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国際化学オリンピック2023が開催:代表チームへの特別インタビュー

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世界の高校生が化学の難問を解いて競う第55回国際化学オリンピック(IChO2023)が7月16日から25日にスイス・チューリッヒで開催され、日本代表として高校生4人が出場。金メダルを2人が、銀メダルを2人が獲得した。文部科学省と日本化学会などが7月25日、発表した。  (引用:高校生新聞7月25日)

ケムステでは4月に代表決定のニュースをお伝えしましたが、7月16日から開かれた大会では素晴らしい結果を残されました。具体的には、松坂さんと山之内さんが金メダル鈴木さんと田中さんが銀メダルを受賞しました。メダルは金が全体の上位1割に、銀が続く2割に、銅は続く3割に与えられるもので、各国が化学に精通した選抜チームを編成しており、メダル獲得のため大変な努力をされたと想像できます。

閉会後の記念写真、右から鈴木さん、田中さん、松坂さん、山之内さん(日本化学会より提供)

大会前にコメントを頂戴いたしましたが、改めて大会後に参加の感想をお聞きました。

松坂さん

化学オリンピックの勉強を始めて2年半、最高の結果で終わることができました。

2日間(実験・理論)×5時間の試験は大変でしたが、研究所見学や大学での講義は興味深く、観光は楽しく、とても充実した夢のような10日間でした。スイスは景色や街並みが素晴らしい上に天候も良いので、快適に過ごすことができました。また世界各国の参加者との国際交流を通じて、その国の文化だけでなく、海外から見た日本の良さも知ることができました。韓国代表とのカラオケパーティーはとても良い思い出です。色々な国の友人ができ、帰国後もSNSを通じて連絡を取り合っています。化学オリンピックの勉強はおもしろい反応や物質に満ち溢れています。化学実験もとても楽しく、綺麗な色の錯体や変な匂いの有機化合物など興味深いものばかりでした。

化学を教えてくださった先生や先輩、支えてくださった化学会の方々やガイドさん、家族、友達、そして一緒に頑張ってきた代表の3人には感謝しかありません。ありがとうございました。今後も今回のように挑戦する気持ちを忘れず、努力していきたいと思います。

山之内さん

今回の国際化学オリンピックスイス大会は私にとって忘れられない思い出になりました。特に他国の選手と実際に会うことで得られたものは大きく、いろいろな話をしたり、お土産を交換したり、写真を撮ったり、一緒に観光したりしたのが毎日すごく楽しかったです。またチューリッヒはとても綺麗で良い環境だったので、試験にも万全の体勢で臨めました。問題は実技・筆記ともに難しいものが多かったですが、努力してきた成果を出し切り、悔いのない答案を作ることができました。閉会式の前には試験の前以上に緊張していましたが、結果は手応え以上のものとなり、驚くと同時にこの上なく嬉しく、化学を勉強し始めてからの自分の成長を実感しました。これまでご指導下さった先生方やOBOGの先輩方には本当に感謝しています。この経験を糧に今後も勉強を続け、化学の面白さ・楽しさをもっと見つけていきたいです。

鈴木さん

まず4年ぶりの実地開催ということで、他国の選手と交流ができたことが一番印象に残っています。日本語、日本文化(特にアニメ・マンガ)を知っている海外の選手が多くいて驚きました。こういう機会のために、話のネタとして漫画やアニメも少しは知っておかなければいけないなと痛感しました。コンテストに関しては、目標としていた金メダルには及ばず銀メダルという結果でした。銀メダルの中で2番目、金まであと0.48点、結果を知った時は悔しかったです。ですがそれ以上に、昨年から今年にかけては日本代表になるという目標に向かって、代表に選ばれてからは金メダルに向けて、化学を勉強した時間は充実していて、楽しかったです。また、大会や強化合宿を通して様々な貴重な経験ができたことを嬉しく思っています。

最後に、この貴重な経験に関わってくださった全ての方々に感謝いたします。本当にありがとうございました。そして、今回のIChO参加にあたって周りの方々からいただいたサポートを忘れず、いつか何倍にもしてお返しすることができるように、これからも邁進していきたいと思います。

田中さん

国際化学オリンピックを知ったのは高校1年生の頃でした。ですがその頃は、日本代表生徒というと遥か彼方にいる途轍もなくすごい人、という感覚でした。その為、かつては手が届かない存在だと思っていた国際化学オリンピックで今回銀メダルを頂くことができたというのは本当に嬉しいです。指導や応援をしてくださった先生方、OB, OGの方々、両親、友人たちにはとても感謝しています。それに加えて、僕自身は国外に出た経験が無かったので大会の最中にあったエクスカーションと呼ばれる時間はかつてないほどに楽しかったです。エクスカーションではスイスの観光だけでなく様々な国の代表選手たちと会話をする機会も数多くありました。そのどれもが新鮮で、大会に参加する前と比べて視野を大きく広げることができたように感じられます。

この大会に出られて本当に良かったです。銀メダルの中でも上位の方だったので、正直なところあと少しで金メダルだったという悔しい気持ちもありますが、それも含めて滅多に出来ない良い経験になったと思います。

松坂さん、山之内さん、鈴木さん、田中さんお忙しい中、コメントをありがとうございました。皆さん、高校三年生ということで、来年以降、大学でのご活躍を祈念いたします。

なお代表チームは、7月26日に文部科学省を表敬訪問し、永岡桂子大臣から文部科学大臣表彰を授与されました。

各国の金メダルの枚数を見ていくと、中国とシンガポールが4枚獲得していています。また、ロシアから参加している個人参加とベトナム、台湾、イランが3枚獲得し、日本、アメリカ、ブルガリア、ウズベキスタンが2枚獲得しました。そして11の国が金メダルを1枚獲得しました。2022年大会と比べると参加者が増えたためか金メダルの枚数が増えたようです。

本大会では広報活動が積極的に行われ、SNSやYoutubeで大会の様子を知ることができます。各国の代表が試験だけでなく、ラボ見学、観光そして参加者同士の交流を楽しまれたようです。

来年の化学オリンピックはサウジアラビアで開催されます。その代表選考を兼ねた化学グランプリ2023も始まっており、7月17日に一次選考が行われました。次の二次選考は8月29日と30日に工学院大学で実施されます。参加されている高校生の皆様は、なかなか訪れる機会の無い中東を目指して頑張ってください!

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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