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変わりゆく化学企業の社名

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東洋インキSCホールディングス株式会社は、本日開催された定時株主総会において、2024年1月1日より社名をartience株式会社に変更することを決定いたしました。世界の人々に先端の技術で先駆の価値を届ける会社へと変革するという強い決意のもと、グループ一丸となって、感性に響く価値を創りだし、心豊かな未来の実現を目指してまいります。 (引用:2023年03月23日東洋インキプレスリリース)

昨年発表された東洋インキの社名変更が今年の1月1日に有効になり、Artience(アーティエンス)株式会社となりました。artienceは、「art」と「science」を融合した言葉であり、取り扱っている製品名であるインキの名前を消しつつも、インキが関連するアートと、技術や素材を表現するためのサイエンスという言葉の二つを融合させてこの社名を作り上げたようです。

Artienceは旧社名の通り、印刷用インキの製造・販売から事業を始めました。戦後からは、ポリマーの取り扱いも始め、接着剤や両面テープに関連する製品までも手掛けるようになりました。1970年以降はスペシャリティケミカルにも注力し、現在では、印刷関連の製品に加えて電子材料や医療・医薬品など様々な分野でArtienceの製品は活躍しています。

Artienceでは最近、リサイクル可能な導電性シートを開発しており、インキの知見を電子材料に活かして新たなイノベーションを推進しているようです。

リサイクル可能な導電性シート(出典:Artienceプレスリリース)

グループ名として「東洋インキ」という社名が変更されるのは少し寂しい気もしますが、海外顧客や化学業界になじみが無いユーザーに売り込む際にはインキにとらわれず、それぞれの製品群をアピールできるのかもしれません。

Artience以外にもここ15年の間に化学業界では、歴史ある企業の社名変更が多数なされています。

社名変更を行った企業の一例

  • 住友化学工業→住友化学(2004年)
  • エステー化学→エステー(2007年)
  • 日本油脂→日油(2007年)
  • ダイセル化学工業→ダイセル(2011年)
  • 電気化学工業→デンカ(2015年)
  • 日産化学工業→日産化学(2018年)
  • 旭硝子→AGC(2018年)
  • 広栄化学工業→広栄化学(2020年)
  • 大同化学工業→大同化学(2020年)
  • 宇部興産→UBE(2021年)
  • 昭和電工+日立化成→レゾナック(2023年)
  • 東海化学工業→パイロットファインテック(2023年)
  • 日本燐酸→NC東京ベイ(2023年)

エステーの社名変更でのCMは大きなインパクトがあったと記憶しています。

一つの流れは化学・化学工業を消すことが挙げられ、これは化学工業の枠を超えて事業を広げていくという意味を込めている場合が多く見受けられます。また、Artienceのように特定の製品群の名前を消す企業もあり、この理由も化学工業の場合と同じと予想されます。さらに、完全に名前を変えてしまう企業もありますが、デンカやUBE、AGCのように名前の由来は旧社名の場合もあります。一方で信越化学工業や積水化学工業のように依然として化学工業を社名に冠している企業もたくさんあり、また化学企業のグローバル・トップ50を見てもChemicalやIndustoriesとの名前を冠した企業がアジア勢を中心に登場しています。

2023年でのランキング9位のLyondellBasell Industriesの紹介ビデオ

自分の所属する会社の社名には、”化学”や”工業”が元から入っていませんが、こうしたフレーズが社名から無くなり、化学企業=~化学工業というイメージが薄くなるのは少し寂しい気もします。一方で多くの化学企業が多数の製品群を持ち、またこの先化学を取り巻く環境は厳しくなる中で、いろいろな分野に進出していく必要があることは明らかです。そのため今後のビジネスのために社名を変えて外部へのイメージを変えることは合理的だと考えます。社名変更が一過性の話題になるだけでなく、企業活動の良い機転になることを期待します。

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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