま、おつかれさまでした!運営に…

【テーマ別ショートウェビナー】今こそ変革の時!マイクロ波が拓く脱炭素時代のプロセス革新

■ウェビナー概要プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波…

予期せぬパラジウム移動を経る環化反応でベンゾヘテロールを作る

1,2-Pd移動を含む予期せぬ連続反応として進行することがわかり、高収率で生成物が得られた。 合…

【27卒】太陽HD研究開発 1day仕事体験

太陽HDでの研究開発職を体感してみませんか?私たちの研究活動についてより近くで体験していただく場…

熱がダメなら光当てれば?Lugdunomycinの全合成

光化学を駆使した、天然物Lugdunomycinの全合成が報告された。紫外光照射による異性化でイソベ…

第59回有機反応若手の会

開催概要有機反応若手の会は、全国の有機化学を研究する大学院生を中心とした若手研究…

多環式分子を一挙に合成!新たなo-キノジメタン生成法の開発

第661回のスポットライトリサーチは、早稲田大学大学院先進理工学研究科(山口潤一郎研究室)博士課程1…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP