[スポンサーリンク]

ケムステニュース

かぶれたTシャツ、原因は塩化ジデシルジメチルアンモニウム

[スポンサーリンク]

神奈川県茅ケ崎市で開かれたスタンドアップパドルボード(SUP)の国際大会「マイナビ THE JAPAN CUP」で、配られたTシャツを着た選手ら30人以上がかぶれなどの症状を訴えた問題で、大会を主催したNPO法人、スタンドアップパドルユニオンは18日、化合物の塩化ジデシルジメチルアンモニウムが原因だった可能性があると公表した。 (引用:朝日新聞デジタル2016年9月18日)

 

該当記事では、塩化ジデシルジメチルアンモニウムが発がん性物質ではないなどと的外れなことを書いていますが、発がん性以前に塩化ジデシルジメチルアンモニウムは第四級アンモニウム塩なので塩基性があり、毒性も高い物質です。Tシャツを着ていた人の症状を見る限り、汗や海水でアンモニウム塩がTシャツから溶け出し長時間皮膚と密着したことで薬傷になってしまったと考えられます。塩基は、酸と違って皮膚の中に浸透するため、まだ症状が治っていない方もいるようです。

インクジェットでTシャツに絵柄をプリントする場合、紙とは異なりインクが布地の中で分散しにじんでしまいます。それを抑えることをコンセプトとして前処理剤を塗布しているそうです。塩化ジデシルジメチルアンモニウムにどのような効果があるかまではわかりませんでしたが、残留すべきでない薬品であることは確かです。

関連書籍

 

関連リンク

  • SDS: メルクで販売している塩化ジデシルジメチルアンモニウムの水IPA溶液のSDS
  • 薬剤供給メーカーのコメント:薬剤をプリントメーカーに供給した島精機製作所のコメント

 

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. つり革に つかまりアセる ワキ汗の夏
  2. 「富士フイルム和光純薬」として新たにスタート
  3. やせ薬「塩酸フェンフルラミン」サヨウナラ
  4. 自律的に化学実験するロボット科学者、研究の自動化に成功 8日間で…
  5. <理研研究員>「論文3本」の実験データ改ざん
  6. 高校生の「化学五輪」、2010年は日本で開催
  7. 北大触媒化研、水素製造コスト2―3割安く
  8. メディビック、抗がん剤「グルフォスファミド」の第II相試験を開始…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【なんと簡単な!】 カーボンナノリングを用いた多孔性ナノシートのボトムアップ合成
  2. 米社が液晶パネルのバックライトにカーボン・ナノチューブを採用
  3. (+)-フォーセチミンの全合成
  4. 「海外PIとして引率する大気化学研究室」ーカリフォルニア大学アーバイン校より
  5. 高分子/金属・無機界面の相互作用と接着・密着性、耐久性の向上【終了】
  6. リード指向型合成 / Lead-Oriented Synthesis
  7. 化学企業のグローバル・トップ50が発表【2018年版】
  8. 分子のねじれの強さを調節して分子運動を制御する
  9. ポリ塩化ビニルがセンター試験に出題されたので
  10. ヒドロゲルの新たな力学強度・温度応答性制御法

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年9月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP