[スポンサーリンク]

ケムステニュース

世界初 ソフトワーム用自発光液 「ケミホタルペイント」が発売

[スポンサーリンク]

化学発光の開発製造パイオニアの株式会社ルミカは、3年の歳月をかけて発光スプレーの商品化に世界で初めて成功し、釣具市場向けに「ケミホタルペイント」の発売を開始した。 (引用:5月24日プレスリリース)

ライブなどで多用されるケミカルライトは、二つの液を混合することで化学反応が起きて発光する仕組みです。ほとんどのケミカルライトは、二重構造の筒に二つの液が別々に封入されていて、それを曲げることで内部の壁が壊れて液体が混ざるように設計されています。

今回、発売を始めた「ケミホタルペイント」は、スプレー容器から発光するジェルが吐出される仕組みです。用途は釣り具で、専用のボトルにスプレー缶から出した後、ワームに直接注入するか、中空でない場合には専用の小型容器をワームに差し込み注入します。釣り具向けに超小型ケミカルライト、「ちもとホタル」がありましたが、このケミホタルペイントは、手持ちのワームを柔軟性を損なうことなく直接光らせることができるので画期的な商品です。発光が終わってもジェルを継ぎ足すことでもう一度、発光させることができます。また、一缶に十分な量が入っていて、ちもとホタル12,700個分使えるそうです。

スプレーの外見

ワークに差し込んだ容器に注入している様子

同様の商品として、ルミカでは「サイリュームペイント」と呼ばれる商品を2018年の12月から販売しています。こちらは、地面などに直接スプレーして発光する文字や絵柄を書くことができるものです。スプレーは同じような形をしていますが、ケミホタルペイントはボトルに出してから小さい別容器に注入できるのに対して、サイリュームペイントはマーキングできるようにジェルが吐出されるようです。

ポイントは、二つの液体を発光に適するように同時に吐出されるテクノロジーで、エアゾール大手の東洋エアゾール工業株式会社の「DUAL:Double Bag Ultimate AerosoL」と呼ばれる技術を応用したそうです。DUALはワンプッシュで二つの液体を同時に取り出せる技術で白髪染めに使われています。ただし、白髪染めでは二つの液体が同時に出てきても隣接しているだけなので混合されてはいません。そのため、3年の歳月をかけて2液同時かつ混合されてジェルが吐出できる技術を開発しケミホタルペイント、サイリュームペイントを商品化したと考えられます。東洋エアゾール株式会社と株式会社ルミカとでこの製品に関する特許を出願中とのことで、仕組みや液体の構成についてオリジナリティが高いのではないでしょうか。

ケミホタルペイントは釣り具用の商品でサイリュームペイントは防災用品ですが、ケミカルライトの制約であった2液の混合が必要なく容器が円柱である必要もないため、さらに他の潜在的な応用が数多くあると思います。イベント用途では繰り返し使え光量も多いLEDライトに押されている気もしますが、電力なしで発光するのがケミカルライトの最大の利点であるため応用した商品が開発されることを期待します。

関連書籍

関連リンク

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. リン酸アルミニウムを飲んだら爆発?
  2. マラリア治療の新薬の登場を歓迎する
  3. ChemDrawからSciFinderを直接検索!?
  4. 室内照明で部屋をきれいに 汚れ防ぐ物質「光触媒」を高度化
  5. 位相情報を含んだ波動関数の可視化に成功
  6. かぶれたTシャツ、原因は塩化ジデシルジメチルアンモニウム
  7. 1回の実験で高活性な金属ナノ粒子触媒
  8. ダイハツなど、福島第一原発廃炉に向けハニカム型水素安全触媒を開発…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2020年ノーベル化学賞は「CRISPR/Cas9ゲノム編集法の開発」に!SNS予想と当選者発表
  2. 相次ぐ”業務用洗剤”による事故
  3. 2011年ノーベル化学賞予想ーケムステ版
  4. 連鎖と逐次重合が同時に起こる?
  5. アズレンの蒼い旅路
  6. ジムロート転位 (共役 1,3-双極子開環体経由) Dimroth Rearrangement via A Conjugated 1,3-Dipole
  7. 【化学×AI・機械学習クラウド】実験科学者・エンジニア自身が実践するデータサイエンス/データケミカル株式会社
  8. 100 ns以下の超高速でスピン反転を起こす純有機発光材料の設計
  9. 地域の光る化学企業たち-2
  10. (+)-2,2′-メチレンビス[(3aR,8aS)-3a,8a-ジヒドロ-8H-インデノ[1,2-d]オキサゾール] : (+)-2,2′-Methylenebis[(3aR,8aS)-3a,8a-dihydro-8H-indeno[1,2-d]oxazole]

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年5月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

【十全化学】核酸医薬のGMP製造への挑戦

「核酸医薬」と聞いて、真っ先に思い起こすのは、COVID-19に対するmRNAワ…

十全化学株式会社ってどんな会社?

私たち十全化学は、医薬品の有効成分である原薬及び重要中間体の製造受託を担っている…

化学者と不妊治療

これは理系の夫視点で書いた、私たち夫婦の不妊治療の体験談です。ケムステ読者で不妊に悩まれている方の参…

リボフラビンを活用した光触媒製品の開発

ビタミン系光触媒ジェンタミン®は、リボフラビン(ビタミンB2)を活用した光触媒で…

紅麹を含むサプリメントで重篤な健康被害、原因物質の特定急ぐ

健康食品 (機能性表示食品) に関する重大ニュースが報じられました。血中コレステ…

ユシロ化学工業ってどんな会社?

1944年の創業から培った技術力と信頼で、こっそりセカイを変える化学屋さん。ユシロ化学の事業内容…

日本薬学会第144年会付設展示会ケムステキャンペーン

日本化学会の年会も終わりましたね。付設展示会キャンペーンもケムステイブニングミキ…

ペプチドのN末端でのピンポイント二重修飾反応を開発!

第 605回のスポットライトリサーチは、中央大学大学院 理工学研究科 応用化学専…

材料・製品開発組織における科学的考察の風土のつくりかた ー マテリアルズ・インフォマティクスを活用し最大限の成果を得るための筋の良いテーマとは ー

開催日:2024/03/27 申込みはこちら■開催概要材料開発を取り巻く競争や環境が激し…

石谷教授最終講義「人工光合成を目指して」を聴講してみた

bergです。この度は2024年3月9日(土)に東京工業大学 大岡山キャンパスにて開催された石谷教授…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP